社宅における通勤時間の条件。物件選びの目安となる指標とは
福利厚生の一環として社宅制度を導入している職場では、不公平感やトラブルを生まないように社宅規程で一定の入居条件を定める必要があります。
物件選びの条件として定めておく項目の一つに、社宅から会社までの通勤時間が挙げられます。通勤時間を定めていない場合、企業側が負担する通勤手当や従業員の働きやすさに影響する可能性があります。
人事総務部門のご担当者さまのなかには、「通勤時間の条件をどのように定めればよいか」「通勤時間の目安はどれくらいか」などと疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。
この記事では、社宅の物件選びで通勤時間が重要になる理由や、目安となる指標について解説します。
目次[非表示]
- 1.社宅の物件選びで通勤時間が重要な理由
- 1.1.通勤手当の負担を抑える
- 1.2.従業員が社宅に入居しやすくする
- 1.3.緊急時の対応を取りやすくする
- 2.通勤時間の条件を定める際の目安となる指標
- 2.1.都道府県別の平均通勤時間
- 2.2.テレワークの実施状況
- 3.まとめ
社宅の物件選びで通勤時間が重要な理由
社宅にする物件を選ぶ際、社宅規程に会社までの距離を“○○km圏内”のように一概に明記することは難しいため、目安となる通勤時間の条件を定めておくことが必要です。一定の通勤時間を定めておく理由には、以下が挙げられます。
通勤手当の負担を抑える
通勤時間を定めていない場合、会社から遠く離れたエリアにある物件を希望する従業員が現れて、交通費の増加につながる可能性があります。
通勤時間に一定の条件を定めて社宅から会社までの通勤距離を制限することで、企業による福利厚生費の負担を抑えられます。
なお、会社の拠点が都市部にある場合を始めとして、家賃相場が比較的高いエリアに会社が所在しているときは、通勤時間の条件を定めることで、社宅家賃の費用増につながる恐れがあります。このような場合は、自社に合った規程を整備することが重要です。
従業員が社宅に入居しやすくする
社宅から会社までの通勤時間が長い場合、プライベートの時間が減りストレスを感じる従業員もいます。
通勤時間が短いエリアにある物件を選ぶことで、通勤のストレスが軽減されるほか、働きやすさやワークライフバランスの向上につながります。
ただし、社宅と会社の距離が近すぎる場合には、仕事とプライベートの切り分けが難しくなる可能性も考えられるため、従業員の希望を踏まえて対応することが必要です。
緊急時の対応を取りやすくする
通勤時間が長くなると、急なトラブルで出社が必要になった際や、電車の遅延が起きた際などに迅速な対応ができなくなります。
会社まで短時間で通勤できる社宅を選ぶと、緊急時に迅速な対応を取りやすくなります。特に有事の際にすばやい対応が求められる業務や役職に就く従業員の場合には、通勤のしやすさが重要視されます。
通勤時間の条件を定める際の目安となる指標
社宅の物件選びで通勤時間の条件を定める際は、都道府県別の平均通勤時間やテレワークの実施状況を考慮することがポイントです。
都道府県別の平均通勤時間
内閣府が発表した都道府県別の平均通勤時間を参考にして、目安とする通勤時間を定める方法があります。
社宅規程で通勤時間を定める際、地域によって公共交通機関の整備状況や主要駅へのアクセスのしやすさが異なるため、全国一律での条件設定は難しくなります。
▼都道府県別の平均通勤時間(平日)
画像引用元:内閣府『地域の経済 2022』
フルタイムで働く労働者の平均通勤時間は全国平均で62分となっており、東京と大阪の通勤圏では70分程度と長くなっています。
会社があるエリアにおいて電車・バスの路線や運行間隔などを考慮したうえで、30分~1時間以内のように通勤時間の条件を定めるのがよいといえます。
出典:内閣府『地域の経済 2022』
テレワークの実施状況
国土交通省の『令和4年度 テレワーク人口実態調査』によると、通勤時間が1時間30分を超える場合、テレワークを希望する従業員が多いことが分かっています。
▼【通勤時間別】テレワーカーの割合
画像引用元:国土交通省『令和4年度 テレワーク人口実態調査 調査結果(概要)』
出社が必要な従業員の場合には、通勤にかかる負担を軽減するために、社宅から会社までの通勤時間は短い方がよいと考えられます。
一方で、社内でテレワークを推進している部署・職種では、通勤時間が短いエリアにこだわらなくてよい場合もあります。
出典:国土交通省『令和4年度 テレワーク人口実態調査 調査結果(概要)』
まとめ
この記事では、社宅の物件選びと通勤時間について以下の内容を解説しました。
- 社宅の物件選びで通勤時間が重要な理由
- 通勤時間の条件を定める際の目安となる指標
社宅と会社の距離は、企業側で負担する通勤手当の金額に影響するほか、従業員の働きやすさやワークライフバランス、緊急時の対応などに関わります。
通勤手当の増額を防いで通勤のしやすいエリアを選ぶために、目安となる通勤時間の条件を社宅規程に定めておく必要があります。
ただし、通勤時間は必ずしも短いことがベストではありません。社宅の物件を選ぶ際は、従業員の希望も踏まえつつ都道府県別の平均通勤時間やテレワークの実施状況と併せて検討することがポイントです。
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