
オフィスの賃貸借契約で確認しておく5つのポイント。総務・経理部門の業務を効率化するサービスとは
事務所を新設または移転するにあたってオフィスを借りる際には、賃貸借契約を締結することになります。
オフィスの賃貸借契約は、通常の賃貸物件と異なるトラブルのリスクがあるほか、さまざまな事務手続きや契約管理業務が発生します。
オフィスの契約管理を担う総務・経理部門のご担当者さまは、「どのような流れで契約を進めるのか」「契約時にチェックしておく重要項目はあるか」など気になる方もいるのではないでしょうか。
この記事では、オフィスの賃貸借契約を締結する流れや費用、契約時に確認しておくポイント、契約管理業務を効率化する方法について紹介します。
リロケーション・ジャパンでは、オフィス・店舗の契約業務をサポートしています。詳しくは、こちらの資料をご確認ください。
目次[非表示]
- 1.オフィスの賃貸借契約を締結する流れ
- 2.オフィスの賃貸借契約にかかる初期費用
- 3.オフィスの賃貸借契約書で確認しておく5つのポイント
- 3.1.①契約形態
- 3.2.②保証金(敷金)の金額と預託・返却時期
- 3.3.③短期解約・解約予告期間
- 3.4.④原状回復義務の範囲
- 3.5.⑤特約事項
- 4.オフィスの賃貸で発生する契約管理業務を効率化するには
- 5.まとめ
オフィスの賃貸借契約を締結する流れ
オフィスの賃貸借契約は、物件探しから引き渡しまで一般的に1~2ヶ月ほどの期間がかかります。引き渡し後には内装工事や引越し作業などを行うことから、余裕を持って準備を進める必要があります。
▼オフィスの賃貸借契約を締結する流れ
流れ |
概要 |
1.入居申込み |
貸主に入居申込書と必要書類を提出する |
2.入居審査 |
入居申込書や提出した書類の内容を基に、貸主による入居審査が行われる |
3.契約内容の確認 |
貸主による入居審査に通過したら、賃貸借契約の内容について条件交渉と確認を行う |
4.重要事項説明 |
不動産仲介会社に賃貸借契約の仲介を依頼する場合は、宅地建物取引士による重要事項説明が行われる |
5.初期費用の入金 |
契約で定められた初期費用を期日までに入金する |
6.賃貸借契約の締結 |
賃貸借契約書への記名・押印を行い契約を締結したあと、物件が引き渡される |
オフィスの賃貸借契約では、入居申込書に加えて会社に関する必要書類の提出が求められます。具体的には、会社の登記簿謄本・印鑑証明書・決算報告書・会社案内・事業計画書などが挙げられます。
また、賃貸借契約を締結する前には、リスク回避の観点から借主となる企業側でも貸主の信頼性や社会的背景に関する基本的な確認を行うことが望まれます。
オフィスの賃貸借契約にかかる初期費用
オフィスの賃貸借契約を締結する際には、初期費用の支払いが発生します。契約内容によって費用項目や金額は異なりますが、基本的には以下が挙げられます。
▼オフィスの賃貸借契約にかかる費用
費用項目 |
概要 |
金額の相場 |
保証金
(敷金)
|
借主による賃料の滞納や物件の損傷などを保証するために貸主へ支払う費用 |
賃料の6~12ヶ月程度 |
礼金 |
貸主に支払う謝礼金 |
賃料の約1ヶ月分 |
仲介手数料 |
賃貸借契約の仲介を依頼した不動産仲介会社に支払う手数料 |
賃料の1ヶ月分(※)
|
前払い賃料 |
貸主に対して支払う入居月と翌月以降(数ヶ月分)の賃料 |
賃料の1~4ヶ月分程度 |
火災保険料 |
火災保険会社に支払う1~2年分(保険商品によって異なる)の保険料 |
年間1~3万円程度 |
不動産仲介会社に賃貸借契約の仲介を依頼する場合には、仲介手数料がかかります。火災保険料については、基本的に加入が必須条件とされています。
また、そのほかにも引越し代や内装工事費など、賃貸借契約にかかる費用とは別に発生する費用もあります。特に内装工事費は、工事会社によっても異なりますが、工事費の全額または一部の前入金が必要となる場合もあるため、賃貸借契約と同時期に支払いが発生する可能性を考慮しておくとよいでしょう。
※不動産仲介会社が貸主および借主の双方から受領できる仲介手数料の合計額は、原則として賃料の1ヶ月分+消費税が上限と定められています。
出典:国土交通省『<消費者の皆様向け>不動産取引に関するお知らせ』
オフィスの賃貸借契約書で確認しておく5つのポイント
オフィスの賃貸借契約でトラブルを防ぐには、契約形態や解約時の手続き、原状回復などについてよく確認しておく必要があります。
特に注意が必要な項目には、以下の5つが挙げられます。
①契約形態
賃貸借契約には、普通借家契約と定期借家契約の2種類があります。
▼普通借家契約と定期借家契約の比較
普通借家契約 |
定期借家契約 |
|
契約期間 |
1年以上 or 期間の定めなし |
制限あり |
継続更新 |
可能 |
不可 |
普通借家契約は、1年以上の契約期間が定められており、満了後には契約者の希望に応じて更新することができます。
一方の定期借家契約は、事前に契約期間が定められている契約形態です。満了後の更新や契約期間中の中途解約は原則できない仕組みになっています。
オフィスの場合には、定期借家契約が設定されている物件も見られるため、事前に契約形態を確認しておく必要があります。
なお、定期借家契約の注意点についてはこちらの記事をご確認ください。
出典:国土交通省『定期建物賃貸借契約』
②保証金(敷金)の金額と預託・返却時期
保証金(敷金)は、賃料の滞納や物件の破損などが生じた際に充当される保証金です。オフィスの場合は、月額賃料の6~12ヶ月程度の保証金が定められており、初期費用が高額になることも少なくありません。契約前には保証金の金額や預託期日などを確認しておく必要があります。
また、預託した保証金は、退去時の原状回復工事にかかった費用を精算したうえで借主へ返却される仕組みが一般的となります。そのため、敷金の返却時期は物件の解約日に依らず変動する可能性があると把握しておくことが重要です。
③短期解約・解約予告期間
賃貸借契約書には、契約の解除に関する事項が記載されています。確認しておくポイントには、以下の2つが挙げられます。
▼契約の解除に関する確認ポイント
項目 |
確認すること |
短期解約 |
契約期間中における中途解約の規定
短期解約による違約金の有無・金額
|
解約予告期間 |
貸主に契約解除を伝える期間
解約予告期間を過ぎた場合のペナルティ
|
フリーレント(※)が設定されているオフィスでは、契約から1年未満で退去する場合に短期解約による違約金が定められていることがあります。
また、物件の規模や契約内容によって解約予告期間は異なりますが、解約月の3~6ヶ月前までと定められている物件が多く見られます。
なお、一般的には解約通知後のキャンセルが認められないことも多いため、解約を検討している際の手続きには注意が必要です。
※契約後の数ヶ月間にわたって賃料の無料期間が設定されている契約のこと。
④原状回復義務の範囲
賃貸借契約では、借主の故意・過失や不注意などによって生じた物件の損耗・破損について、復旧費用を借主が負担する“原状回復義務”が定められています。
オフィスの退去時には、この原状回復義務について貸主との間で認識の相違が起こりやすいため、「退去時にどのような状態で引き渡す必要があるか」確認しておくことが重要です。
▼原状回復義務に関する確認ポイント
- 通常の使用による損耗や経年劣化の対象
- 借主が負担する費用の項目
- 経過年数を考慮した負担割合の扱い
- 原状回復工事の施工会社(貸主指定か借主選定のどちらか) など
出典:国土交通省『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン(再改訂版)』
⑤特約事項
賃貸借契約書には、基本的な条項に加えて、貸主と借主が個別に合意する条件について定めた“特約事項”が含まれていることがあります。
▼特約事項に記載されやすい内容
- 原状回復費用の負担区分
- 契約期間中の中途解約
- 契約更新に関する費用 など
通常の条項とは別に、貸主の都合によって特約事項が定められる場合があるため、事前に詳細を確認しておくことが重要です。
オフィスの賃貸で発生する契約管理業務を効率化するには
オフィスの賃貸では、契約時の手続きだけでなく契約中にもさまざまな対応が必要になります。複数の拠点を持つ企業では、オフィスの契約管理業務が煩雑になり、総務・経理部門の負担を招くこともあります。
▼オフィスの賃貸における契約管理業務
- 賃料の支払い管理
- 水道光熱費・清掃費などの支出管理
- オフィスごとの物件情報や契約内容の管理・更新
- 支払部門と費用負担部門が異なる場合の費用按分(費用振替仕訳)
- 敷金残高管理
- 支払調書の作成・提出
- 特定事業者における省エネ法に基づくオフィスの電力利用量の計算・報告 など
オフィスの契約管理業務を効率化するには、業務の一部を外部の事業者に委託できるBPOサービスの活用が有効です。
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まとめ
この記事では、オフィスの賃貸借契約について以下の内容を解説しました。
- オフィスの賃貸借契約を締結する流れ
- オフィスの賃貸借契約にかかる初期費用
- 賃貸借契約書で確認しておく5つのポイント
- オフィスの契約管理業務を効率化する方法
オフィスの賃貸借契約では、契約条件や解約時の規定などが通常の賃貸物件とは異なる場合があるため、事前に契約書の内容をよく確認しておくことが重要です。
また、契約内容の更新・管理や賃料の支払い、敷金の管理など、契約後にもさまざまな事務手続きや対応が必要になります。
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