
【2026年版】住宅手当の平均支給額はいくら?制度を見直すポイントと代替策を解説
住宅手当の平均支給額を調べる企業担当者のなかには、「自社の支給額は妥当なのか」「現在の制度を継続すべきか」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
住宅手当は従業員の生活を支える福利厚生である一方、所得税・社会保険料の対象となることや、支給対象者と対象外の従業員の間に不公平感が生じやすいことが課題です。単に平均額に合わせるのではなく、自社の人員構成や勤務地、住宅支援の目的に合わせて制度を設計する必要があります。
この記事では、住宅手当の平均支給額や近年の動向、制度を見直す際の判断基準、住宅手当を継続・改定・代替する方法について解説します。
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目次[非表示]
- 1.住宅手当の平均支給額はいくら?
- 2.住宅手当を見直す前に整理したいこと
- 2.1.住宅支援制度の目的を明確にする
- 2.2.支援対象者と適用条件を整理する
- 2.3.企業と従業員双方の負担を比較する
- 3.住宅手当を見直す4つの選択肢
- 3.1.住宅手当を継続する
- 3.2.支給条件や金額を改定する
- 3.3.基本給や別の福利厚生へ組み替える
- 3.4.社宅制度へ移行・併用する
- 4.住宅手当から社宅制度へ切り替える際のポイント
- 4.1.対象者と利用条件を決める
- 4.2.従業員負担額と家賃上限を決める
- 4.3.既存の住宅手当との移行期間を設ける
- 4.4.従業員へ制度変更の理由を説明する
- 4.5.社宅管理の運用体制を整える
- 5.社宅管理の負担を抑える方法
- 5.1.社内で管理する業務を整理する
- 5.2.社宅代行サービスを活用する
- 6.社宅管理のアウトソーシングで人事・総務の負担を削減
- 7.まとめ
住宅手当の平均支給額はいくら?
厚生労働省の調査(2024年11月)によると、住宅手当を支給している企業における従業員1人当たりの平均支給額は18,700円となっており、依然として多くの企業で生活支援の柱とされています。2020年の同調査における平均支給額は17,800円であったため、比較すると約1,000円増加しています。
▼諸手当の種類別支給された労働者1人平均支給額

画像引用元:厚生労働省『令和7(2025)年就労条件総合調査の概況』
一方、近年の社会情勢の変化に伴い、住宅手当制度の見直しや代替施策への移行も進んでいます。平均支給額の推移や社会情勢の変化を踏まえ、自社に適した住宅支援制度を検討することが重要です。
住宅手当の平均支給額は、自社制度を検討する際の参考になりますが、勤務地の家賃相場や従業員の年齢構成、転勤の有無、採用エリアなどは企業によって異なります。平均額だけを基準に支給額を決めるのではなく、住宅手当を支給する目的と対象者を明確にするようにしましょう。
出典:厚生労働省『令和7(2025)年就労条件総合調査の概況』
住宅手当の運用方法を見直す企業が増えている
住宅手当の平均支給額は2020年から2024年にかけて約1,000円増加していますが、近年の見直しは、支給額の増減だけを意味するものではありません。働き方や居住地、従業員構成の多様化を背景に、支給対象者や支給条件、支給期間、住宅支援の提供方法など、制度の運用全体を見直す企業がみられます。
例えば、テレワークの普及によって勤務地と居住地の関係が変化した企業では、勤務地からの距離を支給条件とする従来の制度が実態に合わなくなることがあります。また、同一労働同一賃金への対応や従業員間の公平性を考慮し、住宅手当の対象条件を整理したり、基本給や別の福利厚生へ組み替えたりするケースも考えられます。
このように、住宅手当を見直す際は、平均支給額に合わせて金額を調整するだけでなく、自社が住宅支援を行う目的や対象者、運用負担を整理したうえで、制度の継続・改定・代替を検討することが重要です。
▼福利厚生費の増減

画像引用元:内閣府『賃上げ以外の人材確保戦略について』
▼給与住宅(寮・社宅)の戸数

画像引用元:内閣府『賃上げ以外の人材確保戦略について』
また、同一労働同一賃金への対応などを背景に、属人的な手当を整理・統合する動きも広がっています。こうした潮流から、住宅手当を基本給へ組み込んだり、社宅制度へと移行したりするケースもみられます。
なお、住宅手当の廃止が進む背景や廃止する際の注意点についてはこちらで解説しています。併せてご覧ください。
出典:内閣府『賃上げ以外の人材確保戦略について』
住宅手当を見直す前に整理したいこと
住宅手当の見直しでは、平均支給額を参考にして金額だけを調整するのではなく、「何のために住宅支援を行うのか」「誰を対象とするのか」「企業と従業員がどの程度負担するのか」を整理することが重要です。
制度の目的や対象者が曖昧なまま見直しを進めると、支給条件が複雑になったり、従業員に変更理由を説明しにくくなったりする可能性があります。まずは現在の住宅手当が果たしている役割と、運用上の課題を明確にしましょう。
住宅支援制度の目的を明確にする
最初に、企業が住宅支援制度を設ける目的を確認します。
例えば、若手従業員の生活基盤を支えることが目的なのか、転勤・転居を伴う異動を円滑に進めることが目的なのかによって、適した制度は異なります。都市部など家賃負担の大きい地域で働く従業員への支援や、採用時に福利厚生の充実を示すことを目的とする企業もあるでしょう。
複数の目的が混在している場合は、優先順位を整理することが必要です。「若手社員の生活支援」と「転勤者の住居確保」では、対象者や支給期間、必要となる支援内容が異なるためです。
住宅支援の目的を明確にすることで、住宅手当を継続するのか、支給条件を見直すのか、社宅制度など別の仕組みを取り入れるのかを判断しやすくなります。
支援対象者と適用条件を整理する
次に、住宅支援の対象者を整理します。
住宅手当では、賃貸住宅に住む従業員のみを対象とするケースや、世帯主であることを条件とするケースがあります。一方で、実家から通勤する従業員や持ち家のある従業員が対象外となる場合、従業員間で制度に対する受け止め方に差が生じることもあります。
見直しの際は、次のような点を確認しましょう。
賃貸住宅の居住者のみを対象とするか
持ち家の従業員も支援対象に含めるか
単身者と扶養家族のいる従業員で支給額を分けるか
正社員以外の従業員も対象とするか
年齢や勤続年数、支給期間に上限を設けるか
転勤者と本人希望による転居者を区別するか
対象者を広げるほど制度の公平性を確保しやすくなるとは限りません。制度の目的に照らして、支援が必要な対象者を定義し、その理由を従業員に説明できる状態にしておくことが重要です。
企業と従業員双方の負担を比較する
住宅支援制度を比較する際は、企業が支給する金額だけでなく、税金や社会保険料、管理業務まで含めて検討します。
現金で支給する住宅手当は、原則として給与として課税されます。また、給与規程などに基づいて継続的に支給される手当は、一般的に社会保険の標準報酬月額を算定する際の報酬にも含まれます。そのため、企業が住宅手当を増額しても、その全額が従業員の手取り増加につながるとは限りません。
一方、社宅制度では、従業員が一定額以上の家賃を負担するなどの条件を満たす場合、現金で支給する住宅手当とは税務上の取扱いが異なります。ただし、制度設計や従業員負担額によって取扱いが変わるため、導入時には税理士や社会保険労務士などの専門家へ確認することが大切です。
企業側では、支給額や法定福利費だけでなく、申請内容の確認、対象者の管理、契約手続きなどにかかる業務も含めて比較しましょう。
住宅手当を見直す4つの選択肢
住宅手当の見直しは、必ずしも制度の廃止や社宅制度への移行を意味するものではありません。
現在の制度に大きな課題がなければ住宅手当を継続する方法もあります。また、対象者や支給期間だけを見直す、基本給や別の福利厚生へ組み替える、社宅制度と併用するといった選択肢も考えられます。
見直し方法 | 概要 | 適している企業 |
|---|---|---|
住宅手当を継続する | 現行制度を維持する | 制度がシンプルで、対象者や支給条件に大きな課題がない企業 |
支給条件・金額を改定する | 対象者、支給期間、金額などを見直す | 制度の目的と現在の運用にずれがある企業 |
基本給や別の福利厚生へ組み替える | 住宅に限定せず、処遇や福利厚生を再設計する | 従業員間の公平性を重視したい企業 |
社宅制度へ移行・併用する | 企業が住宅を借り上げて従業員へ提供する | 転勤者や若手従業員などへの住宅支援が必要な企業 |
住宅手当を継続する
現在の住宅手当が制度の目的に合っており、従業員からも一定の理解を得られている場合は、無理に制度を変更する必要はありません。
住宅手当は、企業が従業員の物件契約に直接関与する必要がなく、比較的シンプルに運用しやすい制度です。従業員が勤務地やライフスタイルに合わせて自由に物件を選びやすい点もメリットです。
ただし、対象者の確認や申請書類の管理に過度な負担が生じていないか、支給条件が現在の働き方に合っているかは、定期的に確認する必要があります。
支給条件や金額を改定する
制度の目的と現在の運用にずれがある場合は、住宅手当を廃止する前に、支給条件や金額の見直しを検討します。
例えば、全国一律の支給額を地域の家賃相場に応じて変更する、年齢や勤続年数による支給期限を見直す、世帯主と単身者の条件を整理するといった方法があります。
また、毎月一定額を支給する定額方式と、家賃に応じて支給額を変える方式では、企業の予算管理や従業員の納得性も異なります。自社の人員構成や勤務地、住宅支援の目的を踏まえて、運用しやすい条件を設定しましょう。
基本給や別の福利厚生へ組み替える
住宅の形態にかかわらず従業員を幅広く支援したい場合は、住宅手当を基本給へ組み込んだり、別の福利厚生へ振り替えたりする方法があります。
住宅手当の対象外だった従業員にも還元しやすくなる一方、住宅支援としての位置づけが弱くなる点や、企業側の社会保険料負担に影響する可能性があります。
また、住宅手当の減額や廃止が従業員にとって不利益な労働条件の変更となる場合、企業が一方的に変更できるとは限りません。変更の必要性や内容を確認し、従業員への説明・周知を行ったうえで、必要に応じて専門家へ相談しながら進めることが重要です。
社宅制度へ移行・併用する
転勤者や新入社員など、住居の確保そのものを支援する必要がある場合は、借上社宅制度への移行や併用も選択肢となります。
借上社宅とは、企業が民間の賃貸住宅を借り上げ、社宅として従業員へ提供する制度です。住宅手当のように現金を支給するのではなく、企業が契約主体となって住宅を提供します。
制度を比較する際は、税務上の取扱いだけでなく、次のような項目を確認することが重要です。
企業と従業員の費用負担
対象者と利用期間
物件を選べる範囲
家賃上限や間取りなどの条件
契約・支払い・更新にかかる業務
転勤や退職時の退去手続き
住宅手当を全面的に廃止するのではなく、転勤者には借上社宅を提供し、それ以外の従業員には住宅手当を支給するなど、制度を併用する方法もあります。
住宅手当から社宅制度へ切り替える際のポイント
住宅手当から社宅制度へ切り替えると、企業が住宅を提供する範囲や、従業員が負担する費用、物件の契約・管理方法が変わります。
制度を導入してから運用上の課題が発生しないよう、対象者や費用負担、移行方法を事前に整理しましょう。
対象者と利用条件を決める
まず、社宅制度の対象者を決めます。
新入社員や若手従業員、転勤者、単身赴任者など、対象を限定する場合は、その理由と適用条件を明確にします。年齢や勤続年数、利用できる期間、勤務地からの距離なども、社宅規程に定めておく必要があります。
住宅手当の対象者と社宅制度の利用者が混在する場合は、どちらを適用するかを判断する基準も設けましょう。
従業員負担額と家賃上限を決める
借上社宅では、企業が負担する家賃の範囲と、従業員から徴収する使用料を設定します。
家賃上限だけでなく、共益費、駐車場代、更新料、光熱費、家具・家電費用などを、企業と従業員のどちらが負担するかも明確にする必要があります。
従業員負担額は、税務上の取扱いにも関係するため、社宅規程を作成する際は専門家に確認しましょう。
既存の住宅手当との移行期間を設ける
住宅手当を受給している従業員を、すぐに社宅制度へ切り替えることが難しい場合もあります。
すでに個人名義で賃貸借契約を結んでいる従業員については、契約更新の時期まで住宅手当を継続するなど、一定の経過措置を設ける方法があります。
新規入社者や転勤者から新制度を適用し、既存従業員は段階的に移行することで、契約変更や社内対応が一時期に集中することを防げます。
従業員へ制度変更の理由を説明する
住宅手当の見直しでは、従業員が「手当を削減された」と受け取らないよう、変更の目的を丁寧に説明することが重要です。
社宅制度へ切り替える理由、対象者、費用負担、物件選びのルール、現在の住宅手当との違いなどを、具体的に示しましょう。
制度変更によって従業員の手続きがどのように変わるのかも説明しておくと、申請時の混乱や問い合わせを減らしやすくなります。
社宅管理の運用体制を整える
借上社宅では、物件探しや契約だけでなく、毎月の家賃支払い、更新、入居中の問い合わせ、退去時の精算など、継続的な管理業務が発生します。
人事・総務・経理のどの部署が各業務を担当するのかを整理し、申請から退去までの運用フローを定めましょう。
管理戸数が多い場合や全国に拠点がある場合は、自社管理だけでなく、社宅管理業務のアウトソーシングも検討できます。
社宅管理の負担を抑える方法
社宅制度へ移行すると、住宅手当では発生しなかった物件契約や家賃支払い、更新・解約などの業務が必要になります。
社宅制度の導入によって人事・総務部門の負担が過度に増えないよう、社内で担当する業務と外部へ委託する業務を整理することが重要です。
社内で管理する業務を整理する
まず、社内で行う必要がある業務と、外部へ委託できる業務を分けます。
対象者の決定、例外申請の承認、社宅規程の改定など、企業として判断が必要な業務は社内に残します。一方、物件探し、不動産会社との調整、契約書類の作成、家賃支払い、更新・解約などの定型業務は、外部サービスへ委託することが可能です。
役割分担を明確にすることで、外部委託後も社内確認が重複したり、問い合わせ先が分からなくなったりする事態を防げます。
社宅代行サービスを活用する
借上社宅の契約・管理業務を効率化する方法として、社宅代行サービスがあります。
社宅代行サービスには、企業が物件の借主となる「代行方式」と、サービス事業者が借主となり企業へ物件を転貸する「転貸方式」があります。転貸方式では、サービス事業者が賃貸借契約の当事者となるため、物件ごとの契約や支払い、更新・解約など、より幅広い業務を委託できます。
住宅手当から社宅制度へ移行する際は、制度のメリットだけでなく、導入後に発生する管理業務まで見通したうえで、自社管理とアウトソーシングの範囲を検討することが重要です。
社宅管理のアウトソーシングで人事・総務の負担を削減
社宅制度は、従業員にとって魅力的な福利厚生です。しかし、いざ導入するとなると物件探しから契約手続き、毎月の家賃支払いなど煩雑な管理業務が伴うため、効率的な運用体制の構築が成功の鍵を握ります。
そこで注目されているのが、社宅代行サービスの活用です。外部の専門サービスを取り入れることで、人事・総務担当者の負担を抑えながら、従業員へ質の高い住宅支援を提供することが可能になります。
転貸方式で社宅管理を効率化できる
社宅代行サービスのなかには、代行会社が物件を借り上げて企業に貸し出す「転貸方式」を採用しているものがあります。この方式を活用することで、以下のような業務効率化が実現します。主なメリットは次の2つです。
①窓口の集約
複数ある不動産会社やオーナーとのやり取り、毎月の家賃の支払い窓口を一本化できます。
②事務負担の削減
新規契約や更新、解約に伴う煩雑な手続きをすべて一括して委託可能です。
結果として社宅制度の運用フローがスリム化され、人事・総務部門は本来注力したいコア業務へ集中しやすくなります。
家具・家電付き社宅で従業員満足度を高められる
社宅制度の満足度をさらに高める施策として、「家具・家電付き物件」の提供も効果的です。家具家電付き物件のメリットは以下になります。
①引っ越しコストの削減
新生活に向けて家具・家電を買い揃える初期費用や、引っ越し費用を抑えることができます。
②スムーズな生活基盤の構築
転勤などで赴任した直後から、すぐに快適な生活をスタートできる環境が整います。
従業員にとって精神的・金銭的な負担が軽減されるため、従業員満足度や企業への定着率の向上に直結します。
管理負担の軽減と採用力向上を両立できる
社宅管理業務をアウトソーシングする最大のメリットは、管理業務負担の削減と採用力の強化を同時に実現できる点にあります。
自社のリソースを圧迫することなく、充実した住宅支援制度を整備することは、企業としての福利厚生の魅力を底上げします。人材獲得競争が激化する現代において、競合他社との差別化を図り、採用競争力の強化や離職防止を実現するための施策として活用しやすくなります。
まとめ
この記事では、住宅手当の平均支給額や近年の動向と、自社に合った住宅支援制度へ見直すためのポイントについて、以下の内容を解説しました。
住宅手当の平均支給額と運用見直しが求められる背景
住宅手当を見直す前に整理したい目的・対象者・費用負担
住宅手当を継続・改定・代替する際の選択肢
住宅手当から社宅制度へ切り替える際のポイント
社宅制度の管理負担を抑える方法
住宅手当の平均支給額は、自社の制度を検討する際の参考になります。ただし、平均額に合わせて支給額を調整するだけでは、自社が抱える課題を解決できるとは限りません。働き方や居住地、従業員構成が多様化するなかでは、住宅支援の目的や対象者、支給条件、企業と従業員の負担、運用にかかる業務まで整理したうえで、制度全体を見直すことが重要です。
見直し方法には、住宅手当を継続するほか、支給条件や金額を改定する、基本給や別の福利厚生へ組み替える、社宅制度へ移行・併用するといった選択肢があります。社宅制度へ切り替える場合は、対象者や家賃上限、従業員負担額、既存制度からの移行方法などをあらかじめ定め、従業員へ変更の目的と内容を丁寧に説明しましょう。
また、社宅制度では、物件探しや契約、家賃の支払い、更新、退去時の精算など、住宅手当とは異なる管理業務が発生します。
『リロケーション・ジャパン』の社宅管理サービスでは、転貸方式を活用し、物件探しから契約、支払い、入退去管理までを一括して支援しています。住宅支援制度の見直しに伴う人事・総務部門の負担を抑えたい場合は、自社で行う業務を整理したうえで、アウトソーシングの活用をご検討ください。




