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企業で住宅手当が廃止される背景とは。3つの代替施策で福利厚生の充実を

住宅手当とは、企業が従業員に提供する福利厚生の一つです。従業員が暮らす住居の費用を企業側で一部負担することで、従業員の生活に関する負担を軽減できます。

しかし、近年ではその住宅手当を廃止する企業も見られます。

人事総務部門のご担当者さまのなかには、「住宅手当が廃止されるのはなぜなのか」「住宅手当の代わりとなる福利厚生を知りたい」などとお考えの方もいるのではないでしょうか。

この記事では、住宅手当の廃止が進む背景や廃止する際の注意点、代替となる施策について解説します。


目次[非表示]

  1. 1.住宅手当の廃止が進む背景
  2. 2.住宅手当を廃止する際の注意点
  3. 3.住宅手当の代替になる施策
    1. 3.1.①住宅以外の手当や福利厚生を拡充する
    2. 3.2.②給与制度の見直しを行う
    3. 3.3.③社宅制度を導入する
  4. 4.まとめ


住宅手当の廃止が進む背景

企業において住宅手当が廃止される背景としては、以下が考えられます。


▼住宅手当が廃止される背景

  • 働き方が多様化している
  • 同一労働同一賃金に対応する必要がある
  • コスト面での負担が大きい
  • 住宅手当制度より社宅制度の方が福利厚生が手厚い


テレワークやジョブ型雇用など働き方が多様化しており、住宅だけに対するものの域を超えた、幅広いサポートが求められるケースがあります。

また、働き方改革によって同一労働同一賃金が求められるようになったため、正社員にだけ手当を支給することが難しくなりました。しかし、非正規を含めた全従業員に住宅手当を支給しようとすると、コスト面でこれまで以上に負担がかかってしまいます。

さらに、採用戦略の観点では、住宅手当よりも社宅制度を導入したほうが福利厚生の充実度をアピールできることも、住宅手当の廃止が進む理由の一つと考えられます。



住宅手当を廃止する際の注意点

住宅手当を廃止する際は、以下の点に注意する必要があります。


▼住宅手当を廃止する際の注意点

  • 従業員の不満につながる場合がある
  • 一方的な廃止は不利益変更として扱われる可能性がある


住宅手当は給与の一部なため、廃止するとその分だけ給与が減ってしまい、従業員の不満につながりやすくなります。また、モチベーションや帰属意識の低下、人材流出につながる可能性もあります。

さらに、従業員の同意を得ずに一方的に廃止した場合、『労働契約法』第9条に定められた不利益変更に該当することもあります。


▼労働契約法第9条

第九条 使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。ただし、次条の場合は、この限りでない。

引用元:e-Gov法令検索『労働契約法


出典:国税庁『No.2508 給与所得となるもの』/e-Gov法令検索『労働契約法



住宅手当の代替になる施策

住宅手当の廃止に当たって従業員の同意を得るためには、住宅手当の代替になる施策を行うことが有効です。


①住宅以外の手当や福利厚生を拡充する

住宅以外の手当や福利厚生を拡充することで、住宅手当では対応できなかった部分での従業員満足度の向上を図れます。


▼住宅以外の手当・福利厚生の例

  • 子ども手当の支給
  • 在宅勤務手当の支給
  • カフェテリアプランの導入 など


カフェテリアプランとは、従業員に一定額のポイントが支給され、ポイントの範囲内で従業員自身が福利厚生をメニューから選択する方法を指します。


②給与制度の見直しを行う

住宅手当の廃止に際して給与制度の見直しを行うことで、住宅手当の廃止によって実質的に減額されてしまう給与への補填を実施できます。

ただし、基本給を一度上げると後から下げることは難しいため、慎重に検討する必要があります。


③社宅制度を導入する

従業員の住居に対する福利厚生を続ける場合、住宅手当の代わりに社宅制度を導入する方法があります。

社宅制度とは、住宅手当と同じ法定外福利厚生の一つで、社有の物件や借り上げた物件を従業員の住居として提供する制度です。

住宅手当は所得税や住民税における課税対象ですが、社宅は賃貸料相当額以上の金額を社宅使用料として従業員から徴収していれば非課税となります。


▼賃料相当額

賃貸料相当額とは、次の(1)から(3)の合計額をいいます。


(1)(その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×0.2パーセント

(2)12円×(その建物の総床面積(平方メートル)/3.3(平方メートル))

(3)(その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×0.22パーセント


(注)会社などが所有している社宅や寮などを貸与する場合に限らず、他から借りて貸与する場合でも、上記の(1)から(3)を合計した金額が賃貸料相当額となります。


したがって、他から借り受けた社宅や寮などを貸す場合にも、貸主等から固定資産税の課税標準額などを確認することが必要です。

引用元:国税庁『No.2597 使用人に社宅や寮などを貸したとき


なお、社宅と住宅手当の違いについてはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。

  福利厚生における社宅の位置づけや種類、住宅手当との違いを解説 企業にはさまざまな福利厚生が導入されていますが、なかでも労働者が必要だと感じている制度の一つに、“家賃補助・住宅手当の支給”があります。社宅の導入にあたって「どのような種類があるのか」「住宅手当と違って何に注意したらよいか分からない」と気になる人事・総務部門の方もいるのではないでしょうか。この記事では、福利厚生の一つである社宅の位置づけをはじめ、基本的な社宅の種類と住宅手当との違いについて解説します。 リロの社宅管理│業務削減効果90%以上のアウトソーシングサービス


出典:国税庁『No.2508 給与所得となるもの』『No.2597 使用人に社宅や寮などを貸したとき



まとめ

この記事では、住宅手当の廃止について以下の内容を解説しました。


  • 住宅手当の廃止が進む背景
  • 住宅手当を廃止する際の注意点
  • 住宅手当の代替になる施策


働き方改革や働き方の多様化、コスト面の負担などを背景に、住宅手当を廃止する企業が見られます。従業員が不満を感じないための代替策としては、住宅以外の手当・福利厚生の拡充や給与制度の見直し、社宅制度の導入などが挙げられます。

住宅費用の負担が軽減される社宅は、従業員にとって魅力的な福利厚生です。企業としてのアピールポイントとなるため、採用戦略としても効果が期待できます。

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