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福利厚生における社宅の位置づけや種類、住宅手当との違いを解説

企業にはさまざまな福利厚生が導入されていますが、なかでも労働者が必要だと感じている制度の一つに、“家賃補助・住宅手当の支給”があります。


引用元:厚生労働省『令和2年版厚生労働白書


社宅の導入にあたって「どのような種類があるのか」「住宅手当と違って何に注意したらよいか分からない」と気になる人事・総務部門の方もいるのではないでしょうか。

この記事では、福利厚生の一つである社宅の位置づけをはじめ、基本的な社宅の種類と住宅手当との違いについて解説します。


出典:厚生労働省『令和2年版厚生労働白書


目次[非表示]

  1. 1.福利厚生における社宅の位置づけ
  2. 2.社宅の種類
    1. 2.1.借上社宅
    2. 2.2.社有社宅
  3. 3.社宅と住宅手当の違い
    1. 3.1.提供・支給方法
    2. 3.2.課税の有無
    3. 3.3.管理・運用の負担
  4. 4.社宅制度を導入する際の注意点
  5. 5.まとめ


福利厚生における社宅の位置づけ

企業が導入する福利厚生は、法定福利厚生と法定外福利厚生の大きく2つに分けられており、社宅は法定外福利厚生に該当します。


▼法定福利厚生と法定外福利厚生の内容

種類
内容
法定福利厚生
  • 健康保険
  • 厚生年金保険
  • 介護保険
  • 雇用保険
  • 児童手当拠出金
  • 労働者災害補償保険
法定外福利厚生
  • 医療費の補助
  • 育児費用の補助
  • 介護休暇制度
  • 通勤・住宅費用の補助
  • 慶弔給付
  • スポーツ施設利用費用の補助 など


法定福利厚生は、法律で導入が義務づけられており、企業がその費用の全額を負担する、もしくは従業員が一部を負担することが定められています。

一方、法定外福利厚生は法律による定めはなく、企業が任意で独自の制度を導入することが可能です。近年では、ワーク・ライフ・バランスや働き方の多様化などを踏まえて、さまざまな法定外福利厚生を導入する企業が見られています。

なかでも住宅に関する福利厚生は、毎月固定で発生する家賃の負担を抑えられるため、従業員にとって経済的なメリットが大きいと考えられます。福利厚生を充実させることで、働きやすい職場環境となり、エンゲージメント向上や離職防止、生産性の向上にもつながると期待できます。


出典:厚生労働省『勤労者の福利厚生について



社宅の種類

企業が福利厚生の一環として導入する社宅には、借上社宅と社有社宅の大きく2つの種類があります。


項目
借上社宅
社有社宅
物件の所有者
オーナー
自社
物件選択の自由度
高い
低い


借上社宅

借上社宅は、賃貸物件を企業が借り入れて従業員に貸し出す住居のことです。賃貸借契約や管理会社・物件オーナーへの賃料の支払いは企業が行い、賃料の一部を給与から差し引く仕組みです。

従業員は、決められた条件の範囲内で住みたい物件を選択できるため、満足度も高くなりやすいと考えられます。


社有社宅

社有社宅は、自社で所有する物件を従業員に貸し出す住居のことです。企業がマンションやアパートなどを一棟単位で購入・所有して、社宅として提供することが一般的です。賃料は、企業が任意で設定した金額を従業員が支払います。

社有社宅の場合、従業員が立地・間取りを自由に選択することはできません。ただし、食事付き社宅のような高付加価値化を図ったり、賃貸物件の市場流通量が少ない地域でも安定的に住居を確保したりできるメリットがあります。

なお、借上社宅のメリットや社有社宅の違いについては、こちらの記事で詳しく解説しています。

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社宅と住宅手当の違い

住宅に関する福利厚生の一つに“住宅手当”がありますが、社宅とは運用の仕組みが異なります。

それぞれの違いは、以下のとおりです。


▼社宅・住宅手当の違い

項目
社宅
住宅手当
提供・支給方法
住居(現物)の提供
金銭の支給
課税の有無
原則非課税
課税
管理・運用の負担
あり
なし


ここからは、社宅・住宅手当の違いについて詳しく解説します。


提供・支給方法

住宅手当は金銭で従業員に支給するのに対して、社宅は住居(現物)を提供するという違いがあります。

住宅手当は、従業員が住む賃貸物件の賃料や、持ち家の住宅ローン返済といった費用の一部を企業が補助する福利厚生です。従業員が自ら決めた物件において、企業が定める支給条件を満たしている場合に手当を支給します。

一方、社宅は金銭の支給ではなく、企業が借り入れた、または所有する住宅を貸し出して、賃料の一部を従業員から徴収します。従業員は、個人で契約するよりも安い家賃で入居できるようになります。


課税の有無

住宅手当は課税対象ですが、社宅は一定の条件を満たすことで非課税になります。

住宅手当は、給与と一緒に支給することから従業員の経済的利益とみなされるため、所得税・住民税の課税対象です。

また、住宅手当の支給によって社会保険料の算定基礎額が増えることで、企業が負担する社会保険料が増える可能性もあります。

一方、社宅は従業員から徴収する金額が賃貸料相当額以上であれば、原則非課税です。なお、賃貸料相当額とは以下の合計額を指します。


▼賃貸料相当額

(1)(その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×0.2パーセント
(2)12円×(その建物の総床面積(平方メートル)/3.3(平方メートル))
(3)(その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×0.22パーセント
(注)会社などが所有している社宅や寮などを貸与する場合に限らず、他から借りて貸与する場合でも、上記の(1)から(3)を合計した金額が賃貸料相当額となります。

引用元:国税庁『No.2597 使用人に社宅や寮などを貸したとき

出典:国税庁『No.2597 使用人に社宅や寮などを貸したとき


なお、こちらの記事では、住宅手当支給(現金支給)と給与天引きによる社宅貸与(現物支給)の違い、給与天引きのメリットと実施時の注意点を解説しています。併せてご覧ください。

  社宅使用料を給与天引きにするメリットと注意点 従業員の住居費を支援する制度は、大きく“住宅手当・家賃補助の支給(現金給与)”と“給与天引きによる社宅貸与(現物給与)”の2種類に分けられます。 どちらも福利厚生制度に関する取組みですが、それぞれの違いについて明確に把握している担当者の方は少ないのではないでしょうか。 社宅制度を導入する際は、企業側と従業員側の双方にメリットがある取組みを選択することが望ましいです。 この記事では、住宅手当支給(現金支給)と給与天引きによる社宅貸与(現物支給)の違い、給与天引きのメリットと実施時の注意点を解説します。 リロの社宅管理│業務削減効果90%以上のアウトソーシングサービス



管理・運用の負担

住宅手当よりも、社宅のほうが社内の管理・運用負担は大きくなります。

住宅手当の場合、金銭で手当を支給するため、手続きに関する負担は多くありません。

一方、社宅の場合は、賃貸借契約に関する手続きや支払い業務、入居・退去管理などが必要です。幅広い業務で、社宅管理者の負担が増加しやすくなります。

なお、社宅と住宅手当のメリット・デメリットについては、こちらから資料をダウンロードいただけます。

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社宅制度を導入する際の注意点

社宅制度は、従業員の家賃などの負担を抑えられることがメリットですが、導入にあたって注意点もあります。


▼社宅制度を導入する際の注意点

  • 管理業務の負担が増加する
  • 短期解約の場合は違約金が発生する


借上社宅の場合、賃貸借契約をはじめ、賃料や保険料の支払い、契約更新手続き、退去時の通知などのさまざまな業務を社内で行う必要があります。

また、社有社宅を導入するには、土地・物件の取得に高額な初期費用がかかるほか、維持管理や修繕などの対応が求められるため、コスト・労力がかかります。社内の運用リソースが不足している場合には、社宅管理代行サービスを活用することも一つの方法です。

さらに、借上社宅には、賃貸借契約の契約期間が定められているケースがあります。短期間で途中解約すると違約金の支払いが求められることがあるため、賃貸借契約を締結する際は、契約期間や違約金の発生有無について確認しておくことが重要です。

なお、短期解約時の違約金については、こちらの記事で詳しく解説しています。

  【社宅管理業務】短期解約の違約金とは? 物件と社宅制度の注意点 社宅に入居している従業員は、結婚や退職などを理由に退去することになり、短期解約が発生するケースがあります。 自社が所有する社宅の場合、違約金は発生しませんが、借上社宅の場合、短期解約をする際に違約金が発生することがあります。社宅管理業務を行ううえで、「短期解約の違約金は従業員と会社側のどちらが支払うのだろう」「トラブルに発展させないために注意点を知りたい」と考える担当者の方もいるのではないでしょうか。 この記事では、短期解約による違約金の基本情報や物件の注意点、社宅規程を定める際の注意点について解説します。 リロの社宅管理│業務削減効果90%以上のアウトソーシングサービス



まとめ

この記事では、福利厚生の一つとなる社宅について以下の内容を解説しました。


  • 福利厚生における社宅の位置づけ
  • 社宅の種類
  • 社宅と住宅手当の違い
  • 社宅制度を導入する際の注意点


社宅は、法律による定めがない法定外福利厚生に該当しており、企業が任意で独自の制度を導入することが可能です。

住宅に関する福利厚生には住宅手当も挙げられますが、従業員への提供・支給方法や課税の有無、運用の負担などの点に違いがあります。

社宅の場合、通常の家賃よりも安く入居ができる、原則非課税になるなどの従業員側のメリットがあるため、満足度の向上につながることが期待できます。ただし、運用にあたって管理業務の負担が増加したり、契約期間内での解約に違約金が発生したりする可能性があるため注意が必要です。

リロケーション・ジャパン』の社宅管理サービスでは、転貸方式による借上社宅の運用や、社有社宅における業務代行を行っています。社宅担当者の業務負担を抑えつつ、従業員に喜ばれる福利厚生を導入できます。

詳しくは、こちらからお問い合わせください。

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