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法定外福利厚生とは。企業が導入できる多様な制度とメリット・デメリット

※2025年10月23日更新

企業が優秀な人材の確保・定着化を目指すには、働きやすい職場づくりや従業員エンゲージメントの向上に取り組むことが重要といえます。

その一環として、従業員に喜ばれる法定外福利厚生を導入することは、職場に対する満足度の向上につながり、企業にもよい影響をもたらすと考えられます。

人事総務部門のご担当者さまのなかには「法定外福利厚生で従業員の満足度を高めたい」「働きやすさを向上させるために、企業ができるサポートを行いたい」とお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この記事では、法定外福利厚生の概要と企業が行える10種類のサポート、費用、導入メリット・デメリット、企業の実際の事例について解説します。

目次[非表示]

  1. 1.法定外福利厚生とは
  2. 2.法定外福利厚生の主な種類
    1. 2.1.➀財産形成
    2. 2.2.②休暇制度
    3. 2.3.③健康・食事
    4. 2.4.④自己啓発
    5. 2.5.⑤育児・介護
    6. 2.6.⑥余暇活動・レクリエーション
    7. 2.7.⑦働き方
    8. 2.8.⑧通勤
    9. 2.9.⑨慶弔・災害時の支援
    10. 2.10.⑩住宅
  3. 3.法定外福利厚生の費用
    1. 3.1.平均的な法定外福利厚生費
    2. 3.2.企業規模や業界ごとの違い
    3. 3.3.導入コストと費用対効果
  4. 4.法定外福利厚生のメリット・デメリット
    1. 4.1.メリット
    2. 4.2.デメリット
  5. 5.法定外福利厚生のユニークな事例
  6. 6.リロケーション・ジャパンのサービス導入事例
  7. 7.まとめ

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法定外福利厚生とは

法定外福利厚生とは、企業が独自に導入できる福利厚生です。

法律によって導入が義務づけられている“法定福利厚生”に含まれないものは、すべて法定外福利厚生に該当します。

▼法定福利厚生に含まれるもの

  • 健康保険
  • 厚生年金保険
  • 雇用保険
  • 労災保険(労働者災害補償保険)
  • 介護保険
  • 子ども・子育て拠出金

対して、法定外福利厚生は企業ごとに裁量があり、従業員のニーズや経営戦略に応じて設計されるのが特徴です。一般的に、法定外福利厚生は以下のような目的で導入されます。

  • 従業員の生活支援(社宅や住宅手当、食事補助など)
  • 健康増進(フィットネス利用補助、健康診断の拡充)
  • 能力開発(資格取得支援、研修費用補助)
  • ワークライフバランス推進(休暇制度、育児・介護支援)

近年、ワーク・ライフ・バランスや多様な働き方が重要視されており、企業の法定外福利厚生は従業員の満足度を高めるうえで重要な要素の一つとなっております。法定外福利厚生を充実させることで、人材の採用や定着化、従業員エンゲージメントの向上などにつながり、組織力の強化にも結びつくと考えられます。

一方で、法定外福利厚生は導入・維持にコストがかかるため、経営資源の配分を見極める必要があります。また、導入後の不利益変更は労働契約法上のトラブルにつながる可能性もあるため、制度設計には慎重さが求められます。

出典:厚生労働省『就労条件総合調査 用語の解説

法定外福利厚生の主な種類

法定外福利厚生には、従業員と家族に対する経済的なサポートのほか、仕事とプライベートの両立を支援したり、組織の活性化を促したりするものがあります。

➀財産形成

財産形成に関する制度は、従業員の生活基盤を安定させることを目的とした福利厚生です。企業が貯蓄や資産運用をサポートすることで、従業員が長く安心して働き続けられるようになります。

▼財産形成に関する制度例

  • 社内預金制度
  • 財形貯蓄制度
  • 持ち株制度
  • 住宅取得に対する融資制度
  • ストックオプション制度
  • 資産運用や金融に関する相談会・セミナーの開催 など

②休暇制度

休暇制度は、従業員のワーク・ライフ・バランス向上や心身のリフレッシュを促すことを目的とした福利厚生です。

年次有給休暇とは別に独自の休暇制度を設けることで、プライベートでの生活が充実して仕事へのモチベーション向上につながることが期待できます。

▼休暇制度の例

  • アニバーサリー休暇
  • リフレッシュ休暇
  • 夏季・冬季休暇
  • ボランティア休暇
  • 結婚や出産に関する特別休暇 など

③健康・食事

健康・食事に関する制度は、従業員の健康維持・増進を図ることを目的とした福利厚生です。近年、従業員の健康管理に投資する経営の考え方が注目されています。

従業員が心身ともに健康で働けるように健康面でのサポートを行うことで、生産性の向上や休業・離職の防止につながり、結果的に組織の活性化、企業価値の向上にも結びつくと考えられます。

▼健康・食事関連の制度例

  • 人間ドックの受診補助
  • 昼食・飲み物の提供
  • 食事手当の支給
  • ジム施設の費用補助 など

④自己啓発

自己啓発に関する制度は、従業員が自ら学び成長できる環境の提供やスキルアップ・キャリア形成を支援することを目的とした福利厚生です。

新たな知識やスキルを習得してキャリアアップを目指す従業員は、高いモチベーションで業務に取り組み、組織全体の活性化に貢献します。従業員のスキルアップが、企業全体の生産性を高めます。

▼自己啓発関連の制度例

  • 資格の参考書や講座の受講にかかる費用の補助
  • 外部セミナーに参加する費用の補助
  • 留学・海外研修制度
  • 自己啓発プログラムの提供 など

⑤育児・介護

育児・介護に関する制度は、仕事とプライベートの両立を支援することを目的とした福利厚生です。

育児休業や介護休業は法定制度として存在しますが、それを上回る独自支援を設ける企業も多いです。ライフステージや家庭環境が変わっても安心して働き続けられる環境を整えることで、人材の定着化を図れます。

▼育児・介護関連の制度例

  • 育児休業・介護休業の延長制度
  • 託児所の設置
  • ベビーシッターや託児所の利用、介護に関する費用の補助
  • 短時間勤務制度 など

⑥余暇活動・レクリエーション

余暇活動・レクリエーションは、組織の活性化やリフレッシュを促すことを目的とした福利厚生です。従業員同士でのコミュニケーションを活性化したり、家族との休暇を充実させたりする制度があります。

▼余暇活動・レクリエーション関連の制度例

  • 社員旅行
  • 社内サークル活動の支援
  • 歓送迎会や親睦会の費用補助
  • 文化施設やレジャー施設の費用補助 など

⑦働き方

働き方改革によって多様な働き方が推進されるなか、従業員が個々の事情に応じて柔軟な働き方を選べる福利厚生を導入している企業があります。

フルタイムかつ固定された時間帯での勤務が難しい従業員でも働き続けられる制度を設けることで、優秀な人材の離職を防げます。

▼働き方関連の制度例

  • 短時間勤務制度
  • フレックスタイム制度
  • 時差出勤制度
  • テレワーク制度 など

⑧通勤

通勤に関する制度は、従業員の経済的な負担を抑えることを目的とした福利厚生です。会社から離れたエリアに引越しする従業員の離職を防いだり、遠方に住む求職者からの応募を増やしたりすることが期待できます。

▼通勤関連の制度例

  • 電車やバスにおける定期券の補助
  • マイカー通勤者に対するガソリン代や駐車場代の補助
  • 自転車の貸与または購入費の補助 など

⑨慶弔・災害時の支援

慶弔や災害があった際に、従業員へ金銭的な支援を行う福利厚生です。従業員と家族を大切にする気持ちを示すことにより、従業員エンゲージメントの向上につながると考えられます。

▼慶弔・災害時の支援に関する制度例

  • 結婚・出産祝い金
  • 弔慰金
  • 傷病見舞金
  • 災害見舞金 など

⑩住宅

住宅に関する制度は、従業員の安定した生活環境の維持を目的とした福利厚生です。住居に関する経済的なサポートを行うことで、従業員の満足度向上や定着化につながると考えられます。

▼住宅関連の制度例

  • 住宅手当(家賃補助)
  • 社宅の貸与
  • 引越し費用の補助
  • 住宅ローンの補助 など

→【おすすめ!】記事とあわせて読みたい「社宅制度と住宅手当のメリット・デメリット」

法定外福利厚生の費用

法定外福利厚生を導入する際に多くの企業が直面するのが「費用」の問題です。従業員にとって魅力的な制度であっても、企業側に過度な負担がかかれば持続的な運用は難しくなります。

平均的な法定外福利厚生費

厚生労働省が公表する『令和3年就労条件総合調査の概況』によれば、日本企業における法定外福利厚生費は1人当たり1ヶ月4,882円(平均)で、年間約5〜7万円になります。

▼法定外福利費の平均額

法定外福利費の平均額

画像引用元:厚生労働省『令和3年就労条件総合調査の概況

費用の内訳としては、住宅関連(社宅・寮)が大きな割合を占め、次いで医療保険、食事補助が続きます。これは、従業員の生活基盤に直結する施策ほど導入率が高いことを示しています。

出典:厚生労働省『令和3年就労条件総合調査の概況

企業規模や業界ごとの違い

法定外福利厚生の支出額は、企業規模や業界によって大きく異なります。

大企業は社宅や保養所などハード面に投資する傾向が強いのに対し、中小企業では住宅手当よりも、食事補助や資格取得支援といった比較的低コストな施策が中心です。

また、IT業界やスタートアップではテレワークやフレックスタイムといった「働き方支援型」が重視されています。一方、製造業や金融業では住宅や慶弔支援など伝統的な福利厚生が根強く導入されています。

導入コストと費用対効果

法定外福利厚生の導入はコストだけでなく、その効果を測る視点が不可欠です。

社宅制度の導入はコストがかかりますが、従業員の定着率向上や転勤時の配置調整をスムーズにする効果が期待できます。また、食事補助制度は健康増進による医療費削減や生産性向上につながりやすい取り組みといえます。

こうした施策をROI(Return On Investment:投資利益率)を意識した制度設計を行うことで、福利厚生は単なる「経費」ではなく「戦略的投資」として位置づけられます。

法定外福利厚生のメリット・デメリット

法定外福利厚生には多くのメリットがある一方で、導入や運用に伴うデメリットやリスクも存在します。導入の際は、両方を理解したうえで、自社に適した制度を選ぶことが大切です。

メリット

メリットは、従業員のモチベーション向上と定着率改善です。

生活支援や自己啓発支援を通じて「大切にされている」と感じた従業員は、長期的に働き続けたいと考える傾向があります。

また、求職者が企業を比較する際、「給与水準」と並んで「福利厚生の充実度」が意思決定の重要な要素になっています。このため、福利厚生の充実は採用競争力の強化にもつながります。

デメリット

一方で、法定外福利厚生にはデメリットも存在します。

第一に、導入コストがかかり、管理業務の手間も発生します。また、不利益変更のリスクがあります。経営環境の悪化を理由に廃止や縮小を行うと、従業員とのトラブルに発展する可能性があります。

労働契約法』では「労働条件の不利益変更」に厳しい制限があるため、慎重な運用が求められます。

▼労働契約法 第9・10条

(就業規則による労働契約の内容の変更)
第九条 使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。ただし、次条の場合は、この限りでない。
第十条 使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の変更によっては変更されない労働条件として合意していた部分については、第十二条に該当する場合を除き、この限りでない。

引用元:e-Gov法令検索『労働契約法

また、税制上の扱いにも留意が必要です。例えば食事補助や社宅制度は一定の基準を満たさなければ課税対象となり、企業にも従業員にも思わぬ負担が発生します。最新の国税庁や厚労省のガイドラインを随時確認し、コンプライアンスを確保することが不可欠です。

出典:出典:e-Gov法令検索『労働契約法』/国税庁『No.2508 給与所得となるもの』『No.2582 電車・バス通勤者の通勤手当』『No.2585 マイカー・自転車通勤者の通勤手当』『No.2597 使用人に社宅や寮などを貸したとき』『No.2594 食事を支給したとき

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法定外福利厚生のユニークな事例

法定外福利厚生には、従業員の生活を豊かにする多様な工夫があります。

近年注目を集めているのは、従来型の住宅や食事支援に加えて、ユニークで差別化された福利厚生です。例えば、以下が挙げられます。

  • ペット保険料の一部補助
  • 不妊治療費用のサポート
  • 社員の副業推進支援
  • ゲーム大会やeスポーツ部活動の補助

これらは従業員の多様なニーズに対応し、企業文化を示す手段としても機能しています。

リロケーション・ジャパンのサービス導入事例

リロケーションジャパンは、借上社宅プラン・社有社宅プランの運用代行サービスを中心に、社宅制度の設計・見直しから運用管理、家具・家電付き物件の紹介、戸数が少ない企業向けの運用支援まで幅広く手がけています。

今回の事例では、従来の住宅手当支給制度からリロの転貸型社宅制度への切り替えを行った背景があり、これによって業務工数の削減や運用の効率化が実現しました。

▼導入前の課題

新店舗展開で転勤者が増え、手当支給中心の制度では「立替精算」「説明対応」「規程構築や見直し」などの業務負荷が膨大になっていました。

▼導入の決め手

導入時期に合わせたスケジュール提案と、導入前の疑問点を丁寧に解消するサポート体制が信頼につながりました。

▼導入後の効果

社宅業務の工数が大幅に削減され、社員の負担を軽減することができました。また、問い合わせ数も減少し、安定して運用できるようになりました。

事例詳細はこちらからご確認いただけます。

【詳しく知りたい!】『リロの社宅管理』を導入・利用企業様の事例はこちら

まとめ

この記事では、法定外福利厚生について以下の内容を解説しました。

  • 法定外福利厚生の概要
  • 法定外福利厚生の主な種類と制度例
  • 法定外福利厚生の費用
  • 法定外福利厚生のメリット・デメリット
  • 導入事例

法定外福利厚生を充実させると、働きやすさや安定した生活の維持につながり、従業員エンゲージメントが向上します。人材の定着化や採用の強化、生産性の向上など企業にとってもよい影響が期待できるため、従業員のニーズを踏まえて導入を検討されてはいかがでしょうか。

なかでも住宅面のサポートは、従業員の生活における大きな負担を軽減することができるため、満足度をあげるサポートといえます。

リロケーション・ジャパン』では、転貸方式による借上社宅のフルアウトソーシングや社有社宅の運用代行を行っております。社宅の運用管理を行う負担を削減して、従業員に喜ばれる福利厚生を導入できます。

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