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社宅の家賃はどのように決める? 従業員から徴収する使用料の決め方

福利厚生の一環として社宅を提供する際は、従業員から一定の家賃(使用料)を徴収します。家賃に対してどのくらいの使用料を徴収するかによって源泉所得税の扱いが変わるため、仕組みを踏まえて設定することが必要です。

人事総務部門のご担当者さまのなかには「社宅の使用料をどのように決めるとよいのか」「徴収する金額によって源泉所得税の扱いがどう変わるのか」と気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この記事では、社宅を提供する際の源泉所得税の扱いや従業員から徴収する使用料の決め方、社宅の使用料に関するよくある疑問について解説します。

なお、一般的な賃貸物件の家賃についてはこちらの記事をご確認ください。

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目次[非表示]

  1. 1.従業員から徴収する社宅の使用料の決め方
    1. 1.1.一般の従業員に貸与する場合
    2. 1.2.役員に貸与する場合
      1. 1.2.1.種別1|小規模な住宅
      2. 1.2.2.種別2|小規模な住宅でない住宅
      3. 1.2.3.種別3|豪華社宅
  2. 2.社宅を提供する際の源泉所得税の扱い
  3. 3.社宅の使用料に関するよくある疑問
    1. 3.1.光熱費はどちらが負担するのか
    2. 3.2.社宅の使用料の負担割合は一律にする必要はあるのか
    3. 3.3.従業員が個人契約する住宅の家賃補助は課税対象となるのか
  4. 4.まとめ


従業員から徴収する社宅の使用料の決め方

従業員から徴収する社宅の使用料は、賃貸料相当額を基準に考えます。社宅の対象者によって賃貸料相当額の算出方法が異なります。


一般の従業員に貸与する場合

一般の従業員に社宅を貸与する場合には、賃貸料相当額を算出して50%以上の金額を設定していれば、給与として課税されません。


▼賃貸料相当額の算出方法

以下の1~3を合計した金額を算出する

  1. (その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×0.2%
  2. 12円×(その建物の総床面積(㎡)/3.3㎡)
  3. (その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×0.22%


賃貸料相当額の算出方法は、企業が保有する社宅・社員寮のほか、賃貸物件を借りて貸与する場合も同様となります。賃貸物件を借りて貸与する際には、貸主にその建物・敷地における固定資産税の課税標準額を確認する必要があります。


出典:国税庁『No.2597 使用人に社宅や寮などを貸したとき


役員に貸与する場合

役員に社宅を貸与する場合には、1ヶ月当たりに徴収する使用料を賃貸料相当額に設定していれば、給与として課税されません。ただし、貸与する住宅の床面積や種別によっては、賃貸料相当額の扱いが異なります。


種別1|小規模な住宅

小規模な住宅に該当する場合は、一般の従業員に社宅を貸与する場合と賃貸料相当額の算出方法が同じになります。


▼小規模な住宅に該当する条件

  • 法定耐用年数が30年以下の建物であれば、床面積が132m2以下
  • 法定耐用年数が30年を超える建物であれば、床面積が99m2以下


出典:国税庁『No.2597 使用人に社宅や寮などを貸したとき』『No.2600 役員に社宅などを貸したとき


種別2|小規模な住宅でない住宅

小規模な住宅に該当しない住宅を役員に貸与する場合は、社有社宅か借上社宅のどちらかによって賃貸料相当額の算出方法が変わります。


▼賃貸料相当額の算出方法

社宅の種別
算出方法
社有社宅
次のAとBを合計した額の12分の1
  • その年度における建物の固定資産税の課税標準額×12%
  • その年度における敷地の固定資産税の課税標準額×6%
借上社宅
貸主に支払う家賃の50%に当たる金額と、社有社宅の場合に算出した賃貸料相当額のいずれが多い方


※法定耐用年数が30年を超える建物の場合には10%を乗じる


出典:国税庁『No.2600 役員に社宅などを貸したとき


種別3|豪華社宅

一般的に貸与される住宅とは認められない豪華社宅は、“その住宅の利用にあたって通常支払うべきとされる使用料の相当額”が賃貸料相当額となります。

役員に貸与する社宅が豪華社宅に当たるか否かは法律による明確な定義がなく、床面積・設備・内外装の状況などを総合的に見て判断されます。


なお、豪華社宅についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

  豪華社宅とは? 住宅の取り扱いや使用料の設定に関する注意点 社宅とは、企業が所有あるいは借り上げた物件を従業員に貸与して、一定の使用料を徴収する制度のことです。社宅制度で貸与する住宅の種別に“豪華社宅”があり、一般的な住宅とは税制上の取り扱いが異なります。今回は、豪華社宅の取り扱いや使用料の設定に関する注意点について解説します。 リロの社宅管理│業務削減効果90%以上のアウトソーシングサービス



社宅を提供する際の源泉所得税の扱い

従業員から徴収する社宅の使用料により、源泉所得税の扱いが変わります。

社宅を提供する際に1ヶ月当たり一定額の使用料(賃貸料相当額の50%以上)を従業員から受け取っている場合には、給与として課税されません。

一方、無償で社宅を提供している場合や、従業員から徴収する使用料が賃貸料相当額の50%未満となる場合には差額分または全額が給与として課税されます。


▼賃貸料相当額が6万円の部屋を社宅として貸与する場合の例

従業員から徴収する使用料
源泉所得税の扱い
4万円(賃貸料相当額の50%以上)
差額の2万円分は給与として課税されない
2万円(賃貸料相当額の50%未満)
差額の4万円分が給与として課税される
0円(無償)
6万円が給与として課税される


※源泉所得税とは、企業が従業員に支払う毎月の給与から差し引いて納付する所得税のこと。源泉所得税となる報酬は、金銭だけでなく物品の提供も含まれます。


出典:国税庁『No.2597 使用人に社宅や寮などを貸したとき』『No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは



社宅の使用料に関するよくある疑問

ここからは、社宅の使用料を設定する際によくある疑問について解説します。


光熱費はどちらが負担するのか

光熱費は、社宅の使用料ではなく生活費に該当するため、従業員自身で負担することが一般的です。従業員が光熱費を負担する場合は、設定した社宅の使用料に上乗せして徴収します。

企業が社宅の光熱費を負担する場合には、原則として課税対象となります。ただし、企業が保有する宿舎や社員寮において企業が光熱費を支払う場合においては、一定の条件に該当すれば非課税となることもあります。


社宅の光熱費についてはこちらの記事をご確認ください。

  社宅における光熱費の負担区分と会社負担にした場合の注意点 会社で社宅制度を導入する場合、毎月の支払いが発生する費用としては、賃金に加えて電気・ガス・水道などの光熱費があります。一般的に賃金は従業員と分担して負担します。 しかし、社宅管理担当者のなかには、「光熱費も分担し合うのか」「会社負担にしたら課税対象になるのか」「社有社宅の場合はどうなるのか」などの悩みを持つ担当者の方もいるのではないでしょうか。 この記事では、社宅の光熱費の負担区分と注意点について解説します。 リロの社宅管理│業務削減効果90%以上のアウトソーシングサービス


出典:国税庁『〔給与等に係る経済的利益〕


社宅の使用料の負担割合は一律にする必要はあるのか

使用料の負担割合は、一律でなくてもよいとされています。負担割合を変える際は、不公平感が生まれないように合理的な規程を定めておくことが必要です。


▼使用料の負担割合を変動させる例

  • 20代・30代の若い従業員には徴収する使用料の負担割合を低く設定しておく
  • 転勤者以外の従業員は、徴収する使用料の負担割合を高く設定しておく など


従業員が個人契約する住宅の家賃補助は課税対象となるのか

従業員が個人契約によって借りた物件に対して、住宅手当や家賃補助として現金で支給する場合には、給与の扱いになり課税対象となるため、あらかじめ注意しておく必要があります。


なお、社宅と住宅手当の違いについてはこちらの記事で詳しく解説しています。

  福利厚生における社宅の位置づけや種類、住宅手当との違いを解説 企業にはさまざまな福利厚生が導入されていますが、なかでも労働者が必要だと感じている制度の一つに、“家賃補助・住宅手当の支給”があります。社宅の導入にあたって「どのような種類があるのか」「住宅手当と違って何に注意したらよいか分からない」と気になる人事・総務部門の方もいるのではないでしょうか。この記事では、福利厚生の一つである社宅の位置づけをはじめ、基本的な社宅の種類と住宅手当との違いについて解説します。 リロの社宅管理│業務削減効果90%以上のアウトソーシングサービス


出典:国税庁『No.2597 使用人に社宅や寮などを貸したとき』『No.2600 役員に社宅などを貸したとき



まとめ

この記事では、社宅の使用料について以下の内容を解説しました。


  • 従業員から徴収する使用料の決め方
  • 社宅を提供する際の源泉所得税の扱い
  • 社宅の使用料に関するよくある疑問


社宅を提供する際に、賃貸料相当額の50%以上に当たる使用料を従業員から徴収すると、その差額分について源泉所得税が非課税となります。役員の場合は、1ヶ月当たりに賃貸料相当額と同じ額の使用料を徴収していれば、非課税の対象となります。

ただし、一般の従業員と役員では賃貸料相当額の扱いや算出方法が異なるため、対象者に応じて使用料の設定をしておく必要があります。

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