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保育士の住宅手当導入で法人が押さえておくべきメリットと制度の種類

保育士不足が続くなか、採用力や定着率を高める施策として「住宅手当」に注目する保育園を運営する法人は少なくありません。

特に都市部では家賃負担が重く、住環境の支援が就職・転職の意思決定に大きく影響します。一方で、住宅手当には複数の種類があり、税務や補助金、運用ルールを理解しないまま導入すると、想定外の負担やトラブルにつながる可能性もあります。

この記事では、保育園で住宅手当を導入するメリット、主な制度の種類、支給条件の考え方、運用ポイントなどを解説します。

なお、住宅手当と社宅制度のメリット・デメリットについては、こちらから資料をダウンロードしていただけます。

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目次[非表示]

  1. 1.保育園を運営している法人が住宅手当を導入するメリット
  2. 2.保育園で使われる住宅手当の種類
    1. 2.1.保育園独自の家賃補助制度
    2. 2.2.保育園独自の社宅制度
    3. 2.3.『保育士宿舎借り上げ支援事業』を利用した社宅制度
  3. 3.保育園での支給条件の決め方
    1. 3.1.対象者の範囲
    2. 3.2.対象物件・費用の範囲
    3. 3.3.支給額・上限・支給期間
    4. 3.4.ほかの手当・制度との併用
  4. 4.保育園における住宅手当の運用ポイント
  5. 5.まとめ

保育園を運営している法人が住宅手当を導入するメリット

保育園を運営する法人が住宅手当を導入するメリットは、採用力と定着率の双方を高められる点にあります。

厚生労働省の調査によると、保育士の希望者が少ない理由として、「給与が希望と合わない」が1位に挙がっており、給与面の支援が課題の一つであることが分かります。

▼保育士としての就業を希望しない理由

保育士としての就業を希望しない理由

画像引用元:厚生労働省『保育人材確保のための『魅力ある職場づくり』に向けて

そのような課題があるなか、住宅手当を導入することで、採用面では「家賃の負担が抑えられること」が応募のきっかけになります。都市部や駅近エリアでは家賃相場が高く、住宅手当の有無が園選びの判断材料になるケースも少なくありません。同じ給与水準であっても、住宅手当がある園の方が手元に残るお金が多く感じられ、求人情報としての魅力が高まります。

また、定着の面でも住宅手当は有効です。住まいが安定すると生活基盤が整い、腰を据えて働くイメージを持ちやすくなります。その結果、早期離職を防ぎ、経験を積んだ保育士が長く働き続けることにつながります。

このように、住宅手当は単なる福利厚生ではありません。人材を安定的に確保するための施策であり、採用コストや教育コストの削減といった間接的な効果も期待できます。

出典:厚生労働省『保育人材確保のための『魅力ある職場づくり』に向けて

保育園で使われる住宅手当の種類

保育園で活用されている住宅支援制度は、大きく分けて3つあります。

それぞれ仕組みや税務上の扱い、保育士への影響が異なるため、法人の方針や地域特性に合わせた選択が必要です。

保育園独自の家賃補助制度

保育園独自の家賃補助制度とは、保育士が契約している賃貸物件に対し、園が毎月一定額を補助する仕組みです。

多くの場合、住宅手当として給与と合わせて支給されます。園ごとに内容を決めやすく、運用の幅が広い点が特徴です。補助額や上限、補助の対象とする家賃の範囲については、就業規則や給与規程であらかじめ明確にしておく必要があります。

例えば、「月額〇万円を上限として、家賃の〇%を補助する」といった形でルールを定めておくことで、不公平感を抑えやすくなります。

この制度のメリットは、保育士が退職した後も同じ住居に住み続けられる点です。将来の生活を見据えて働きたい保育士にとっては、安心材料の一つになります。

一方で注意点もあります。家賃補助は原則として課税対象となり、給与として扱われます。そのため、社会保険料や所得税の計算に影響が出ます。導入にあたっては、保育士に制度の内容を丁寧に説明し、実際の手取り額がどの程度になるのかを事前に共有しておくことが大切です。

出典:国税庁『No.2597 使用人に社宅や寮などを貸したとき

保育園独自の社宅制度

保育園独自の社宅制度とは、法人が物件を借り上げ、保育士に比較的低い家賃で貸し出す仕組みです。法人名義で契約するため、職員は一般的な相場よりも家賃負担を抑えて入居できるケースが多くなります。

社宅には、法人が賃貸物件を借り上げるケースのほか、法人が所有する物件を社宅として利用するケースもあります。

この制度の特徴は、一定の条件を満たすことで、税務上「非課税扱い」となる可能性がある点です。そのため、支援額が同じであっても、住宅手当として支給する場合に比べて、保育士の手元に残る金額が多くなることがあります。

▼社宅の課税について

使用人に対して社宅や寮などを貸与する場合には、使用人から1か月当たり一定額の家賃(賃貸料相当額の50パーセント以上)を受け取っていれば給与として課税されません。

引用元:国税庁『No.2597 使用人に社宅や寮などを貸したとき

ただし、社宅は法人が契約主体となるため、退職時には原則として退去することになります。住まいの継続性に影響するため、入職時に制度の内容や退去条件については、あらかじめ伝えておくことが大切です。また、物件の管理や契約更新など、法人側の事務負担が増える点も意識しておきたい点です。

社宅制度は、長く働いてもらうことを前提とした人材確保の手段として活用しやすく、定着を重視する法人に向いています。

出典:国税庁『No.2597 使用人に社宅や寮などを貸したとき

『保育士宿舎借り上げ支援事業』を利用した社宅制度

『保育士宿舎借り上げ支援事業』とは、保育園や認定こども園などの事業者が保育士の住居を借り上げる際、その費用の一部を自治体が補助する制度です。保育士不足への対応策として国が制度の枠組みを示し、具体的な運用は各自治体が行っています。

▼事業の詳細

保育士宿舎借り上げ支援事業

画像引用元:こども家庭庁『令和8年度 保育関係予算概算要求の概要

対象となるのは、原則として採用日から起算して5年以内の常勤保育士です。補助額や自己負担額、対象となる物件の条件は自治体ごとに異なるため、利用にあたっては最新の要綱を確認しておく必要があります。

この制度を活用することで、法人の負担を抑えながら、保育士に対して住居面での支援を行うことが可能です。特に都市部では、家賃補助額が高めに設定されている自治体もあり、採用時のアピール材料として活用しやすい点も特徴です。

一方で、補助を受けられる期間が限られていることや、自治体の予算状況によって継続が左右される点には注意が必要です。制度の利用期間が終了した後の対応についても、あらかじめ方針を整理しておくことで、職員との行き違いやトラブルを防ぎやすくなります。

出典:こども家庭庁『令和8年度 保育関係予算概算要求の概要

保育園での支給条件の決め方

住宅手当を円滑に運用するためには、支給条件を明確に定めることが欠かせません。曖昧なルールは、保育士同士の不公平感や管理負担の増大につながります。

対象者の範囲

支給条件を決める際は、まず制度の対象とする職員の範囲を明確にしておくことが大切です。

対象者の設定によって、制度の目的や運用のしやすさが変わるためです。範囲があいまいなままだと、現場での混乱や不公平感につながりやすくなります。対象者の範囲を決める際には、次のような点を整理しておく必要があります。

  • 正職員のみを対象にするのか、短時間正職員やパート職員まで含めるのか

  • 保育士に限定するのか、看護師や栄養士などの他職種も対象に含めるのか

人材確保を特に重視したい職種や雇用形態を踏まえたうえで対象者を定めることで、制度を無理なく運用しやすくなります。

対象物件・費用の範囲

次に、補助対象となる物件や費用の範囲を定めます。

多くの園では、補助の対象を賃貸物件に限定し、持ち家は対象外としています。そのうえで、次のような点を明確にしておくケースが一般的です。

  • 家賃に共益費を含めるかどうか

  • 駐車場代や管理費を補助の対象とするか

  • 上限額をどこまでとするか

「園がどこまで補助するのか」を先に決めておくことで、後から判断がぶれにくくなり、安定した運用につながります。

支給額・上限・支給期間

支給額や上限は、自治体補助と園負担のバランスを踏まえて設定します。過度な負担にならない範囲で、採用競争力を高められる水準を検討することが重要です。

また、支給期間については、「入職後〇年まで」といった形で期限を設ける園もあります。一定の期間を区切ることで、早期離職を防ぐ効果も期待できます。

支給額・上限・支給期間をあらかじめ整理しておくことで、採用と定着の両面を意識した制度運用がしやすくなります。

ほかの手当・制度との併用

住宅手当は、ほかの手当や制度との併用ルールも設定する必要があります。

例えば、『保育士宿舎借り上げ支援事業』の利用者に対して、園独自の家賃補助を重ねて支給しないといった二重支給防止策が代表例です。例外条件を増やしすぎると、確認や管理の手間が増えやすくなります。

できるだけシンプルで分かりやすいルールにしておくことで、長期的にも運用しやすい制度になります。

保育園における住宅手当の運用ポイント

住宅手当の運用では、申請から支給、変更対応までの流れを明確にすることが重要です。

一般的には、入職時や年度更新のタイミングで申請を受け付け、賃貸契約書や家賃の証憑書類を確認したうえで支給を開始します。申請期限や必要書類を園内で統一しておくことで、確認作業がスムーズになり、担当者の負担も抑えやすくなります。

また、家賃の変更や転居、休職、退職予定といった状況を想定し、どの段階で届出が必要になるのかをあらかじめ決めておくことも重要です。

特に、「いつまで支給するのか」「どのような場合に返還が必要になるのか」を明文化しておくことで、支給終了時の行き違いやトラブルを防ぎやすくなります。

まとめ

この記事では、保育士の住宅手当について以下の内容を解説しました。

  • 保育園を運営している法人が住宅手当を導入するメリット

  • 保育園で使われる住宅手当の種類

  • 保育園での支給条件の決め方

  • 保育園における住宅手当の運用ポイント

保育士向けの住宅手当は、採用力と定着率を高める有効な施策です。一方で、制度の種類や税務、自治体補助の要件を正しく理解しなければ、運用負担やトラブルにつながります。

まずは、自園の人員構成や地域特性を整理し、どの住宅支援制度が適しているかを検討することが重要です。併せて、最新の自治体要綱を確認し、就業規則や運用ルールを明文化することで、安定した制度運用が可能になります。

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