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住宅手当の相場はいくら? 自社で導入する際のポイントと注意点

住宅手当は、多くの企業で導入されている代表的な福利厚生制度の一つです。

一方で、「住宅手当の相場はいくらなのか」「自社の支給額は高いのか低いのか」と判断に迷う人事・総務担当者は少なくありません。

住宅手当の相場は、単純に全国平均だけを見ても、自社にそのまま当てはめられるものではありません。企業規模や業界、地域、さらには制度の目的によって、適切な水準は大きく変わります。

この記事では、住宅手当の相場を公的データをもとに整理したうえで、自社で導入する際のポイントと注意点を解説します。

なお、住宅手当と社宅制度のメリット・デメリットについては、こちらから資料をダウンロードしていただけます。

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目次[非表示]

  1. 1.住宅手当の基礎知識
  2. 2.住宅手当の全国的な相場
    1. 2.1.住宅手当の相場
    2. 2.2.住宅形態・扶養などで相場が変わる
  3. 3.条件別に見る住宅手当の相場
    1. 3.1.企業規模による相場差
    2. 3.2.業界による相場差
    3. 3.3.地域による相場差
  4. 4.住宅手当を導入する際のポイント
    1. 4.1.目的・対象・方式を先に固める
    2. 4.2.支給方式は「運用しやすさ」と「納得感」で選ぶ
    3. 4.3.金額は相場ではなく自社基準で決める
    4. 4.4.失敗しやすい設計パターンを避ける
  5. 5.導入時の注意点
    1. 5.1.住宅手当は課税対象になる
    2. 5.2.社宅との比較で税務上の扱いが変わる
    3. 5.3.規程・運用で明記すべき項目
  6. 6.住宅手当と比べた社宅制度のメリット
  7. 7.まとめ

住宅手当の基礎知識

住宅手当とは、従業員が支払っている家賃の一部を、企業が現金で支給する福利厚生制度のことです。主に家賃負担の軽減を目的として導入され、給与とは別枠で支給されるケースが一般的です。

また、住宅手当と混同されやすい制度に「社宅」があります。社宅は、企業が物件を用意、または借り上げて従業員に提供する点が大きな違いです。

つまり、住宅手当は「家賃負担を現金で補助する制度」、社宅は「会社が住まいそのものを提供する制度」と整理できます。

この違いは、税務上の扱いや運用負担、従業員の認識にも影響します。住宅関連の福利厚生を検討する際は、住宅手当だけでなく、社宅制度も含めて比較検討することが重要です。

住宅手当の全国的な相場

住宅手当の相場を考えるうえで、まずは全体的な水準を把握することが重要です。ただし、相場はあくまで“参考値”であり、答えそのものではない点に注意が必要です。

住宅手当の相場

厚生労働省の『令和2年就労条件総合調査の概況』によると、住宅手当を支給している企業(従業員人数30名以上を対象とした調査)における、1人当たりの平均支給額は17,800円とされています。この数値は2019年11月時点のデータに基づくもので、住宅手当の全国平均的な水準を示す参考資料といえます。

また、同調査では、住宅手当を支給している企業の割合は47.2%となっており、2017年調査時点の45.8%からわずかに増加しています。

住宅手当は、必ずしも全企業が導入している制度ではありませんが、一定の普及率を維持していることが分かります。

ただし、この平均額は、企業規模や業界・地域を横断した結果です。そのため、「平均=自社の妥当額」と判断するのは注意が必要です。

出典:厚生労働省『令和2年就労条件総合調査の概況

住宅形態・扶養などで相場が変わる

住宅手当の支給条件・支給額は、従業員の居住形態によって変動することがあります。借家のみを対象とし、持ち家は除外する、または持ち家だが住宅ローン利用者については対象とする企業も多く見られます。

また、扶養家族の有無によって金額に差を設けるケースもあります。世帯人数が多いほど家賃負担が大きくなるため、制度上の配慮として設定されます。

このように、住宅手当の相場は一律ではなく、前提条件によっても変動することを理解しておく必要があります。

条件別に見る住宅手当の相場

住宅手当の水準は、企業の経営環境や方針により大きく変動します。ここでは、主要な切り口ごとに相場の傾向を整理します。

企業規模による相場差

住宅手当の金額や制度設計は、企業規模によっても異なります。

大企業では、住宅手当に加えて社宅を用意しているケースも多く、特に転勤者向けの住宅支援が充実しています。そのため、住宅手当単体で見ても、比較的高めの金額が設定されている傾向があります。また、実施割合も61.7%と高く、ほかの企業規模と比較しても支援が充実していることが分かります。

一方、中小企業では、定額支給などシンプルな制度設計が中心となり、支給額も抑えめに設定されるケースが一般的です。

実際に『令和2年就労条件総合調査の概況』を見ると、従業員数によって住宅手当の平均支給額に差があることが分かります。

▼従業員数別の平均支給額と実施割合

企業規模

住宅手当

実施割合

1,000人以上

21,300円

61.7%

300~999人

17,000円

60.9%

100~299人

16,400円

54.1%

30~99人

14,200円

43%

厚生労働省『令和2年就労条件総合調査の概況』を基に作成

この差は、財務体力や福利厚生全体の設計方針の違いを反映したものといえます。

出典:厚生労働省『令和2年就労条件総合調査の概況

業界による相場差

業界によっても、住宅手当の水準には違いがあります。

e-Statに掲載されている『賃金事情等総合調査』によると、製造業では借家・借間に対する住宅手当の定額支給平均が約3万円台となっています。これに対し、銀行・保険業では、平均が約4.6万円と高めの水準です。電力業は2.8万円と平均より若干低めの額でした。ただし、集計の企業数が異なるため、あくまで目安として捉える必要があります。

人材獲得競争が激しい業界ほど、住宅支援を含めた福利厚生を重視する傾向が見られます。

自社が属する業界の水準を把握することは、採用競争力を判断するうえで重要な視点になります。

出典:e-Stat 政府統計の総合窓口『賃金事情等総合調査

地域による相場差

住宅手当は、地域差の影響も大きく受けます。

家賃水準が高い都市部では、同額支給でも従業員にとっての実質的な価値が低くなりがちです。そのため、都市部に拠点を持つ企業では、住宅手当を高めに設定するか、社宅制度を併用するケースも見られます。

全国一律の支給額にするか、地域差を設けるかは、制度設計上の重要な判断ポイントです。

住宅手当を導入する際のポイント

ここでは、相場を踏まえつつ、自社で住宅手当を導入する際に押さえておきたいポイントを4つ紹介します。

目的・対象・方式を先に固める

住宅手当を検討する際は、まず制度の目的を明確にすることが重要です。

採用強化を目的とするのか、定着率の向上を図りたいのか、あるいは転勤時の負担軽減を狙うのかによって、適切な制度設計は大きく異なります。

制度設計を円滑に進めるためには、目的の整理、対象者の設定、支給方式の検討という順序を踏むことが不可欠です。この手順を誤ると、相場を確認しても判断基準が曖昧になり、意思決定が難しくなることがあります。

支給方式は「運用しやすさ」と「納得感」で選ぶ

住宅手当の支給方式は、大きく「定額支給型」と「家賃連動型」に分けられます。

定額支給型はシンプルで管理しやすいですが、家賃の差で不公平感が生じやすい側面があります。家賃連動型は納得感が高い一方、証憑確認などで事務負担が増加する傾向にあります。

どちらを選ぶかは、運用負担と公平性のバランスを見ながら自社の管理体制に合った方式を選ぶことが大切です。

金額は相場ではなく自社基準で決める

住宅手当の金額について、全国平均や競合他社に合わせることが、必ずしも最適とは限りません。自社が置かれている採用市場や、従業員の家賃水準を踏まえた基準作りが重要です。

「最低限の支援ライン」「採用競争力を確保するライン」「理想的なライン」といった段階で整理して考えると、社内での意思決定がしやすくなります。

失敗しやすい設計パターンを避ける

条件を細かく設定しすぎると、運用が複雑化し、例外対応が常態化しやすくなります。また、居住地や世帯構成の違いによる不公平感が強まると、制度そのものへの不満につながる可能性があります。

住宅手当は、シンプルで説明しやすい設計にすることで、長期的に安定した運用と制度効果を得やすくなります。

導入時の注意点

住宅手当を導入・見直す際は、単に「いくら支給するか」だけでなく、会社全体としての総コストや運用面まで含めて検討することが重要です。

想定以上にコストや手間が膨らむケースもあるため、事前に押さえておくべきポイントがあります。

住宅手当は課税対象になる

現金で支給する住宅手当は、原則として給与と同じ扱いになります。そのため、従業員側には所得税がかかり、企業側も社会保険料の算定基礎に含める必要があります。

例えば、支給額を増やした場合、手当そのものの原資だけでなく、会社負担分の社会保険料も増加します。

「月○円なら問題ない」と金額だけで判断すると、想定より総コストが膨らむ点には注意が必要です。

出典:国税庁『No.2597 使用人に社宅や寮などを貸したとき

社宅との比較で税務上の扱いが変わる

住宅関連の福利厚生は、社宅制度を活用することで税務上の扱いが変わる場合があります。

一定の要件を満たした社宅であれば、課税対象となる金額を抑えられるケースもあります。ただし、社宅は契約管理や家賃精算、社内規程の整備など、運用面の負担が増えやすい制度でもあります。

税負担の軽減だけで判断するのではなく、増加する業務の工数とのバランスを踏まえて制度を選ぶことが大切です。社宅を導入する場合は、運用面をサポートしてくれる企業に委託する方法もあります。

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規程・運用で明記すべき項目

住宅手当を導入する際は、制度内容を規程で明確にしておくことが欠かせません。
具体的には、支給対象となる条件や金額、申請方法、必要書類、例外的なケースの扱いなどを整理します。

この部分が曖昧なままだと、従業員との認識のズレや、監査時の指摘につながりやすくなります。

制度を長く安定して運用するためにも、導入時点でルールを明文化しておくことが重要です。

社宅規程の作成例はこちらの記事で詳しく解説しています。

住宅手当と比べた社宅制度のメリット

社宅制度の大きなメリットは、税務上の扱いにあります。

住宅手当は給与支給と同様の扱いのため課税対象になりますが、社宅制度は一定の要件を満たすことで、非課税のメリットを活かすことができます。その結果、同じ住宅支援を行う場合でも、従業員の手取り額が増えやすく、企業側も社会保険料を含めた負担を抑えられるケースがあります。

また、社宅制度では、物件条件や上限家賃、従業員の自己負担額などをあらかじめ設計できます。これにより、住宅コストの上振れを防ぎつつ、会社としての支援水準を一定に保ちやすくなります。

さらに、毎月の家賃から自己負担分が差し引かれる形になるため、従業員にとっては「毎月の支出が確実に減る」ことを実感しやすい点も特徴です。

制度の内容が伝わりやすく、福利厚生としての納得感を得やすい仕組みといえます。

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まとめ

この記事では、住宅手当の相場について以下の内容を解説しました。

  • 住宅手当の基礎知識

  • 住宅手当の全国的な相場

  • 条件別で見る住宅手当の相場

  • 住宅手当を導入する際のポイント

  • 導入時の注意点

  • 住宅手当と比べた社宅制度のメリット

住宅手当の相場は、制度設計を検討するうえで参考となる重要な情報です。ただし、相場がそのまま自社にとっての最適解とは限りません。

企業規模や業界、地域、そして制度の目的を整理したうえで、自社に合った水準を検討することが重要です。併せて、社宅制度との比較も行い、税務や運用負担を含めた総合的な判断が求められます。

リロケーション・ジャパン』では、社有社宅の運用代行や借上社宅の包括転貸方式によるトータルサポートを行っています。自社管理と比較して最大90%以上の業務工数削減に貢献します。

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