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社宅管理に必要な社宅規程とは。作成例と押さえておきたいポイント

企業が社宅制度を運用する際は、社宅規程を作成して従業員へ共有する必要があります。社宅規程を作成しておくことで、従業員とのトラブルを防止して円滑な運用管理を行えるようになります。

人事総務部門のご担当者さまのなかには、「なぜ社宅規程を作成する必要があるのか」「どのような内容を盛り込むとよいのか」など気になる方もいるのではないでしょうか。

この記事では、社宅規程の概要や記載する項目、一般的な作成例、従業員の満足度を高めるポイントについて解説します。


目次[非表示]

  1. 1.社宅規程とは
    1. 1.1.法令の遵守
    2. 1.2.公平性の確保
    3. 1.3.従業員とのトラブル防止
    4. 1.4.経費処理や運用管理の明確化
  2. 2.社宅規程に記載する項目
  3. 3.社宅規程の作成例
  4. 4.従業員の満足度を高める社宅規程の作成ポイント
    1. 4.1.➀家賃相場に基づいた上限額を設定する
    2. 4.2.②職種を踏まえて入居エリアを柔軟に選定する
    3. 4.3.③家族構成や生活の状況などを考慮する
    4. 4.4.④社宅規程は定期的に見直す
  5. 5.まとめ


社宅規程とは

社宅規程とは、入居資格や条件、費用発生時の負担区分などの社宅貸与時のルールをまとめたもののことです。社宅規程の作成が必要となる理由には、以下が挙げられます。


法令の遵守

労働基準法』第89条では、事業者は労働条件や就業時の規律などを定めた就業規則を作成して、所轄の労働基準監督署長に届け出る義務が定められています。

社宅の運用にあたっては社宅規程を作成する義務はありませんが、就業規則に付随する“諸規定(別規定)”と定めることが一般的とされています。労働条件をめぐる認識の違いやトラブルを避けるために、就業規則の諸規定として社宅規程を作成しておくことが望ましいと考えられます。

※常時10人以上の労働者を雇用する使用者が対象


出典:首相官邸『事業主のみなさま こんな労務管理、していませんか?』/厚生労働省 茨城労働局『法定労働条件と企業内ルール』/e-Gov法令検索『労働基準法


公平性の確保

社宅規程は、社宅制度の公平性を確保するうえでも作成が必要といえます。入居資格や物件の条件などのルールを定めていない場合、従業員間で不公平感が生まれて不満につながる可能性があります。

社宅制度は、入社・転勤に伴う住居の確保や生活の支援などを目的とした法定外福利厚生に該当します。従業員が公平な基準に沿って社宅制度を利用できるように、適正な規定を定めることが重要です。

なお、福利厚生と社宅制度についてはこちらの記事をご確認ください。

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従業員とのトラブル防止

社宅制度の運用では、使用料の徴収や各種費用の負担割合、入退去の手続きなどに関するさまざまなトラブルが発生する可能性があります。また、騒音やプライバシーなどの問題が起こり、入居者からクレームがくることも考えられます。

認識の違いや生活マナーによるトラブルを防ぐために、社宅規程を作成して運用上のルールを明確にしておくことが重要です。

社宅で起こりやすいトラブルと対応方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。

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経費処理や運用管理の明確化

社宅規程を作成することにより、経費処理や運用管理に関するルールが明確になり、適正な判断に基づいて業務手続きを行えます。

これにより社宅管理の運用を効率化できるほか、トラブルが発生した際の対処を規程に則ってスムーズに行うことが可能です。



社宅規程に記載する項目

社宅規程に記載する項目は、企業が任意で定めることが可能です。記載しておきたい基本的な項目には、以下が挙げられます。


▼社宅規程の主な記載項目

項目
内容
入居資格
社宅に入居できる従業員の範囲・家族構成・年齢 など
入居期間
社宅に入居できる期間の上限
物件の条件
物件の賃料や会社からの距離、間取りの制限 など
入退去の手続き
入退去の申込方法や提出書類、申請先の部署 など
使用料
社宅使用料の金額(月額賃貸料の割合)や徴収方法
費用負担
社宅に関する費用の負担区分・割合
禁止事項
第三者への転貸、居室の増改築、ペット飼育 など
退去事由・期限
規程違反や退職などによる退去の条件と退去期限


なお、入居期間の目安や入居条件については、こちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。

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社宅規程の作成例

一般的な社宅規程の作成例は、以下のとおりです。企業の人事制度や社宅制度の導入目的などを踏まえて、自社に適した内容に追加・修正する必要があります。


▼社宅規程の作成例(借上社宅の場合)


業務用借上社宅規則

制 定 令和●●.●●.●● 


(目的)
第1条 この規則は、●●●●●●●●●●株式会社(以下「会社」という)の業務用借
上社宅の取扱いについて、必要な事項を定める。


(社宅の定義)
第2条 この規則において、社宅とは、会社がリスクマネジメントの観点から、緊急時に休日・夜間を問わず可能な限り迅速に各施設に駆けつけることのできる人員配置を行うために設置する業務用借上社宅をさす。


(管理および運営)
第3条 社宅の管理および運営は、人事グループがこれを統括する。


(社宅の条件)
第4条 社宅は以下の条件で選定することとする。
(1)会社が指定するエリアから半径2キロ以内に存在する住宅とする
(2)賃貸条件は別紙に定める各種条件の範囲とする。


(入居資格)
第5条 社宅は、社員及び契約社員(出向者を除く、以下「職員」という)を対象とする。


(入居申請手続)
第6条 社宅に入居を希望する職員は、入居申請書(物件決定前)(様式1)を所属長の承認を得た後、人事グループへ提出することとする。希望物件が決定したら、正式な申し込みの前に入居申請書(物件決定後)(様式2)を所属長の承認を得た後、人事グループへ提出することとする。


(入居条件)
第7条 入居を希望する職員は、次の各号に掲げる項目を履行しなければならない。
(1)緊急時に休日・夜間を問わず、状況に応じて最も現場に早く到着する手段を選択して、現場に急行し、状況に応じて対処すること。
(2)オフィス主催の防災訓練に参加すること。


(社宅の入居者の業務)
第8条 入居者は、善良な管理者としての注意を持って下記の業務を行わなければならない。
(1)社宅の維持、保全状況を点検すること。
(2)防犯・防火・防災・衛生に関して万全の努力をすること。災害の発生に際しては臨機の措置をとって、被害を最小限にくいとめること。


(届出事項)
第9条 入居者は次の場合は文書にて人事グループに届け出を行い、指示を受けるものとする。
(1)同居家族に移動があった場合
(2)建物・付属設備・室内器具等の破損があった場合
(3)火災・盗難等異変があった場合
(4)2週間以上居室を空ける場合


(社宅の維持修繕)
第10条 社宅の維持管理上、次の各号については、入居者の負担とする。
(1)電気・ガス・水道料
(2)電球等の消耗品、畳・襖・壁・障子・硝子・戸・錠前等の修繕費用及び補充費用
2 明け渡しに際し、畳・襖・その他備品が人為的に著しく破損されているときは、償却
年数を基準として査定し、その修繕費の一部もしくは全額を、入居者の負担とすることがある。


(入居者の取消)
第11条 上記第6条、および第8条、第9条を履行しない場合、入居を取消し、退去を命ずることがある。その際の退去期間は1ヶ月間とする。


(社宅使用料)
第12条 社宅使用料は、賃料・共益費の合計の●●%とする。家主に対する家賃支払いは住居の契約名義人である会社が貸主に対して一旦全額を支払うこととし、社員が負担する本条に定める社宅使用料は毎月の給与より控除する。


(社宅の入居期間)
第13条 入居期間の上限は●●年間とする。ただし、業務の状況に応じて延長する場合がある。


(契約金)
第14条 入居時の契約金ついては、基本的に会社負担とし、別紙に定める上限を超過した場合は、基準額の超過分を自己負担とする。


(損害賠償)
第15条 入居者が故意又は過失により、社宅を毀損又は汚損しあるいは減失させるなど、会社に損失を与えた場合はその修復に要する費用を入居者に負担させる。この場合、入居を取消し、退去を命ずることがある。


(退居申請)
第16条 退去を希望する職員は、退去日の1ヶ月前までに退去申請書(様式3)を所属長の承認を得た後、総務部長へ提出することとする。


(退去)
第14条 入居者は、次の各号の一つに該当する場合は、定められた日以内に退去しなければならない。
(1)退去申請後   退去申請書の日付
(2)退職したとき  退職日の1ヶ月以内
(3)死亡したとき  死亡日の3ヶ月以内


(その他の管理運営事項)
第18条 この規則に定めのない管理運営上の事項は、人事部長が提案し、社長の承認を経て決定するものとする。


附則(平成●●年●月●日)
この規則は、令和●●年●月●日から施行する。



従業員の満足度を高める社宅規程の作成ポイント

社宅規程を作成する際は、従業員が社宅制度を利用しやすく、満足度を高められる内容にすることが求められます。


➀家賃相場に基づいた上限額を設定する

社宅規程で借上社宅の月額家賃を定める際は、エリアの家賃相場に基づいた上限額を設定することがポイントです。

賃貸物件の市場における家賃相場と、社宅規程で設定した月額家賃の上限額が乖離している場合には、住みやすい物件を見つけることが難しくなります。

社宅制度の利用を促進するには、物件のエリア・間取り・設備などに応じた家賃相場を把握しておくとともに、定期的に上限額を見直すことが必要です。


②職種を踏まえて入居エリアを柔軟に選定する

従業員の職種に応じて、入居エリアを考慮することも重要といえます。深夜・早朝の勤務がある職種の場合には、公共交通機関の運行時間やアクセスのよさを考慮して入居エリアを柔軟に検討する必要があります。

また、緊急対応が求められる職種の場合には、会社まで徒歩圏内でアクセスできることを条件にすることも考えられます。


③家族構成や生活の状況などを考慮する

社宅規程を作成する際は、従業員の家族構成や生活の状況などの個別事情を考慮して柔軟に対応する必要があります。

共働き世帯や子育て世帯の場合には、配偶者の勤務地、子どもの学校、生活がしやすい周辺環境などを考慮することが重要です。特に女性の場合には、物件の防犯設備や地域の安全性についても物件選択時に考慮することをおすすめします。


④社宅規程は定期的に見直す

社宅規程を運用する際は、実情に即した内容になるように定期的に見直しを行うことが欠かせません。

社会環境や地域状況の変化、また従業員の声などを踏まえて公平性のある社宅規程へと見直すことにより、満足度の向上につながります。地域の特性や市場の変化などに応じた合理性のある社宅規程を作成するには、外部のサポートを受けることも一つの方法です。



まとめ

この記事では、社宅規程について以下の内容を解説しました。


  • 社宅規程の概要
  • 社宅規程に記載する項目
  • 従業員の満足度を高める社宅規程の作成ポイント


社宅の運用を明確化して円滑かつ公平性のある制度にするには、社宅規程を作成することが重要です。入居資格や物件の条件、入退去の手続きなどを明記しておくことで、従業員とのトラブル防止につながります。

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