社宅で起こりやすい4つのトラブルと求められる対応を解説
社宅制度を導入している企業では、居住している従業員からさまざまなトラブルの相談を受けるケースがあります。
社有社宅・借上社宅どちらにおいても、生活スタイルの違いや人間関係などによって、入居者同士のトラブルに発展することも少なくありません。
企業の社宅担当者は、従業員が安心して快適な生活を送れるように、起こりやすいトラブルについて把握したうえで、適切な対応をとることが重要です。
この記事では、社宅で起こりやすいトラブルと、社宅担当者に求められる対応について解説します。
目次[非表示]
- 1.社宅で起こりやすい4つのトラブル
- 1.1.①入居者の騒音
- 1.2.②プライバシーの問題
- 1.3.③設備の故障・不具合
- 1.4.④原状回復費用の負担
- 2.社宅担当者に求められる対応
- 3.まとめ
社宅で起こりやすい4つのトラブル
社宅では、入居者同士の問題をはじめ、設備の不具合、退去時などにトラブルが起こりやすくなります。
①入居者の騒音
上下階や両隣の部屋からの騒音をめぐって、入居者同士のトラブルが起こるケースがあります。
騒音と感じる音は人によって異なるため、生活音や子どもの泣き声、音楽などが気になって不快に感じる人もいます。このような騒音が原因となり、社宅担当者に苦情が寄せられることもあります。
▼社有社宅の場合
社有社宅では、入居者同士の面識があるため、騒音について相談しやすいという人もいます。一方で、同僚・上司という立場の関係上、相談しづらく、ストレスを感じてしまう人もいます。
▼借上社宅の場合
借上社宅での騒音問題は、入居者同士による解決が原則となるため、賃貸住宅の管理会社に連絡して対応することが一般的です。社宅担当者が間に入ることができたとしても、解決に至らない場合には物件の住み替えを希望する人もいます。
②プライバシーの問題
社宅に限らず、複数人が居住する集合住宅で生活するにあたって、プライバシーの問題につながるケースも少なくありません。
一般的にほかの居住者や隣人との関係のなかで、知られたくない私生活上の事実が意図せずに知られてしまうリスクは存在します。
プライバシーに関する情報の流出は、エントランス・廊下などの共用部分での会話や、個人情報を含む郵送物・廃棄物などが発端になる場合もあります。そのため、入居者本人も自身のプライバシーを守る意識を持つことが重要です。
▼社有社宅の場合
同僚・上司と良好な関係を築けている場合でも、日常会話のなかなどで、社宅に居住する従業員の個人情報が意図せずに口外されてしまうケースがあります。
▼借上社宅の場合
ほかの居住者に郵送物の宛名や中身を確認されてしまうといったケースが挙げられます。
なお、社宅でのプライバシー侵害につながるケースと対策方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。
③設備の故障・不具合
生活環境に関するトラブルとして、冷暖房や電気・ガス、水回りなどの設備の故障・不具合が挙げられます。
社宅に限りませんが、生活に必要な住宅設備は、経年劣化や耐用年数を超えた使用によって故障することがあります。
従業員が社宅担当者や建物の管理会社に連絡せずに、自己判断で修理事業者を手配したことで、修理費用の負担についてトラブルに発展するケースも少なくありません。
④原状回復費用の負担
社宅を退去する際には、原状回復費用をどちらが負担するかといったことが争点となり、従業員とのトラブルにつながることがあります。
賃貸物件の賃借人は、故意・過失や通常の使用を超える使用による損耗・破損などがあった場合には、原状回復義務を負うことが必要です。この原状回復を行うための補修・修繕にかかった費用は、賃借人が負担します。
しかし、損耗・破損に対して、どの範囲まで従業員が原状回復義務を負うのか明確なルールが定められていない場合は、退去が円滑に進まないケースがあります。
なお、社宅の原状回復費用の詳細は、こちらの記事をご覧ください。
出典:国土交通省『「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」について』『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン』
社宅担当者に求められる対応
社宅に関するトラブルを防ぐために、社宅担当者には以下のような対応をとることが求められます。
社宅規程の作成
社宅担当者は、社宅で起こり得るトラブルを想定して、社宅規程や内規を作成しておくことが重要です。
社宅規程や内規を作成して、社宅に関するルールを明文化して共有することによって、従業員一人ひとりの行動規範の浸透につながることが期待できます。
社宅規程や内規に定める内容としては、以下が挙げられます。
▼社宅規程や内規に定める内容
- 生活のマナーに関するルール(生活音・部外者の立ち入り等)
- 共有部分の使用方法・清掃ルール
- 設備故障・不具合が起きたときの対応・連絡先
- プライバシーの確保・ハラスメント禁止についてのルール
- 原状回復の範囲と費用の負担者 など
相談窓口の設置
社宅に関するトラブルを防止して早期対処するために、苦情や悩みを相談できる窓口を設置することも有効です。
相談窓口を設置することで、社宅でトラブルを抱える従業員に対して適切なフォローを行える体制を構築できるようになります。
相談が寄せられた際は、相談者とその相手(加害者)の双方の立場に立ち、法的な対応が必要かどうかを踏まえたうえで、慎重に解決策を検討します。
社宅入居者の対応に社内リソースが不足している場合は、外部の代行サービスに依頼することも選択肢の一つです。
なお、社宅での騒音やプライバシー侵害などの加害者にならないために、普段から入居者への注意喚起やコンプライアンス研修などに取組むことも欠かせません。
まとめ
この記事では、社宅トラブルについて以下の内容を解説しました。
- 社宅で起こりやすい4つのトラブル
- 社宅担当者に求められる対応
社宅には、同じ職場で働く同僚・上司・その家族、面識のない居住者などさまざまな人が暮らすため、騒音やプライバシーに関するトラブルが起こることがあります。
また、設備の故障・不具合が発生した際や、退去時の原状回復費用についての対応が明文化されていないことで、従業員とのトラブルに発展するケースもあります。
なお、こちらの記事では、社宅における入居期限の目安をはじめ、そのほかの入居継続制限や退去時に起こりやすいトラブルを未然に防ぐ方法について解説しています。併せてご覧ください。
このようなトラブルを防ぐためには、社宅規程を作成してルールを明文化する、社内の相談窓口を設置するといった対応が必要になります。自社のみで従業員への相談対応やトラブル対処が難しい場合には、アウトソーシングを活用することもおすすめです。
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