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社宅でのプライバシー侵害につながる2つのケースと対策法を解説

プライバシー侵害とは、一般的に“他人の干渉を許さない、各個人の私生活上の自由”といったプライバシーに関する権利を損なうことを指します。

社宅制度を導入した場合、同じ会社の従業員同士が近い距離で過ごすため、プライバシー侵害がストレスや不満を生む原因となることも少なくありません。

場合によってはトラブルへの発展も考えられるため、プライバシー侵害にあたる行為を正しく理解して、従業員のプライバシーが侵害されないような対策を講じることが大切です。

社宅管理の担当者のなかには、「どのような行為がプライバシー侵害にあたるのか」「安心して社宅に住んでもらえるための対策を知りたい」と考える方もいるのではないでしょうか。

そこで本記事では、社宅でのプライバシー侵害にあたる行為と対策法を解説します。

出典:総務省『プライバシー情報の取扱い


目次[非表示]

  1. 1.社宅でのプライバシー侵害につながる2つのケース
    1. 1.1.①会社や管理人による無断入室
    2. 1.2.②郵送物のチェック
  2. 2.社宅におけるプライバシー侵害の対策方法
    1. 2.1.①社宅規程を作成する
    2. 2.2.②従業員が安心して過ごせる環境づくり
  3. 3.まとめ


社宅でのプライバシー侵害につながる2つのケース

マンションやアパート等の集合住宅を賃貸する借上社宅や、社有社宅の場合、従業員同士だけでなく、ほかの入居者や管理人からプライバシー侵害行為を受ける可能性があります。

従業員同士の関係が親密になりすぎて、プライバシーの線引きがあいまいなになることも、プライバシー侵害が起こる原因の一つと考えられます。

では、具体的にどのような行為がプライバシー侵害にあたるのでしょうか。ここでは社宅においてプライバシー侵害行為になり得る主な2つのケースを紹介します。


①会社や管理人による無断入室

1つ目のケースは、会社や管理人による無断入室です。

住人の許可を得ずに無断で入室する行為は、たとえ相手が会社の役員や管理人、点検作業員であってもプライバシー侵害にあたる可能性があります。

刑法』第130条では、正当な理由なくして人の住居に侵入する行為は、3年以下の懲役または10万円以下の罰金に処する行為と定められています。

例外として、社宅規程で定められている抜き打ち点検に関しては、あらかじめ住人(従業員)の同意を得ていれば問題ないケースもあります。しかし、それ以外はプライバシー侵害に該当するおそれがあるため、注意が必要です。

出典:eーGob法令検索『刑法


②郵送物のチェック

2つ目のケースは、郵送物をチェックする行為です。

刑法』第133条では、正当な理由なくして封をしてある信書を開けた場合、1年以下の懲役または20万円以下の罰金に処すると定められています。

また、『郵便法』第7条および第8条でも“校閲の禁止”と“秘密の保護”に関する規定があります。『日本国憲法』第21条でもプライバシー保護の観点から、通信の秘密を侵すことを禁じています。

以上の規定により、社宅に届いた個人情報が記載された郵便物や宅配物の中身を勝手にチェックする行為はプライバシー侵害になり得ます。

出典:eーGob法令検索『刑法』『郵便法』『日本国憲法



社宅におけるプライバシー侵害の対策方法

従業員が社宅で安心して過ごすためには、プライバシーが侵害されないような取組みを行う必要があります。

ただし、対策できる範囲には限界があるため、万が一プライバシーが侵害される行為が発生した場合、当該従業員が一人で悩みを抱えることのない施策も考慮することが大切です。

ここでは、社宅で暮らす従業員のプライバシーを保護するための具体的な取組みを2つ紹介します。


①社宅規程を作成する

社宅制度の導入する際は、社宅を利用するにあたって遵守するルールやマナーをまとめた社宅規程を作成しましょう。

社宅規程には、どのような行為がプライバシー侵害に該当するのか記載した上で、禁止事項や規程違反が発覚した場合は処分の対象になることと、処分の具体的な内容を明記します。

あらかじめ社宅規程を設けておけば、プライバシーを巡ってトラブルに発展した場合でも、規程に沿ってスムーズに対応できます。


②従業員が安心して過ごせる環境づくり

社宅導入の目的の一つは福利厚生を充実させることです。企業は社宅導入に際して、従業員が安心して過ごせる環境づくりへの取組みが必要です。

たとえば、鍵付きのポストや宅配ボックスが設置されている賃貸物件を借上社宅として契約する、従業員同士のプライバシー侵害を防ぐのであれば、一棟借り上げではなく戸別で社宅契約を行うなどの方法があります。

併せて、プライバシーを巡る何らかのトラブルが発生した場合に備えて、トラブル時の対処法や相談窓口の連絡先を社宅規程や入居時に渡す案内書面などに明記しておきましょう。



まとめ

この記事では、社宅で発生しやすいプライバシー侵害行為と対策法について、以下の項目を解説しました。


  • 社宅でのプライバシー侵害につながる2つのケース
  • 社宅におけるプライバシー侵害の対策方法


社宅では、ほかの住人や管理人などを含め、人の出入りが多くなりやすく、無断入室や郵便物の無断開封などのプライバシー侵害行為を受ける可能性があります。

社宅を提供する企業としては、従業員が安心・安全に社宅で過ごせるように、プライバシー侵害に関する適正な対策を講じることが必要です。

トラブル防止やスムーズな問題解決に向けて、禁止事項や問題発生時の対処法を明記した社宅規程を作成して、社内に相談窓口を設置するといった準備を行いましょう。

もし、社内での社宅管理が難しい場合は、管理代行会社への業務委託もおすすめです。


なお、こちらの記事では、社宅で起こりやすいトラブルと、社宅担当者に求められる対応について解説しています。併せてご覧ください。

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