
賃貸物件を短期間で契約するには。通常契約との違いや法人が有効活用する方法
数週間~数ヶ月にわたる出張や研修を実施する際には、従業員の住居を確保するために賃貸物件を短期間で契約する方法があります。
人事総務部門のご担当者さまのなかには「短期契約と一般的な賃貸借契約は何が違うのか」「短期間で入居できる物件はほかにもあるのか」など気になる方もいるのではないでしょうか。
この記事では、短期契約の仕組みや一般的な賃貸借契約との違い、短期間の入居が可能な物件の種類、法人における短期契約の活用法について解説します。
目次[非表示]
- 1.賃貸物件の短期契約とは
- 2.一般的な賃貸借契約との違い
- 3.短期間の入居が可能な物件の種類
- 3.1.①短期賃貸マンション
- 3.2.②民泊・ゲストハウス
- 3.3.③ビジネスホテル
- 4.企業が短期契約の賃貸物件を有効活用する方法
- 5.まとめ
賃貸物件の短期契約とは
賃貸物件の短期契約とは、1週間や1ヶ月などの短い入居期間で賃貸物件を借りる際に使われる言葉です。
しかし、賃貸借契約において“短期契約”という正式な契約形態があるわけではなく、以下のような契約形態を利用して短期間の入居を行うケースを指します。
▼短期間で借りられる賃貸物件の契約形態
契約形態 |
概要 |
普通建物賃貸借契約 |
更新を前提とした一般的な賃貸借契約 |
定期建物賃貸借契約 |
契約時に確定的な期間を定めて、期間が満了すると更新がなく契約が終了する形態 |
短期間での入居には、一般的に定期借家契約が用いられることがあります。普通借家契約で対応する場合は、貸主の了承が必要です。
出典:国土交通省『定期建物賃貸借契約』
一般的な賃貸借契約との違い
一般的な賃貸借契約とされる普通借家契約と定期借家契約は、契約の仕組みが異なります。賃貸物件の種類や管理会社によって契約内容は異なりますが、主に以下のような違いがあります。
▼一般的な賃貸借契約との違い
一般の賃貸借契約
(普通借家契約)
|
短期契約
(定期借家契約の場合)
|
|
契約期間 |
主に2年契約
(更新可・継続期間の定めなし)(※1)
|
期間の定めあり
(更新不可・継続期間は事業者による)
|
期間満了後の 更新可否 |
可 |
不可 |
保証人・ 保証会社 |
いずれかが必要 |
不要な場合がある |
敷金・礼金 |
基本的に発生する |
不要な場合がある |
入居審査 |
詳細に審査される |
比較的通りやすい |
借主による 解約手続き |
貸主への通知が必要 |
通知が不要 |
普通借家契約では、通常2年の契約期間が設定されており、期間の満了後には更新することが可能です。解約する際には、契約時に規定された解約予告期間内に借主から貸主へ終了の通知を行う必要があります。
一方、定期借家契約を利用する場合は、1年未満の短期間で賃貸物件を借りることも可能です。当初の契約期間が満了すると契約は終了(※2)となり、借主側から終了の通知を行う必要がないケースもあります。ただし、管理会社によって入居期間や終了通知の対応などは異なるため、事前に確認しておくことが必要です。
そのほか短期契約が可能な賃貸物件では、敷金・礼金の支払いがなかったり、入居審査に通りやすかったりする場合もあります。通常の賃貸物件と比べて初期費用を抑えやすく、スムーズに契約手続きを進めることが可能です。
なお、定期借家契約の仕組みや賃貸物件の解約手続きについては、こちらの記事をご確認ください。
※1…契約期間が1年未満の場合は期間の定めがない賃貸借契約として扱われる。
※2…貸主との合意により再契約することは可能。
出典:国土交通省『定期建物賃貸借契約』
短期間の入居が可能な物件の種類
短期間で入居できる物件には、さまざまな種類があります。ただし、宿泊料を支払って滞在する物件は旅館業法に基づく宿泊施設に該当するため、借地借家法に基づく定期借家契約とは明確に区別されます。
出典:国土交通省 民泊制度ポータルサイト『旅館業法について』/e-Gov法令検索『借地借家法 第38条』
①短期賃貸マンション
短期賃貸マンションは、1週間や1ヶ月単位で契約できる賃貸マンションです。
定期借家契約に該当するため、契約期間が満了すると更新はなく終了となります。引き続き入居したい場合には、貸主と合意すれば再契約することも可能です。
▼短期賃貸マンションの特徴
- 1週間または1ヶ月単位で契約期間を柔軟に設定できる
- 家具・家電が備わっている
- 利用料金は入居時に一括で支払う必要がある
- 数週間以上の利用であればビジネスホテルよりも費用を抑えやすい など
②民泊・ゲストハウス
民泊・ゲストハウスは、一戸建て住宅やマンションを利用した宿泊施設です。
賃貸物件のように賃貸借契約を交わす必要はなく、宿泊日数に応じた宿泊料を支払うことで滞在が可能になります。宿泊施設によって滞在可能な日数は異なりますが、1日~数週間の宿泊に対応しています。
ゲストハウスについては、個室だけでなくほかの宿泊者と部屋を共有するドミトリータイプがあります。入浴施設やトイレ、キッチンなどは共有となります。
▼民泊・ゲストハウスの特徴
- 賃貸借契約が必要なく、予約または当日申し込みでの利用ができる
- 施設によってさまざまな部屋タイプや宿泊プランがある
- 家電や入浴設備などが共有になることが多い など
③ビジネスホテル
ビジネスホテルは、1泊から滞在できる宿泊施設です。滞在に必要な備品やサービスが備わっているため、荷物量を抑えつつ快適に宿泊できます。
ただし、1週間や1ヶ月など長期滞在をする場合には、短期賃貸マンションと比べて宿泊費用が高くなりやすいとされています。
▼ビジネスホテルの特徴
- 賃貸借契約が必要なく、予約または当日申し込みでの利用ができる
- 清掃やランドリーサービス、食事付きプランなどが備わった施設がある
- 1泊当たりの宿泊料が短期賃貸マンションよりも高くなりやすい など
企業が短期契約の賃貸物件を有効活用する方法
賃貸物件の短期契約は、1年未満の期間において従業員向けの住居を確保する場合に有効活用することが可能です。
▼短期契約の活用例
- 短期の単身赴任や長期出張で社宅を貸与する
- 引越しを伴う入社や転勤時に仮住まい先を提供する
- 新入社員研修時の宿泊先にする など
1年未満の単身赴任や1週間以上の長期出張、引越しによる一時的な仮住まいなどで住居を確保する場合には、短期契約の賃貸物件が適しています。通常の賃貸物件やホテルを利用するよりも、初期費用、宿泊料の負担を抑えられます。
ただし、契約期間中の解約には違約金が発生するほか、再契約ができない物件もあるため、入居したい期間が明確に決まっている場合に利用するとよいでしょう。
なお、社宅としてマンスリーマンションの法人契約を行うメリット・デメリットについては、こちらの記事をご確認ください。
まとめ
この記事では、賃貸物件の短期契約について以下の内容を解説しました。
- 短期契約の概要
- 一般的な賃貸借契約との違い
- 短期間の入居が可能な物件の種類
- 企業が短期契約の賃貸物件を有効活用する方法
1年未満の期間で賃貸物件を借りられる短期契約は、通常の賃貸借契約とは異なる定期借家契約が利用される場合があります。契約期間や更新可否、解約手続きなどが異なるため、仕組みを理解しておくことが重要です。
単身赴任・出張・研修などで数週間~数ヶ月の滞在を予定している場合には、宿泊施設を利用するよりも短期契約で賃貸物件を借りるほうが費用を抑えることが可能です。従業員の社宅や仮住まい先として提供する方法が考えられます。
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