
福利厚生の「住宅手当」は手取りにどう影響する? 採用に強い住宅補助の選び方
転職活動や就職活動において、企業選びの重要な基準となる「福利厚生」。中でも「住宅手当」の有無や内容は、生活の安定に直結するため、求職者にとって非常に大きな関心事です。
しかし、住宅手当は支給額がそのまま「手取り額」として増えるわけではないことをご存じでしょうか。現金で支給される手当は、所得税や住民税の課税対象となるほか、社会保険料の算定根拠にも含まれるため、結果として額面ほどの手取り増を感じられないケースも少なくありません。
この記事では、住宅手当の平均相場や手取りへの影響といった求職者・従業員側の疑問を整理しつつ、企業の人事・総務担当者の視点から、若手社員や転勤者に響き、企業の採用力強化につながる「効果的な住宅補助(借上社宅制度など)」の選び方について解説します。
福利厚生の「住宅手当」とは? 相場や支給条件の実態
住宅手当とは、従業員が負担する家賃や住宅ローンの一部を、企業が現金(給与の一部)で補助する「法定外福利厚生」の一種です。
求職者が「この会社には住宅手当があるか」「世間一般ではどれくらい支給されているのか」と注目しやすい制度ですが、支給の有無や条件、金額は企業によって大きく異なります。
住宅手当の平均相場と企業での導入状況
厚生労働省が公表した『令和7(2025)年就労条件総合調査の概況』によると、住宅手当を支給している企業(常用労働者30人以上を対象とした調査)における、労働者1人当たりの平均支給額は18,700円となっています。
▼諸手当の平均支給額

画像引用元:厚生労働省『令和7(2025)年就労条件総合調査の概況』
一方で、住宅手当制度を導入している企業の割合は、2025年の時点で45.7%です。2020年の調査時点では47.2%であったことから、わずかではありますが減少傾向にあります。
▼諸手当の支給企業割合

画像引用元:厚生労働省『令和7(2025)年就労条件総合調査の概況』
また、一律に支給するのではなく、「扶養家族の有無」や「勤務地・居住地域の家賃相場(首都圏と地方の差など)」に応じて支給額に差を設けている企業も多く見られます。
出典:厚生労働省『令和7(2025)年就労条件総合調査の概況』
実質年収への影響とよくある支給条件
求職者は「提示された年収 + 住宅手当」を実質的な年収として捉える傾向がありますが、住宅手当は全従業員に一律で支給されるわけではない点に注意が必要です。
一般的に、以下のような条件が設定されているケースが多く見られます。
本人が世帯主であること
賃貸物件の契約者であること(持ち家は対象外とする企業も多い)
会社から一定の距離内に住んでいること(近接手当など)
自社の制度がどのような条件に基づいているかを明確に提示し、求職者とのミスマッチを防ぐことが重要です。
なお、住宅手当の支給条件については、こちらの記事で詳しく解説しています。
住宅手当は課税対象? 手取りや社会保険料への影響
「住宅手当が支給されれば、そのまま手取りが増える」と考えている求職者や従業員は多いものですが、実態は異なります。
現金で支給される手当は給与計算の仕組みに組み込まれるため、税金や社会保険料の負担増を招く点に留意しなければなりません。
所得税や住民税などの課税対象になる
住宅手当は、税務上「給与所得」として扱われます。そのため、基本給と同様に所得税や住民税の課税対象となります。
例えば、月2万円の住宅手当が支給されたとしても、そこから所得税や住民税が差し引かれるため、実際に増える「手取り額」は額面より少なくなります。
出典:国税庁『No.2597 使用人に社宅や寮などを貸したとき』
社会保険料(標準報酬月額)への影響
さらに、社会保険料への影響もあわせて押さえておく必要があります。住宅手当は、健康保険料や厚生年金保険料の計算基準となる「標準報酬月額」の算定対象に含まれます。
手当の支給によって標準報酬月額の等級が上がった場合、従業員本人が負担する社会保険料が増加します。場合によっては、住宅手当によって額面は増えたものの、社会保険料の増加分と相殺され、手元に残る金額の伸びが緩やかになるケースもあります。これは企業側にとっても、負担する「法定福利費(社会保険料)」が増加することを意味します。
なお、社宅の位置づけや種類については、こちらの記事で詳しく解説しています。
出典:日本年金機構『厚生年金保険の保険料』
人事・総務視点|採用力強化に効く住宅関連の福利厚生とは
人事・総務の観点では、住宅手当は導入しやすい人材確保の手段ですが、求職者や若手社員に対してより強力なアピールとなるのは「実質的な手取りが最大化される制度」です。
現金支給の住宅手当に代わる選択肢として、近年は「社宅制度(借上社宅)」を福利厚生の目玉とする企業が増えています。
若手や転勤者に響くのは「手取り」が増える社宅制度
借上社宅制度とは、企業が賃貸物件を契約し、従業員に貸与する仕組みです。企業が大家に家賃を支払い、従業員からは「社宅使用料(賃貸料相当額の一定割合)」を徴収する形をとります。
この場合、一定の要件(賃貸料相当額の50%以上を徴収するなど)を満たしていれば、企業が負担する家賃分は原則として「非課税」となります。給与額面に上乗せされないため、従業員の社会保険料や税負担が増えず、住宅手当を支給する場合と比較して、実質的な手取り額を大幅に増やす効果があります。
これは、可処分所得を重視する若手社員や、コスト負担の大きい転勤者にとって非常に魅力的なポイントです。
出典:国税庁『No.2597 使用人に社宅や寮などを貸したとき』
採用時のアピールポイントとしての「借上社宅」
社宅制度の魅力は、金銭的な支援にとどまりません。従業員が自ら物件情報を探し、不動産会社とやり取りを重ね、限られた期間で住居を決めなければならないうえに、敷金・礼金、仲介手数料、引越し費用といったまとまった初期費用を一時的に用意する必要があります。こうした時間的・金銭的負担は、入社や異動といったライフイベントの大きなストレス要因となりがちです。
その点、『借上社宅制度あり』と記載があれば、単なる「手当あり」よりも手厚い福利厚生として認知されやすく、生活の安定感を求職者に強く印象付けられます。結果として、採用競争力の向上や、入社後の定着率改善が期待できるのです。
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住宅制度の導入・見直しのポイントと解決策
採用力や従業員満足度を高めるために、住宅手当から借上社宅制度へ移行したり、新規導入したりする際に大きな壁となるのが「人事・総務部門の業務負担」です。
従業員の多様なニーズに応えつつ、管理側のリソースを圧迫しない運用体制をいかに構築するかが成功の鍵となります。
従業員のニーズ多様化に対応する規程の整備
昨今の働き方やライフスタイルの変化により、従業員が希望する物件の条件は多様化しています。「通勤しやすいエリア」「リモートワークに適した間取り」「最新の防犯設備」など、求められる要素は多岐にわたります。
こうしたニーズに応えつつ公平性を保つためには、社内の実情に合わせた柔軟な社宅規程の整備が不可欠です。家賃上限額の設定や入居資格の明確化など、実効性のある規程を定期的に見直すことが、結果として従業員エンゲージメントの向上につながります。
管理業務の負担軽減にはアウトソーシングが有効
借上社宅制度を自社で運用すると、以下のような煩雑な業務が発生します。
物件選定や不動産会社との調整
法人契約の締結、更新、解約手続き
毎月の家賃支払い管理
退去時の原状回復費用をめぐるトラブル対応
これらの負荷を解消するには、社宅管理の窓口を一本化できる「社宅代行サービス」の活用が有効な解決策です。専門知識を持つ外部パートナーに実務を委託することで、人事・総務担当者は本来注力すべき戦略的な業務に専念できるようになります。
→【おすすめ!】記事と合わせて読みたい「社宅管理代行アウトソーシング 導入事例まとめ」
住宅制度の課題はリロケーション・ジャパンの社宅管理サービスで解決
福利厚生として非常に魅力的な借上社宅制度ですが、管理の手間や複雑な手続きがネックとなり、導入や拡大に踏み切れない企業も少なくありません。
リロケーション・ジャパンの社宅管理サービスを活用すれば、企業の課題に寄り添った最適な運用を実現できます。
転貸方式で社宅管理の業務を最大90%以上削減
リロケーション・ジャパンの「借上社宅プラン」は、当社が企業の代わりに貸主となる「転貸方式」を採用しています。
一般的な代行方式と異なり、企業側は当社1社とだけやり取りすればよいため、数多くの家主や管理会社との煩雑な契約管理や家賃支払い業務を完全に一本化できます。
これにより、自社管理と比較して最大90%以上もの業務工数を削減することが可能です。
社宅規程の見直しや制度コンサルティングにも対応
リロケーション・ジャパンは、累計管理戸数30万戸超という業界トップクラスの実績とノウハウを保有しています。
単なる実務の代行にとどまらず、市場相場や最新のトレンドを踏まえた「社宅規程の見直し」や「制度設計」のコンサルティングも行っています。
「採用力を強化したい」「管理コストを適正化したい」といった導入目的に応じ、トータルでサポートすることで、従業員満足度の向上と企業価値の最大化に貢献します。
まとめ
この記事では、福利厚生における住宅手当について以下の内容を解説しました。
福利厚生の「住宅手当」とは? 相場や支給条件の実態
住宅手当は課税対象? 手取りや社会保険料への影響
人事・総務視点|採用力強化に効く住宅関連の福利厚生とは
住宅制度の導入・見直しのポイントと解決策
住宅制度の課題は「リロケーション・ジャパン」の社宅管理サービスで解決
住宅手当は、求職者にとって魅力的な福利厚生の一つですが、現金支給であるために所得税や社会保険料の負担が発生し、従業員の手元に残る「実質的な手取り額」という点ではインパクトが限定的になる場合があります。
一方で、借上社宅制度は、一定の要件を満たすことで非課税となりやすく、従業員の手取りを最大化できるため、特に若手人材や転勤者に対して非常に高い訴求力を持ちます。
住宅関連の福利厚生は、企業の採用力や従業員の定着率に直結する重要な要素です。自社の人材戦略や従業員のライフスタイルに合わせ、住宅手当の継続か、それとも社宅制度への移行か、最適な制度を選択・見直してみてはいかがでしょうか。実務負担が懸念される場合は、専門のアウトソーシングサービスを検討することも、円滑な制度運用のための賢い選択肢となります。
『リロケーション・ジャパン』では、社有社宅の運用代行や借上社宅の包括転貸方式によるトータルサポートを行っています。自社管理と比較して最大90%以上の業務工数削減に貢献します。
詳しくは、こちらの資料からご確認ください。






