単身赴任者の帰省手当とは? 主な条件や支給方法、課税の仕組みを解説
転勤に伴う単身赴任では、引越しや新生活の準備などに費用がかかることから、従業員の経済的な負担を減らす目的で会社が手当を支給することがあります。その一つに、単身赴任者が帰省する際にかかる費用を支給する“帰省手当”があります。
人事総務部門のご担当者さまのなかには「帰省手当を支給する際の条件はどのように設定するのか」「どのような方法で支給するのか」などと気になる方もいるのではないでしょうか。
この記事では、単身赴任者へ帰省手当を支給する際の一般的な条件や支給方法、課税の仕組みについて解説します。
目次[非表示]
- 1.単身赴任者の帰省手当とは
- 2.帰省手当の支給方法
- 3.帰省手当に対する課税の仕組み
- 4.単身赴任に関するそのほかの手当
- 5.まとめ
単身赴任者の帰省手当とは
単身赴任者の帰省手当とは、単身赴任者が赴任先から自宅へ帰省する際に支給する交通費のことです。“帰省旅費手当”と呼ばれることもあります。
帰省手当は、福利厚生のうち法律による導入の定めがない法定外福利厚生に該当します。帰省手当の有無や金額ついては会社によって異なりますが、主に以下のような支給条件が定められています。
▼帰省手当の主な支給条件
- 勤続年数
- 単身赴任先から自宅までの交通費であること
- 従業員本人の交通費であること
- 交通費の証明があること など
帰省手当の支給方法
帰省頻度や移動距離は従業員によって異なるため、帰省手当の支給金額または支給回数に上限を設けることが一般的です。
▼帰省手当の支給方法
支給方法 |
概要 |
固定支給 |
決められた金額を支給する方法 |
回数支給 |
決められた回数分の金額を支給する方法 |
固定支給では、一定の金額を定めて従業員がその金額の範囲内で回数に関係なく帰省ができるようになります。ただし、赴任先から自宅までの距離や交通手段によって交通費が異なるため、単身赴任者ごとに考慮して金額を設定する必要があります。
回数支給の場合は、月または年単位で回数の上限を設定して、その回数分の交通費を支給します。赴任先から自宅までの距離と帰省期間から現実的に可能な帰省の頻度を考えて、個別に支給回数を設定します。
帰省手当に対する課税の仕組み
単身赴任者への帰省手当は給与の一部として支給するため、原則として所得税の課税対象となります。
ただし、会議や出張などの職務として併せて帰省する場合の旅費については、非課税となることがあります。
旅行の目的や行路などから職務遂行が主な理由と認められる場合かつ、旅費の範囲を著しく逸脱しない場合に、非課税として扱っても差し支えないとされています。
ただし、詳細は税理士に確認する必要があります。
▼非課税として取り扱われるケース
(1) この取扱いの対象になるのは、単身赴任者が会議等のため職務遂行上の必要に基づく旅行を行い、これに付随して帰宅する場合に支払われる旅費に限られること。
(2) この取扱いは、その性質上、月1回などの定量的な基準で非課税の取扱いをするということにはなじまないものであること。
(3) 帰宅のための旅行は、職務出張に付随するものであることから、その期間や帰宅する地域等には、おのずから制約があること。
引用元:国税庁『単身赴任者が会議等に併せて帰宅する場合に支給される旅費』
▼原則として非課税として認められる出張のケース
画像引用元:国税庁『単身赴任者が会議等に併せて帰宅する場合に支給される旅費』
出典:国税庁『単身赴任者が会議等に併せて帰宅する場合に支給される旅費』『No.2508 給与所得となるもの』
単身赴任に関するそのほかの手当
単身赴任では、赴任先での生活費が発生するため、家族と同居して暮らすよりも経済的な負担が大きくなりやすいと考えられます。このような負担を考慮して、帰省手当のほかにさまざまな手当を支給している企業があります。
▼単身赴任に関する手当の例
手当の種類 |
概要 |
家賃補助(住宅手当) |
家賃の一部を会社が負担する |
引越し手当 |
引越し費用の一部を会社が負担する |
転勤支援金・支度金 |
家具・家電の購入や引越し費用、赴任先までの交通費など、新生活にかかる費用を補助する |
住居に関する費用の負担を抑えるための福利厚生として、会社が借上社宅や社有社宅を提供する方法もあります。
転勤に伴う手当については、こちらの記事で詳しく解説しています。
まとめ
この記事では、単身赴任者の帰省手当について以下の内容を解説しました。
- 帰省手当の主な支給条件
- 帰省手当の支給方法
- 帰省手当に対する課税の仕組み
- 単身赴任者に関するそのほかの手当
福利厚生の一環として単身赴任者に帰省手当を支給すると、従業員の経済的な負担を軽減できます。赴任先から自宅までの距離や帰省頻度は従業員によって異なるため、一人ひとりの事情を考慮して支給金額や支給回数の上限を定めることが重要です。
また、帰省手当のほかにも、引越しや住居に関する負担を抑えるための手当を支給したり、借上社宅または社有社宅を提供したりする方法もあります。借上社宅や社有社宅の運用について、社内の業務負担が大きいと懸念している方は、アウトソーシングを活用することも一つの方法です。
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