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企業に求められる災害対策。社宅の運用時に行っておくこととは

大規模な災害が発生すると、従業員や事業所への被害が発生する可能性があるほか、事業活動の停止を余儀なくされ、サプライチェーンにも大きな影響を及ぼすことが懸念されます。

災害が発生した際に従業員の安全と経営資源を守り、事業活動の継続や迅速な復旧につなげるためには、平常時から備えをしておくことが重要です。なかでも社宅制度を運用している場合には、ライフラインの停止や二次災害に備えた対策も必要となります。

この記事では、企業に災害対策が求められる理由や具体的な取り組み、社宅の運用時に行っておくことについて解説します。

なお、社宅管理の課題と解決策についてはこちらの資料で詳しく解説しています。併せてご覧ください。

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目次[非表示]

  1. 1.企業に災害対策が求められる理由
  2. 2.企業における災害対策の取り組み
    1. 2.1.➀防災マニュアルの作成
    2. 2.2.②防災備蓄品の準備
    3. 2.3.③防災訓練の実施
    4. 2.4.④BCPの策定
  3. 3.災害に備えて社宅の運用時に行っておくこと
    1. 3.1.物件選定時に災害リスクの確認を依頼する
    2. 3.2.BCP拠点として必要な設備・備蓄品を備える
    3. 3.3.家屋への損傷・破損は写真を撮るように伝える
  4. 4.まとめ


企業に災害対策が求められる理由

企業の災害対策が求められる理由は、大きく2つが挙げられます。


▼災害対策が求められる理由

理由
目指すこと
経営資源を守る
  • 人命の安全を確保する
  • モノ(建物・設備・機器)への被害を軽減する
事業を継続する
  • サプライチェーンの稼働を維持する
  • 事業活動に不可欠なシステム・情報・施設を保護する
  • 事業活動を通じた地域経済の維持により復興に貢献する


近年、日本では豪雨や地震などの自然災害が激甚化・頻発化しており、各地で甚大な被害を及ぼしています。

2024年1月1日に発生した能登半島地震では、家屋の倒壊や土砂崩れによる人的被害・避難者が発生したほか、電気・水道・ガスといったライフライン、交通機関にも大きな被害をもたらしました。

自然災害による人的・物的被害を防ぎ、事業活動の停止による経済的な損失とサプライチェーンや地域経済への影響を抑えるには、災害対策が欠かせません。

また、災害対策を通じて従業員の生命・身体の安全を守ることは、『労働契約法』第5条で定められた“安全配慮義務”を果たすうえでも重要といえます。


出典:国土交通省『令和6年版 国土交通白書 特集 令和6年能登半島地震への対応』『第1節 我が国を取り巻く環境変化』/e-Gov法令検索『労働契約法



企業における災害対策の取り組み

内閣府が実施した『令和5年度企業の事業継続及び防災の取組に関する実態調査』によると、災害リスクを想定した企業経営の実施状況は、大企業で9割近くあるものの中堅以下の企業では6割以下にとどまっています。


▼災害リスクを想定した企業経営の実施状況

災害リスクを想定した企業経営の実施状況

画像引用元:内閣府『令和5年度企業の事業継続及び防災の取組に関する実態調査


現在取り組みを行っていない企業においては、防災・減災のための事前対策を行い、事業を継続できる体制を構築することが必要です。

ここからは、具体的な災害対策の取り組みについて解説します。


出典:内閣府『令和5年度企業の事業継続及び防災の取組に関する実態調査


➀防災マニュアルの作成

防災マニュアルは、災害が発生した際の行動指針や各従業員の役割分担について定めたものです。非常事態のときに速やかに適切な対応を行えるように、防災マニュアルを作成して社内で共有しておく必要があります。


▼防災マニュアルに定めておく主な内容

項目
定めておく内容
災害発生時の組織体制
  • 防災対策本部の設置場所
  • 対応部署・構成員
  • 方針決定の責任者および代行者 など
情報収集の内容・手段
  • 災害発生時の情報収集項目
  • 情報収集の対応メンバー
  • 通信が遮断された場合を想定した複数の通信手段
  • 本部や従業員との情報共有方法 など
緊急連絡網
  • 安否情報の一元化
  • 安否確認の対応フロー・確認事項
  • 各従業員の緊急連絡先 など
初動対応
  • 応急救護や初期消火、設備保護の対応フロー
  • 消防・警察への連絡基準
  • 社内での参集場所・避難場所
  • 出社・帰宅の基準 など


初動対応について定める際は、人命の安全確保を第一としたうえで対応の優先順位を明確にしておくことが重要といえます。


②防災備蓄品の準備

災害の発生時には、安全が確保されるまで事業所内での待機や避難場所への移動が必要になる可能性があります。ライフラインや物流機能が停止した場合に備えて、避難生活に必要な物品・食料を備えておくことが必要です。


▼企業が準備しておく防災備蓄品の例

種別
準備しておくもの
食料品
ペットボトル飲料水、主食(アルファ米や乾パンなど)、缶詰、レトルト食品 など
災害用品
懐中電灯、ヘルメット、応急手当用品、担架 など
衛生用品
簡易トイレ、トイレットペーパー、身体拭きや歯磨きシート、消毒用アルコール、マスク など
その他
毛布、ビニールシート、カイロ、携帯ラジオ、乾電池、非常用発電機 など


なお、能登半島地震では、電気が約80%以上復旧するまで28日、断水が約90%解消するまで約3ヶ月を要しており、ライフラインの復旧期間が長期化しました。このような状況を踏まえると、社内待機が長期化した場合や帰宅困難者が現れた場合への備えを強化することが求められます。


③防災訓練の実施

災害の発生時には、身の安全を確保する行動をとるとともに、二次被害を防ぐための初動対応が求められます。災害のあらゆるケースを想定した防災訓練を実施することで、焦らずに落ち着いて適切な行動がとれるようになります。


▼防災訓練の主な種類

  • 避難誘導訓練
  • 初期消火訓練
  • 通報訓練
  • 応急救護訓練
  • 安否確認訓練 など


なお、『消防法』第36条(防災管理定期点検報告)では、大規模建築物における防災管理業務の一つとして防災訓練の実施が義務づけられています。


出典:e-Gov法令検索『消防法


④BCPの策定

BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)は、自然災害やテロ、パンデミックなどの非常事態が発生した際に、事業活動の継続と早期の復旧を行うために平常時・緊急時の対応を定めた計画です。

平常時の防災・緊急時の組織体制・初動対応のフローなどを定めておくことにより、人的・物的被害や事業活動の停止による損失を最小限に抑えられます。これにより、安定した経営基盤の構築につながります。

内閣府の『令和5年度企業の事業継続及び防災の取組に関する実態調査』によるBCPの策定状況では、「策定済み」「策定中」と回答した大企業は8割を超えている一方、中堅企業では6割程度にとどまっています。


▼2023年度におけるBCPの策定状況

2023年度におけるBCPの策定状況

画像引用元:内閣府『令和5年度企業の事業継続及び防災の取組に関する実態調査


今後30年以内に“南海トラフ地震”“首都直下地震”という大規模な地震の発生が予測されるなか、企業がBCPを策定する重要性は高まっていると考えられます。

なお、BCPの策定・運用についてはこちらの記事をご確認ください。

  BCP(事業継続計画)で不測の事態に備えを! 自然災害・火災・テロなどの不測の事態が発生した際に、迅速に中核事業の継続や復旧を図りつつ、企業の経営資産や従業員の生命を守るには “BCP(事業継続計画)“を策定し、実行できるようにしておくことが求められます。今回は、企業におけるBCPの目的や策定する流れ、具体的な対策について解説します。 リロの社宅管理│業務削減効果90%以上のアウトソーシングサービス


出典:内閣府『令和5年度企業の事業継続及び防災の取組に関する実態調査』『企業の防災対策・事業継続強化に向けて



災害に備えて社宅の運用時に行っておくこと

社宅制度を運用している企業では、入居者に対して災害リスクに関する情報共有を行うとともに、災害時に生活の維持や業務継続が行える環境を整備することがポイントです。


物件選定時に災害リスクの確認を依頼する

入居者自身で社宅の物件選定を行う場合には、そのエリアで想定される災害リスクについて事前に確認するように伝えておきます。市町村が公表するハザードマップを確認したり、不動産仲介会社に問い合わせたりする方法があります。


▼確認しておく内容

  1. 土砂災害警戒地域
  2. 洪水・津波・高潮などによる浸水想定区域
  3. 避難場所・避難経路 など


なお、賃貸借契約の際に不動産仲介会社が実施する重要事項説明では、市町村の水害ハザードマップに基づいた水害リスクの説明が追加されています。

会社名義で契約する借上社宅の場合、重要事項説明は会社向けとなるため、入居者には水害リスクの内容が知らされません。そのため、事前に情報共有をしておくことも望まれます。


出典:国土交通省『宅地建物取引業法施行規則の一部改正(水害リスク情報の重要事項説明への追加)に関するQ&A


BCP拠点として必要な設備・備蓄品を備える

社宅には、BCP拠点として必要な設備・備蓄品を備えておくことが重要です。

ライフラインが停止しても生活を維持できる環境を整備することで、入居者の安全確保や安心感の醸成につながります。帰宅が困難な従業員が就寝・生活場所を確保できるように居室を確保しておくこともポイントです。

また、社宅内で業務を行える設備環境を整備しておくと、公共交通機関の運行が停止しても在宅で重要な業務を継続できるようになります。


家屋への損傷・破損は写真を撮るように伝える

地震や洪水などによって家屋への損傷・破損が生じた場合には、写真を撮って記録するように伝えておきます。

社宅で加入している火災保険の補償を受ける際には、家屋の被害状況を伝えるための証拠となる写真が必要になります。損傷・破損が発生した箇所を撮影しておくと、保険会社への請求手続きをスムーズに進められます。

また、賃貸物件では退去時に原状回復義務が定められていますが、自然災害による建具への損傷・破損は、賃借人に責任はないと考えられています。災害時に家屋の被害状況を記録しておくことで、社宅を退去する際のトラブルを防止できます。


出典:国土交通省『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン



まとめ

この記事では、企業の災害対策について以下の内容を解説しました。


  • 企業に災害対策が求められる理由
  • 災害対策の具体的な取り組み
  • 社宅の運用時に行っておくこと


大規模な自然災害はいつ起こるか分かりません。企業では、従業員の安全と経営資源を守り、事業を継続できる体制を構築しておくことが重要です。

また、社宅の運用においては、入居者と災害リスクに関する情報を共有するとともに、災害時に生活の維持や業務継続が行える環境を整備することがポイントです。

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ご質問やご相談がございましたら、お気軽にお問い合わせください。

詳しくは、こちらの資料をご確認ください。

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