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賃貸住宅紛争防止条例は社宅に関係する? 東京都内の賃貸借契約に関する規定

賃貸借契約では、入居中の修繕や退去時の原状回復をめぐってトラブルが生じるケースがあります。『賃貸住宅紛争防止条例』は、東京都において賃貸住宅に関するトラブルを防止するために定められた条例です。俗称として“東京ルール”と呼ばれることもあります。

東京都にある賃貸住宅を社宅として借り上げようと考えている人事総務部門の担当者は、賃貸住宅紛争防止条例の内容や注意点について理解を深めておくことが重要です。

この記事では、賃貸住宅紛争防止条例の概要や条例で義務づけられている内容、借上社宅を運用する際の注意点について解説します。

※この記事は東京都が発行および発表している『賃貸住宅 第4版 トラブル防止ガイドライン』と『賃貸住宅紛争防止条例』を基に作成しました


目次[非表示]

  1. 1.賃貸住宅紛争防止条例とは
  2. 2.賃貸住宅紛争防止条例で説明を義務づけている内容
    1. 2.1.①退去時における住宅の損耗の復旧
    2. 2.2.②住宅の使用および収益に必要な修繕
    3. 2.3.③特約の締結による賃借人の負担内容
    4. 2.4.④設備の修繕および維持管理などに関する連絡先
  3. 3.借上社宅における賃貸住宅紛争防止条例の注意点
  4. 4.まとめ


賃貸住宅紛争防止条例とは

賃貸住宅紛争防止条例とは、東京都の賃貸住宅に関するトラブルを防止するために制定された条例です。

東京都では、民間賃貸住宅について多くのトラブルが発生しており、さまざまな相談が寄せられていました。この条例では、宅地建物取引業者が賃貸住宅の賃借人に対して、退去時の原状回復と入居中の修繕について、法律上の原則や判例を踏まえた費用負担などを書面とともに説明することが義務づけられています。

条例の適用対象となるのは、宅地建物取引業者が媒介または代理を行う東京都内にある居住用の賃貸住宅となります。



賃貸住宅紛争防止条例で説明を義務づけている内容

賃貸住宅紛争防止条例では、宅地建物取引業者が賃借人に対して以下の4つの項目を説明するとともに、書面に明記して交付することを義務づけています。


①退去時における住宅の損耗の復旧

1つ目は、退去時における住宅の損耗に対する復旧についてです。

賃貸住宅を退去する際には、賃借人の責任によって生じた住宅の損耗や傷などを復旧する義務が発生します。これを“原状回復義務”と呼びます。

原状回復のための費用は賃借人が負担することが原則となりますが、経年劣化または通常の使用による損耗や傷部分については、賃貸人が負担します。


▼賃借人の責任による損耗や傷の例

  • 引越し作業で生じた傷
  • 水漏れを放置したことによる床の腐食 など


②住宅の使用および収益に必要な修繕

2つ目は、住宅の使用および収益に必要な修繕についてです。

賃貸住宅の使用および収益に必要な修繕については、原則として賃貸人が費用を負担することとなっています。ただし、入居期間中に賃借人の責任によって修繕の必要が生じた場合には、賃借人が修繕のための費用を負担する必要があります。


▼賃借人の責任で必要になる修繕の例

  • 誤って物をぶつけて割った窓ガラスの交換
  • 空焚きによって壊れた浴室の修理


③特約の締結による賃借人の負担内容

3つ目は、特約の締結による賃借人の負担内容についてです。

前述のとおり、住宅の使用および収益に必要な修繕については、賃貸人が費用を負担することが原則として定められています。しかし、賃貸人と賃借人の合意によって特約を交わせば、修繕や原状回復における賃借人の負担範囲を変更することも認められています。

賃貸住宅紛争防止条例では、特約の有無や内容について確認をしたうえで、賃借人に対して説明を行うことが義務づけられています。


④設備の修繕および維持管理などに関する連絡先

4つ目は、設備の修繕および維持管理などに関する連絡先についてです。

賃貸住宅紛争防止条例に基づいて宅地建物取引業者が説明を行い、書面を交付する際は、入居期間中の設備の修繕や維持管理などに関する連絡先を記載することが義務づけられています。

原則としては賃貸人もしくは賃貸人が指定する事業者の連絡先となりますが、連絡先が異なる場合には対応範囲を区分して記載する必要があります。



借上社宅における賃貸住宅紛争防止条例の注意点

賃貸住宅紛争防止条例に基づいて、宅地建物取引業者から説明を受けるのは賃貸人となります。したがって借上社宅の場合では、賃貸借契約を結ぶ会社の社宅担当者が説明を受けることになります。

賃貸借契約に関する原状回復や修繕については入居者とのトラブルにつながりやすいため、社宅担当者からも入居者へ説明をしておくことが重要です。

また、借上社宅の原状回復や修繕にかかる費用について、会社と入居者のどちらが負担するのかをあらかじめ社宅規程で明文化しておく必要があります。

社宅の修繕や原状回復費用の負担区分については、こちらの記事で解説しています。併せてご確認ください。

  社宅の修理・原状回復費用は誰が負担する? トラブルを防ぐ方法 社宅を含めた賃貸住宅の懸念事項の一つに、退去後に必要となる修理費用が挙げられます。一般的にこの修理費用のことを、“原状回復費用”と呼びます。 普通の物件であれば賃貸人と賃借人の問題ですが、不動産会社や個人を問わず、貸主から借り入れた物件を従業員に貸し出す借上社宅の場合は企業も関係します。 そのため、「修理・原状回復費用は誰が負担するのだろう」「トラブルを回避するために原状回復について把握しておきたい」という担当者の方は多いのではないでしょうか。 この記事では、社宅の原状回復の概要や、費用の負担、トラブルを防止するための方法について解説します。 リロの社宅管理│業務削減効果90%以上のアウトソーシングサービス



まとめ

この記事では、賃貸住宅紛争防止条例について以下の内容を解説しました。


  • 賃貸住宅紛争防止条例の概要
  • 賃貸住宅紛争防止条例で説明を義務づけている内容
  • 借上社宅における賃貸住宅紛争防止条例の注意点


賃貸住宅に関する賃貸人とのトラブルを防止するために、東京都では賃貸住宅紛争防止条例が施行されています。賃貸住宅を借りる際は、宅地建物取引業者から賃借人に対して損耗の修繕や原状回復などの事項について説明と書面の交付を行うことが義務づけられています。

借上社宅の場合は、社宅担当者が説明を受けることになりますが、修繕や原状回復の範囲・費用については入居者とのトラブルにつながるケースも少なくありません。社宅担当者は、入居者に対しても説明を行うとともに、費用の負担区分についてあらかじめ社宅規程で明文化しておくことが重要です。

リロケーション・ジャパン』では、借上社宅の賃貸借契約から入居後の管理、解約手続きなどのさまざまな運営業務をトータルサポートしております。宅地建物取引業者とのやり取りも当社が対応することから、賃貸借契約をめぐるトラブルの防止や業務負担の軽減に貢献します。

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