特定技能外国人を雇用するには住居への支援が必要! 具体的な規程内容とは
日本では、人手不足が深刻な分野において即戦力となる外国人を受け入れるための在留資格が設けられており、そのような外国人を特定技能外国人と呼びます。日本に在留する特定技能外国人は年々増加しており、2023年12月時点で208,462人にもなっています。
▼日本に在留する特定技能外国人の推移
画像引用元:法務省『特定技能制度運用状況(令和5年12月末)』
特定技能外国人を雇用する場合、在留資格の種類によって企業側にさまざまな支援を求められることがあります。そのうちの一つが住居に関する支援です。
特定技能外国人の雇用を検討している人事総務部門のご担当者さまのなかには、「特定技能外国人への住居の支援はどのように行えばよいのか」「住居の支援に関する規程を知りたい」などとお考えの方もいるのではないでしょうか。
この記事では、特定技能外国人に対する住居の支援について、概要や規程を解説します。
出典:法務省『特定技能制度運用状況(令和5年12月末)』
目次[非表示]
- 1.特定技能外国人に対する住居の支援とは
- 2.特定技能1号外国人へ向けた住居の支援に関する規程
- 2.1.①外国人労働者が賃貸物件を借りる場合の規程
- 2.1.1.必要に応じて連帯保証人になる
- 2.1.2.企業が敷金・礼金の負担することを検討する
- 2.2.②借上社宅や社有社宅を提供する場合の規程
- 2.3.③居室の広さに関する規程
- 3.まとめ
特定技能外国人に対する住居の支援とは
特定技能外国人の在留資格には“特定技能1号”と“特定技能2”号があり、特定技能1号で在留している外国人(以下、特定技能1号外国人)を雇用する際には、企業が住居の確保について支援を行うことが義務づけられています。一方で、特定技能2号で在留する外国人に対しては支援義務がありません。
特定技能1号外国人への住居の支援に際しては、以下の二つの方法が考えられます。
▼特定技能1号外国人への住居の支援
- 外国人労働者が自ら賃貸物件を契約する際の支援を行う
- 企業が借上社宅または社有社宅を提供する
ただし、住居の支援は、支援を受ける本人の希望に基づいて実施される必要があります。
出典:厚生労働省『特定技能外国人受け入れる際のポイント』/e-Gov法令検索『特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令』
特定技能1号外国人へ向けた住居の支援に関する規程
特定技能1号外国人に住居の支援を行う場合、本人が賃貸物件を借りる場合と社宅を提供する場合でそれぞれ規程があり、居室の広さに関しても規定されています。
①外国人労働者が賃貸物件を借りる場合の規程
特定技能1号外国人自身が賃貸借人となって住居を借りる場合、企業は必要に応じて連帯保証人になることが求められます。また、場合によっては敷金・礼金の負担を検討することもあります。
必要に応じて連帯保証人になる
賃貸物件における連帯保証人とは、借り主が家賃を払わなかったり、設備を破損した際の修繕費用を払わなかったりした場合に、借り主に代わって支払いを行う立場の人を指します。
連帯保証人は別居している親族や友人になってもらうことが一般的ですが、外国人労働者の場合は日本での連帯保証人の確保が難しいため、本人を雇う企業が連帯保証人となる必要があります。
企業が敷金・礼金の負担することを検討する
賃貸物件の契約に際して支払う敷金・礼金については、原則として特定技能1号外国人本人が負担することとされており、企業負担は義務ではありません。
ただし、本人の希望や近隣賃貸物件の敷金相場、企業が支払っている報酬額なども加味したうえで住居の確保に必要と判断される場合には、企業側で負担することを検討することも考えられます。
②借上社宅や社有社宅を提供する場合の規程
特定技能1号外国人の住居として社宅を提供する場合、それによって経済的利益を得ることは認められていません。そのため、特定技能1号外国人に社宅を提供したうえで使用料を徴収する場合には、以下のように上限が設定されています。
▼社宅を提供する際の使用料の上限
社宅の種類 |
使用量の上限 |
借上社宅 |
借上社宅に必要な費用を入居する特定技能1号外国人の人数で除した額以内 |
社有社宅 |
建設・改築に要した費用や物件の耐用年数、入居する特定技能外国人の人数などを勘案して算出した合理的な額 |
借上社宅に必要な費用には管理費・共益費を含みます。ただし、敷金・礼金・保証金・仲介手数料・更新手数料・途中解約金は含まれません。
また、社有社宅の建築・改築に要した費用については、土地の購入代や土地の造成費用などの土地に関する費用は除くように定められています。
なお、外国人従業員に社宅を提供する際のトラブルと注意点についてはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。
出典:法務省『「1号特定技能外国人支援に関する運用要領-1号特定技能外国人支援計画の基準について-」の一部改正について(令和5年4月20日)』
③居室の広さに関する規程
特定技能1号外国人に居室を提供する場合、1人当たり7.5m2以上の広さを確保する必要があります。ただし、ここでの居室とは、『建築基準法』第2条第4号に規定されたものを指すため、ロフトのような空間は含まれません。
▼建築基準法第2条第4号
居室居住、執務、作業、集会、娯楽その他これらに類する目的のために継続的に使用する室をいう。
引用元:e-Gov法令検索『建築基準法』
また、複数名でルームシェアを行う場合には、居室全体の面積を居住人数で割った面積が7.5m2以上でなければなりません。
出典:法務省『「1号特定技能外国人支援に関する運用要領-1号特定技能外国人支援計画の基準について-」の一部改正について(令和元年9月27日)』『「1号特定技能外国人支援に関する運用要領-1号特定技能外国人支援計画の基準について-」の一部改正について(令和6年4月1日)』/e-Gov法令検索『建築基準法』
まとめ
この記事では、特定技能外国人に対する住居の支援について以下の内容を解説しました。
- 特定技能外国人に対する住居の支援に関する概要
- 特定技能1号外国人に住居の支援を行う際の規程
特定技能外国人のうち、特定技能1号外国人を雇用する際には、住居の確保について支援を行うことが企業に義務づけられています。支援内容としては、賃貸物件を契約する際の支援や社宅の提供が挙げられます。
ただし、住居の支援においては賃貸物件を借りる場合と社宅を提供する場合でそれぞれ規程があるほか、居室の広さに関しても規定されています。企業側はこれらの規程を守って特定技能1号外国人への支援を行わなければなりません。
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