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外国人従業員に社宅を貸与する際によくあるトラブルと注意点

外国人労働者にとって、自ら物件探しや賃貸借契約の手続きを行うことは困難であると考えられます。外国人労働者の不便や不安を少しでも取り除くために、福利厚生の一環として外国人従業員に社宅を貸与している企業もあるのではないでしょうか。

しかし、外国人従業員に社宅を貸与する際には、文化・言葉の違いからさまざまなトラブルが起きることや、日本人従業員とは異なった法的制約が設けられていることがあります。このことから、社宅を貸与する企業側にも知識や理解が必要です。

この記事では、外国人従業員の社宅貸与に関するトラブルとその対策法、特定技能1号外国人に対する住宅支援の注意点について解説します。


目次[非表示]

  1. 1.外国人従業員に社宅を貸与する際によくあるトラブル
    1. 1.1.物件探しが難航する
    2. 1.2.契約内容や社宅規程に関する認識に相違が生まれやすい
    3. 1.3.風習・文化の違いによる入居トラブルが懸念される
  2. 2.社宅に関するトラブルを防ぐ対策法
    1. 2.1.外国人サポートを行う事業者の支援を受ける
    2. 2.2.契約書や社宅規程の内容を丁寧に説明する
    3. 2.3.外国語対応の入居マニュアルを整備する
  3. 3.特定技能1号外国人に社宅を貸与する際の注意点
  4. 4.まとめ


外国人従業員に社宅を貸与する際によくあるトラブル

外国人従業員に社宅を貸与すると、人材採用や定着化などによい影響をもたらすと期待できます。しかし、社宅の貸与に関してトラブルが起きることがあります。


物件探しが難航する

従業員が選んだ賃貸物件を社宅として契約する場合には、物件探しが難航することがあります。

令和3年度 在留外国人に対する基礎調査』によると、住宅探しの困りごととして「国籍を理由に入居を断られた」という回答が全体で16.9%見られています。


▼物件探しの困りごとに関する在留外国人への調査結果

物件探しの困りごとに関する在留外国人への調査結果

画像引用元:法務省『令和3年度 在留外国人に対する基礎調査


外国人従業員による物件探しが難航する要因には、以下が考えられます。


▼物件探しが難航する要因

  • 言語や文化の違いによってコミュニケーションの問題がある
  • 契約に必要な資金や保証人を用意できない
  • 家主・オーナーが外国人の入居に不安があり前向きでない など


出典:法務省『令和3年度 在留外国人に対する基礎調査


契約内容や社宅規程に関する認識に相違が生まれやすい

契約内容や社宅規程に関する認識に相違が生まれることも、よくあるトラブルの一つです。認識に相違が生まれる原因には、外国における賃貸借契約の慣習や言語の壁などが考えられます。


▼認識の相違によるトラブルが起きやすい原因

  • 敷金・礼金・更新料などを支払う慣習が外国にはない
  • 口頭での契約が主流となり、書面で契約を交わす習慣が外国にはない
  • 日本語表記による契約書や社宅規程の内容をよく理解できていない など


契約書や社宅規程の内容をよく理解していない外国人従業員に社宅を貸与すると、誤解・勘違いを招いてしまい以下のような問題につながることがあります。


▼トラブル例

  • 「希望していた物件の条件に合っていない」
  • 「社宅使用料の金額や原状回復費用について知らなかった」
  • 「無断で家族や友人と同居する」 など


風習・文化の違いによる入居トラブルが懸念される

日本と外国における風習・文化の違いによって、生活上のマナーや入居者ルールの違反などのトラブルが起きることもあります。


▼入居トラブルの例

  • ゴミ出しの曜日や分別のルールが守れていない
  • 早朝や夜間に騒音が発生する
  • 共用部に私物を放置する など


また、退職によって社宅を退去することになった際、家具・家電などを放置したままや、鍵を返却しないままに帰国されるトラブルもあります。このような場合、残置物の処分や鍵の費用について企業側での負担が増えてしまうリスクがあります。



社宅に関するトラブルを防ぐ対策法

外国人従業員に社宅を貸与する際のトラブルを防ぐには、日本語での会話が難しい外国人でも契約内容や社宅規程、入居マナーなどを理解できるようにフォローすることが必要です。


外国人サポートを行う事業者の支援を受ける

社宅の物件探しや契約手続きをスムーズに進めるために、外国人の入居サポートを行っている事業者の支援を受ける方法があります。

物件の紹介や契約手続きの仲介を行う不動産会社では、外国語による対応ができないことがあります。外国人の入居サポートを行っている事業者の支援を受けることで、スムーズに物件探しや契約手続きを進められます。


▼支援を依頼する事業者を選定するポイント

  • 外国語でコミュニケーションをとれるスタッフが在籍している
  • 契約書や重要事項説明書を外国語で作成してくれる
  • 外国人の入居案内を積極的に行っている
  • 家主や管理会社とのネットワークがある など


事業者に支援を依頼する前には、外国人従業員の希望条件を聞くとともに、日本の不動産慣習について説明しておくことが必要です。

なお、国土交通省では、外国人へ物件を貸し出す際に活用できる外国語対応のチェックシートや説明書のフォーマットとして『外国人の民間賃貸住宅への円滑な入居について』を提供しています。詳しくは国土交通省のホームページをご確認ください。

出典:国土交通省『外国人の民間賃貸住宅への円滑な入居について


契約書や社宅規程の内容を丁寧に説明する

外国人従業員との認識の相違を防ぐには、理解のしやすい日本語または母国語で契約書や社宅規程の内容を丁寧に説明することが必要です。日本語での会話が難しい外国人従業員については、以下の方法を検討します。


▼外国人従業員へ説明を行う方法

  • 家族や友人に通訳ができる人がいる場合には、同伴を依頼する
  • 日付や金額については、筆談で数字を書きながら確認する
  • スマートフォンの翻訳機を利用して会話する など


また、説明が終わったあとは不明点がないか確認したうえで、外国語対応の社宅使用誓約書を締結します。外国人従業員と社宅使用誓約書を交わすことで、言った・言わないのトラブルを防止できます。

社宅使用誓約書の内容や注意点については、こちらの記事をご確認ください。

  社宅使用誓約書の内容・具体例と締結する際の注意点 通常の賃貸物件は借主と貸主の間で賃貸借契約を交わしますが、社宅の場合は企業と従業員の間で“社宅使用誓約書”を残しておくことが望ましいとされています。 社宅を管理する担当者のなかには、「誓約書でどのような内容を記載すればよいか分からない」「作成する際の注意点を知りたい」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。 この記事では、社宅使用誓約書の内容・具体例をはじめ、締結する際の注意点について解説します。 リロの社宅管理│業務削減効果90%以上のアウトソーシングサービス


外国語対応の入居マニュアルを整備する

契約書や社宅規程とは別に、生活上のマナー、入居者ルールなどを外国語でまとめたマニュアルを整備することも対策の一つです。


▼入居マニュアルに記載する主な事項

  • ゴミの分別方法、粗大ゴミの出し方
  • 電気・ガス・水道の手続き方法、連絡先
  • 共用部の使い方
  • 楽器の演奏や大声での談笑に関するマナー
  • 退去時での家具・家電の処分と鍵の返却
  • 無断同居の禁止
  • ペット飼育の可否 など


また、どの国籍の従業員でも何を伝えたいのかが直感的に理解しやすいように、文字だけで記載せずイラストを用いることがポイントです。


▼イラストを用いた入居マニュアルの例

イラストを用いた入居マニュアルの例

画像引用元:国土交通省『《大家さん、不動産事業者のための》外国人の受入れガイド


なお、社宅でのペット飼育についてはこちらの記事をご覧ください。

  社宅でのペット飼育を認める? “ペット可”にするメリットとデメリット 社宅制度を導入する際は、後々のトラブルを回避するためにも社宅規程を適切に定めておくことが重要です。 ペット飼育の可否についても、社宅規程で定めておくことが望ましい項目の一つといえます。 社宅管理担当者のなかには、「社宅でのペット飼育はできるのだろうか」「ペット可にした場合のメリットとデメリットを知りたい」とお考えの方もいるのではないでしょうか。 この記事では、社宅におけるペット飼育の可否やペット飼育を認めるメリットとデメリットについて解説します。 リロの社宅管理│業務削減効果90%以上のアウトソーシングサービス


出典:国土交通省『《大家さん、不動産事業者のための》外国人の受入れガイド



特定技能1号外国人に社宅を貸与する際の注意点

在留資格が特定技能1号の外国人を雇用する際には、住居の確保について支援を行うことが企業に義務づけられています。

対象の外国人従業員に借上社宅または社有社宅を貸与する際には、居室の広さや徴収する使用料について一定の規定が定められているため、注意が必要です。


▼特定技能1号の外国人に社宅を貸与する際の主な規定

規定項目
概要
居室の広さ
一人当たり7.5m2以上
外国人従業員から徴収する使用料の上限
借上社宅
家賃と管理費・共益費を入居する特定技能外国人の人数で除した額以内
社有社宅
建設・改築に要した費用、物件の耐用年数、入居する特定技能外国人の人数などを勘案して算出した合理的な額

法務省『「1号特定技能外国人支援に関する運用要領-1号特定技能外国人支援計画の基準について-」の一部改正について』を基に作成


出典:法務省『「1号特定技能外国人支援に関する運用要領-1号特定技能外国人支援計画の基準について-」の一部改正について



まとめ

この記事では、外国人従業員と社宅について以下の内容を解説しました。


  • 外国人従業員に社宅を貸与する際によくあるトラブル
  • 社宅に関するトラブルを防ぐ対策法
  • 特定技能1号外国人に社宅を貸与する際の注意点


外国人従業員へ社宅を貸与する際には、言語の問題や風習・文化の違いなどによって物件探し、契約内容、生活マナーに関するトラブルが生じやすくなります。

トラブルを防いで円滑に社宅への入居ができるようにするには、外国人サポートを行っている事業者に支援を依頼するほか、外国語対応の契約書や社宅規程、入居マニュアルを作成して丁寧に説明を行うことがポイントです。

リロケーション・ジャパン』の社宅管理サービスでは、借上社宅のフルアウトソーシングや社有社宅の運用代行などを行っております。物件探しや契約手続き、入居中のサポートまで対応いたします。また、家具・家電付きの物件も紹介しているため、入居時の費用負担を抑えられます。

詳しくは、こちらの資料をご確認ください。

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