社宅使用誓約書の内容・具体例と締結する際の注意点

社宅使用誓約書の内容・具体例と締結する際の注意点

福利厚生の一環として、従業員から喜ばれる制度の一つに社宅があります。

社宅の使用により、従業員は勤務地から近い場所に費用を一部負担で賃借できるのがメリットです。一方、企業は節税や競合他社との差別化によって優秀な人材を確保しやすくなります。

通常の賃貸物件は借主と貸主の間で賃貸借契約を交わしますが、社宅の場合は企業と従業員の間で“社宅使用誓約書”を残しておくことが望ましいとされています。

社宅を管理する担当者のなかには、「誓約書でどのような内容を記載すればよいか分からない」「作成する際の注意点を知りたい」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。

この記事では、社宅使用誓約書の内容・具体例をはじめ、締結する際の注意点について解説します。


目次[非表示]

  1. 1.社宅使用誓約書の内容・具体例
    1. 1.1.①日付・署名・押印
    2. 1.2.②社宅規程に従い利用する旨
    3. 1.3.③社宅における禁止行為への同意
    4. 1.4.④毀損した場合の対応
    5. 1.5.⑤返還事由
  2. 2.社宅使用誓約書を締結する際の注意点
  3. 3.まとめ


社宅使用誓約書の内容・具体例

社宅使用誓約書()には、社宅に入居する従業員に遵守してほしい事項が記載されています。

そのため、「社宅に入居するにあたり、下記の条項を遵守することを誓約する」という文言を社宅使用誓約書に記載することが重要です。

そのほか、記載が必要な内容を大きく5つに分けて、具体例とともに解説します。

※社宅使用誓約書とは、入居希望者である従業員が社宅を貸与する企業に対して、合意した内容を残す書面のこと。社宅規程では網羅しきれない内容や、社宅利用上重要な取り決めを記載するのが一般的とされている。


①日付・署名・押印

社宅使用誓約書に署名した日付、社宅に入居する従業員の署名は不可欠です。氏名と一緒に現住所を記入してもらうこともできます。なお、押印については内閣府・法務省・経済産業省の見解から、省略可能とも考えられます。

また、基本的に、社宅使用誓約書では、「〇〇株式会社」のように正式名称を記載します。


②社宅規程に従い利用する旨

社宅使用誓約書には、詳細な項目の前に、社宅規程に従い利用するという旨を記載します。


▼社宅使用誓約書に記載する文言例

借上社宅(寮)に入居するにあたり、社宅規程(以下「規程」という)の各条項を遵守することに加え、次の事項に同意します。


③社宅における禁止行為への同意

社宅物件や敷地内において、遵守すべき禁止行為・迷惑行為について記載することも大切です。

また、企業は借主という契約当事者の立場上、一切の責任を本人に負わせることはできませんが、入居者間で発生したトラブルについては、本人(入居者)の責任において対処する旨を記載することも重要です。


▼社宅使用誓約書に記載する文言例
▽文言例①

物件に対しては善良な管理者の注意を払い、火災・盗難の予防、衛生・清掃に留意し、近隣および貸主に迷惑をかける行為はいたしません。


▽文言例②

近隣等のトラブルに関しては、本人の責任において対処いたします。


▽文言例③

  1. 社宅およびその敷地内で以下の行為はいたしません。
  2. 危険物を持ち込むこと。
  3. 商業若しくはこれに類する業を営むこと。(民泊含む)
  4. 入居申請をした者以外を居住させること。
  5. 使用権の譲渡、又はこれに類する一切の行為。
  6. 増改築、造作、仕様を変更すること。


④毀損した場合の対応

故意や過失にかかわらず、建物の一部やすべてを毀損した場合の対応を記載します。

この項目が抜けている場合、万が一の事態が発生した際に従業員とのトラブルに発展する恐れがあるため、注意が必要です。


▼社宅使用誓約書に記載する文言例
▽文言例①

規程および社宅管理上の指示・命令に従うことはもちろん、社宅居住者の心得を忠実に履行し、万一故意または重大な過失により建物またはその付帯設備に損害を生じせしめた場合には、これを賠償します。


▽文言例②

会社借上物件は、一般の賃貸住宅とは異質であり、賃貸借契約上の借家人としての権利を主張することはいたしません。


⑤返還事由

社宅の返還事由が発生した際の明け渡し日や請求に関して分かりやすく記載します。


▼社宅使用誓約書に記載する文言例
▽文言例①

社宅規程にて規定する返還事由が生じた際は、会社が指定する期日までに明け渡します。


▽文言例②

返還に際する立退料、付設した物件に対する買い取りまたは補償の請求はいたしません。


▽文言例③

社宅またはその敷地内においてペットを飼育した場合、退去時の原状回復は全額自己負担いたします。(ペット飼育を想定する場合の一例)


▽文言例④

原因、事由の如何にかかわらず、退職した場合は社宅を退去し、要する費用は自己負担いたします。



社宅使用誓約書を締結する際の注意点

社宅使用誓約書を作成する際は、事前に作成した社宅規程に沿って、より簡潔な内容にすることが望ましいです。

社宅規程には、使用料や退去時の修繕費の負担、禁止事項、退去事由などのルールを詳細に記載します。

社宅使用誓約書は、従業員とのトラブルを防止する目的で作成されるため、社宅規程が詳細に決められていない状態では効果をあまり期待できません。

また、前述した社宅使用誓約書の具体例は一般的な内容のため、自社のルールに合わせた内容を盛り込むことが大切です。


なお、こちらの記事では、社宅で起こりやすいトラブルと、社宅担当者に求められる対応について解説しています。併せてご覧ください。

  社宅で起こりやすい4つのトラブルと求められる対応を解説 社宅制度を導入している企業では、居住している従業員からさまざまなトラブルの相談を受けるケースがあります。企業の社宅担当者は、従業員が安心して快適な生活を送れるように、起こりやすいトラブルについて把握したうえで、適切な対応をとることが重要です。この記事では、社宅で起こりやすいトラブルと、社宅担当者に求められる対応について解説します。 リロの社宅管理│業務削減効果90%以上のアウトソーシングサービス



まとめ

この記事では、社宅使用誓約書について、以下の項目を解説しました。


  • 社宅使用誓約書の内容・具体例
  • 社宅使用誓約書を締結する際の注意点


社宅使用誓約書には、社宅に入居する従業員に遵守してほしい事項が記載されています。事前に作成した社宅規程を基に、必要事項の要点を簡潔にまとめて記載することがポイントです。

社宅使用誓約書を活用してトラブルを防止することで、円滑に運用できます。しかし、社宅管理の業務は契約だけではなく更新や解約など多岐に渡るため、手間がかかり本来のコア業務に支障をきたすケースもあります。

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