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休職中である従業員の社宅に関する取り扱い。企業に求められる配慮や対応とは

社宅制度は従業員に提供する福利厚生として位置づけられており、生活費の負担を軽減したり、転勤者に住居面のサポートを行ったりする目的で導入されています。

しかし、社宅に入居している従業員が傷病による療養や出産・育児などを理由に休職することがあります。

人事総務部門のご担当者さまのなかには「休職期間中の使用料は徴収するべきなのか」「企業としてどのような対応が求められるのか」など疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。

この記事では、休職中における社宅の取り扱いや社宅の利用に関する判断と注意点、入居者とのトラブルを防ぐ対策について解説します。


目次[非表示]

  1. 1.休職中における社宅の取り扱い
  2. 2.休職中の社宅利用に関する判断と注意点
    1. 2.1.社宅への継続入居について
    2. 2.2.使用料の徴収について
  3. 3.休職中の社宅に関するトラブルを防ぐには
    1. 3.1.社宅規程に休職中の扱いを明記する
    2. 3.2.休職の理由や個別の事情に配慮する
  4. 4.まとめ


休職中における社宅の取り扱い

休職中における社宅の入居可否や使用料の徴収については、企業が任意で定めることが可能です。社宅制度は、法定外福利厚生の一環として運用されるため、入居資格や退去事由については企業が自由に定められます。

休職を理由とした社宅の取り扱いについても法令による定めはないことから、就業規則や社宅規程の内容に沿って対応する必要があります。



休職中の社宅利用に関する判断と注意点

入居者が休職することになった際には、社宅の継続入居と使用料の徴収について悩まれる社宅担当者さまもいると考えられます。法令による決まりはないものの、従業員の事情や社会通念に照らし合わせて判断することが重要です。


社宅への継続入居について

社宅規程の退去事由に「休職する場合には退去を求める」旨を定めている場合には、社宅の退去を依頼することが可能です。しかし、傷病による休職や出産・育児休業をする従業員に社宅の退去を求めることは、以下のようにみなされる可能性があります。


▼社宅の退去を求めることによる法令の考え方

  • 使用者による安全配慮義務の違反
  • 男女雇用機会均等法や育児・介護休業法に基づく不利益な取り扱い


傷病を理由とした休職の場合、社宅の退去による生活環境の変化によって健康状態に悪影響を及ぼす可能性は否定できません。使用者の安全配慮義務違反を問われることも懸念されます。

また、男女雇用機会均等法や育児・介護休業法では、妊娠・出産・育児休業を理由とした不利益な取り扱いが禁止されています。社宅の退去を求めることは実質的な減給とみなされて不利益な取り扱いとされる可能性が考えられます。

このような理由から、入居者が休職中であっても社宅に住み続ける意思がある場合には、継続入居を認めることが一般的です。

出典:厚生労働省 福井労働局『妊娠・出産、育児休業等を理由とする不利益取扱いの禁止について


使用料の徴収について

休職中における社宅の使用料は、これまでと同額を徴収することが一般的です。

社宅規程に「休職中は家賃の全額を徴収する」旨を定めている場合には、全額を徴収することも可能です。しかし、生活費の負担増加につながるおそれがあるため、社会通念において適切な判断とは考えにくいといえます。

休職中でも社宅の入居を継続するのであれば、現行どおりの使用料に設定することが望ましいとされています。



休職中の社宅に関するトラブルを防ぐには

休職を原因とする社宅のトラブルを防ぐには、入居時に休職中の取り扱いや懸念事項を共有しておくとともに、個別の事情に配慮することが求められます。


社宅規程に休職中の扱いを明記する

社宅規程には、休職中における社宅の扱いを具体的に明記しておきます。


▼休職に関する記載事項

  • 休職による入居継続の可否
  • 社宅の退去を求める休職の事由
  • 休職期間中における社宅使用料の計算方法 など


社宅規程への記載に加えて、入居時に休職による懸念事項を記載した誓約書を締結しておくことで、認識の違いによるトラブルを防止できます。

なお、社宅規程についてはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。

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休職の理由や個別の事情に配慮する

休職を理由として社宅の退去を求めたり、徴収する使用料を増やしたりする場合には、休職の理由や個別の事情に配慮することが重要です。


▼配慮が求められる例

  • ケガによる療養で休職するが、数ヶ月後に復職する意思がある
  • 復職の意思があり、休職中の経過報告やケアを適切に行っている
  • 出産・育児休業を取得するが、ほかの物件にすぐに転居することが難しい など


社宅の退去には、物件探しや契約手続きに負担がかかるほか、毎月の家賃負担が増える可能性があるため、入居者とよく相談のうえで慎重に判断することが求められます。



まとめ

この記事では、休職中における社宅の取り扱いについて解説します。


  • 休職中における社宅の取り扱い
  • 休職中の社宅利用に関する判断と注意点
  • 社宅に関するトラブルを防ぐ方法


社宅の入居者が休職することになった際、住み続ける意思がある場合には継続入居を認めるとともに、従来と同額の使用料を徴収することが一般的とされています。

社宅の取り扱いについては法律による定めはないものの、生活環境の変化や金銭的な負担増加などを踏まえたうえで、社会通念と照らして判断することが重要です。

また、社宅規程には休職中の入居可否や使用料の計算方法について具体的に明記するとともに、個別の事情に配慮することも求められます。

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