借上社宅で利用できる賃貸借契約の包括保険とは? メリットと負担区分を解説
賃貸借契約を締結する際には、物件オーナーや不動産管理会社から火災保険への加入を求められることが一般的です。
借上社宅の火災保険の契約方法には、会社名義と従業員の個人名義の2通りがありますが、社宅によって契約する火災保険が異なる場合、社宅担当者の負担が大きくなりやすいといった課題があります。
このような場合に有効なのが、会社がすべての社宅に対して一括で火災保険契約を締結できる“包括保険”です。
この記事では、賃貸借契約の包括保険の内容をはじめ、加入するメリットと保険料の負担区分について解説します。
目次[非表示]
- 1.包括保険とは
- 2.包括保険に加入するメリット
- 2.1.①会計処理を簡素化できる
- 2.2.②加入漏れを防止できる
- 2.3.③補償内容を統一化できる
- 3.社宅の火災保険料は従業員と会社どちらが負担する?
- 4.まとめ
包括保険とは
包括保険とは、会社が複数の物件に対して一括で火災保険契約を締結する保険商品のことです。包括契約や、プランによっては総括契約・総括保険などとも呼ばれます。
借上社宅では、賃貸借契約は会社名義となりますが、火災保険については従業員が個人契約する方法と、会社名義で法人契約する方法との2通りがあります。複数の社宅を会社名義で契約する場合、加入や更新、解約手続きなど、すべてを担当者が行う必要があるため、業務負担がかかってしまいます。
その点、包括保険であれば会社が一括で契約するため、社宅ごとに手続き・管理する必要がないほか、未加入者の発生防止や業務負担の軽減につながります。
包括保険に加入するメリット
借上社宅で包括保険に加入するメリットとしては、以下の3つが挙げられます。
①会計処理を簡素化できる
1つ目は、会計処理を簡素化できることです。
従業員個人や社宅ごとに火災保険に加入する場合、物件によって契約内容・期間が異なるため、保険料・更新料の支払いに関する会計処理が複雑になる傾向があります。
包括保険に加入することで、従業員個人や社宅ごとの保険加入・更新手続きが不要になり、保険手続きの窓口を一本化できます。また、すべての社宅の火災保険料を一括で支払えるため、会計処理も行いやすくなります。
②加入漏れを防止できる
2つ目は、保険の加入漏れを防げることです。
従業員が個人名義で火災保険に加入する場合、何らかの不備が発生して未加入になってしまうことがあります。火災保険に未加入の状態で火災が発生した場合、賃貸借契約の契約者である会社が損害賠償責任を負うリスクがあります。
一方、包括保険の場合、会社が一括で加入・管理するため、保険未加入者の発生を防止できます。保険の加入漏れをなくすことで、火災や災害などが発生した場合のリスクに備えられます。
③補償内容を統一化できる
3つ目は、補償内容を統一化できることです。
社宅ごとに火災保険に加入する場合、社宅ごとに火災保険の契約・補償内容が異なり、火災や災害が発生した場合の対応が社宅によって異なるため、従業員間の平等性を確保できません。
包括保険に加入すれば、火災保険の補償内容をすべての社宅で統一できるため、従業員間の平等性を図ることが可能です。
社宅の火災保険料は従業員と会社どちらが負担する?
社宅における火災保険料の負担区分については明確な決まりはなく、会社の判断に委ねられます。借上社宅の火災保険を法人名義で契約している場合は、保険料も会社負担となるケースが一般的です。
ただし、火災保険には家財保険も含まれており、社宅の家財は従業員個人の所有物であるという考えから、保険料を従業員負担としている会社もあります。
包括保険によっては、一括支払いや長期契約によって保険料が安くなるケースもあるため、保険料の負担額と管理コストを踏まえたうえで検討することが重要です。
社宅における火災保険料の負担区分については、こちらの記事でも解説しています。併せてご確認ください。
まとめ
この記事では、賃貸物件の包括保険について以下の内容を解説しました。
- 包括保険とは
- 包括保険に加入するメリット
- 火災保険料の負担区分について
包括保険では、借上社宅で複数の物件の火災保険を会社名義で一括契約することが可能です。
火災保険を一本化することで、従業員個人や社宅ごとに火災保険に加入する必要がなくなるため、会計処理の簡素化、加入漏れの防止、補償内容の統一化などのメリットがあります。
火災保険料を会社と従業員のどちらが負担するかについては、会社の判断に委ねられますが、会社負担とする場合には包括保険の加入が有効です。包括保険の支払方法や契約内容によっては、個別加入よりも保険料が抑えられることもあります。
借上社宅において、火災保険の手続きや管理の業務が負担となっている方は、包括保険の活用を検討されてはいかがでしょうか。
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