
共益費と管理費に違いはある? 社宅における取り扱いとは
※2026年1月21日更新
賃貸物件を契約する際、家賃とは別に“共益費”や“管理費”という費用の支払いが必要になるケースがあります。
共益費と管理費は、毎月の家賃とともに継続的に支払いが発生するため、借上社宅として契約する際に確認しておく費用項目の一つです。
社宅担当者のなかには「共益費と管理費は何が違うのか」「どのような用途で利用されるのか」と疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。
この記事では、賃貸物件の共益費と管理費について、違いや用途、相場、家賃との関係、注意点、借上社宅における取り扱いを解説します。
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共益費と管理費とは
賃貸物件を法人契約で利用する際、共益費と管理費の違いが曖昧なまま契約してしまうケースも考えられます。特に社宅や社員寮の運用では、費用区分を正しく理解していないと、社内説明やコスト管理に支障が出ることもあります。
ここでは、法的・業界的な定義と実務上の考え方を解説します。
法的・業界的な定義
共益費や管理費については、法律で厳密に使い分けが定義されているわけではありませんが、不動産業界では一定の整理がされています。
不動産公正取引協議会連合会の「不動産の公正競争規約施行規則」では、管理費について、マンションの事務管理や共用部分の維持管理に要する費用、公租公課などを含むものとされています。なお、将来の大規模修繕に備える修繕積立金は、管理費には含まれません。
一方、共益費は、入居者が共同で利用する設備や施設の運営・維持にかかる費用として説明されるのが一般的です。具体的には、共用廊下やエントランスの照明代、清掃費用、設備の保守点検費などが該当します。
このように、一般的には管理費はやや広い概念、共益費は共用部分に特化した概念になります。ただし、実際の賃貸借契約では、両者が明確に区別されていないケースが大半です。
なお、敷金・礼金の仕組みや社宅における負担区分については、こちらの記事で詳しく解説しています。併せてご覧ください。
共益費・管理費の違いと実務上ほぼ同義で使われる理由
実務上、共益費と管理費は、ほとんど同じ意味として扱われます。物件情報や賃貸借契約書における名称の違いは、多くの場合、管理会社やオーナーの表記上の慣習によるものです。
実際には、共益費と管理費のどちらであっても、入居者が単独では利用できない共用部分の維持管理に充てられる点は共通しています。そのため、名称の違いよりも、費用の内訳や家賃に含まれるかどうかを確認することが重要です。
社宅管理の実務においても、共益費と管理費を区別して処理する場面は多くありません。契約上の表記を正確に把握したうえで、社内規程に照らして家賃と一体として扱うか、別項目として処理するかを判断することが、実務上のポイントになります。
共益費と管理費の使用用途
共益費・管理費は、主に共用部分の維持や運営に充てられます。一般的には、管理費のほうが用途の範囲を広く捉えられることが多いとされています。
代表的な用途としては、共用廊下やエントランスの清掃費、共用照明の電気代、エレベーターやオートロックなどの設備保守費用、管理人の人件費などが挙げられます。これらはいずれも、入居者全体の利便性や安全性を維持するために必要な費用です。
なお、専有部分、つまり各住戸内の修繕費や光熱費は、共益費や管理費には含まれません。これは原則として入居者個人の負担となります。
共益費と管理費の相場
共益費・管理費の金額は賃貸物件によって異なりますが、一般的に家賃の5〜10%が相場とされています。例えば、家賃80,000円の賃貸物件の場合、4,000〜8,000円の共益費・管理費が目安となります。
国土交通省の『令和6年度 住宅市場動向調査』によると、民間賃貸住宅入居者の平均家賃は77,677円、共益費の平均は4,441円でした。家賃比で見ると約5.7%となっており、一般的な相場の範囲内に収まっていることが分かります。
▼民間賃貸住宅の月額家賃

画像引用元:国土交通省『令和6年度 住宅市場動向調査』
▼民間賃貸住宅の共益費

画像引用元:国土交通省『令和6年度 住宅市場動向調査』
ただし、実際の金額は物件の条件によって異なります。エレベーター・オートロック・防犯カメラ・宅配ボックスなどの設備が充実している物件や新築の物件は、設備維持コストがかかる分、共益費・管理費が高く設定される傾向にあります。
出典:国土交通省『令和6年度 住宅市場動向調査』
共益費と管理費が家賃に含まれる・含まれない場合の考え方
共益費や管理費は、物件によっては「0円」と表示されることがあります。これは費用が発生しないという意味ではなく、一般的には家賃に含まれていると考えられます。
月々の支払い額が同じでも、これらの費用が家賃に含まれるかどうかによって、契約時の初期費用や費用管理のしやすさが変わります。
家賃に含まれる場合のメリット・注意点
共益費・管理費が家賃に含まれる物件では、別で共益費・管理費を考える必要がないため、月々の費用を計算しやすい点がメリットです。
しかし、共益費・管理費が別の賃貸物件よりも家賃が高くなるため、家賃を基準に設定される初期費用(敷金・礼金)の負担額も増える可能性があります。
家賃に含まれない場合のメリット・注意点
共益費と管理費が家賃に含まれない場合は、含まれる物件と比較して敷金・礼金などの初期費用が安く抑えられる可能性があります。
▼家賃が80,000円、共益費・管理費が8,000円の賃貸物件(敷金・礼金・仲介手数料は家賃1ヶ月分の発生とした場合)
項目 | 家賃に含まれる | 家賃に含まれない |
家賃 | 88,000円 | 88,000円 |
敷金 | 88,000円 | 80,000円 |
礼金 | 88,000円 | 80,000円 |
仲介手数料 (税込) | 96,800円 | 88,000円 |
合計 | 360,800円 | 336,000円 |
上記のように、家賃に含まれる場合は敷金・礼金にも共益費・管理費の費用が反映されます。また、仲介手数料には消費税が追加されるため、さらに費用の差が大きくなります。
総額で見ると、家賃80,000円で共益費・管理費が8,000円の物件は、24,800円もお得に入居できることが分かります。
ただし、実際の賃貸借契約上では、家賃に含まれる共益費・管理費の具体的な金額が明記されることはないため、家賃に含まれない場合と一概には比較しづらいという点で留意が必要です。
共益費と管理費に関する注意点
共益費と管理費に関しては、以下の点に注意します。
▼共益費と管理費に関する注意点
- 共用部のスペースが広く設備が充実するほど高く設定されやすい
- 共益費と管理費がない場合、管理が十分でない可能性もある
一般的に、大型マンションやシェアハウスなど、共用部のスペースが広く充実した物件は共益費と管理費が高く設定されやすいとされます。
共益費と管理費がない物件においては、家賃に該当費用が含まれているケースのほかに、単に共用部の管理を十分に行っていない可能性も考えられます。入居時の満足度や安全性に影響するため、内見の際に管理状況をしっかりと確認しておく必要があります。
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消費税の扱いについて
賃貸物件の契約において、居住用物件の共益費・管理費は、原則として非課税となります。
国税庁の『集合住宅の家賃、共益費、管理料等の課税・非課税の判定』によれば、共益費や管理費などは、“住宅の貸し付けに付随して提供されるものであり、家賃に含まれる”とみなされるため、非課税となっています。
ただし、以下のケースでは課税対象となるため注意が必要です。
▼課税対象となるケース
- 事業目的での利用: 店舗や事務所、倉庫などとして契約する場合
- 短期契約: 契約期間が1ヶ月未満の場合
このように、居住を目的とした一般的な賃貸借契約であれば、共益費や管理費に消費税が加算されることはありません。
なお、社宅の費用に関する消費税の取り扱いについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
社宅の更新料の概要や課税の有無については、こちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。
出典:国税庁『集合住宅の家賃、共益費、管理料等の課税・非課税の判定』
借上社宅における共益費と管理費の取り扱い
物件を借上社宅として運用する場合、共益費と管理費の取り扱いについて把握しておく必要があります。
社宅使用料の考え方
国税庁は、社宅使用料を設定する際、共益費と管理費は家賃に含めたうえで使用料を算出して問題がないとしています。
共益費・管理費は支払わなければ賃貸物件に居住できない点から、家賃に準ずるものとして扱われます。そのため、社宅使用料を設定するうえでは共益費・管理費を家賃に合算した総額を賃貸料の額として扱うこととなります。
出典:国税庁『役員に貸与したマンションの管理費』
会社と従業員の負担区分
借上社宅における共益費・管理費を会社と従業員のどちらが負担するかについては、任意で設定できます。
ただし、借上社宅の賃貸借契約では会社が借り主となるため、賃貸借契約上の支払い義務は会社となります。
会社と従業員の負担区分については、社宅規程や内規などで明文化しておくことで、認識の相違やトラブルの発生を防ぎやすくなります。なお、実務上は家賃と併せて会社負担としているケースが一般的です。
社宅規程に関してはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。
共益費と管理費の勘定科目
借上社宅における共益費と管理費の勘定科目は以下のとおりです。
▼共益費と管理費の勘定科目
状況 | 勘定科目 |
企業から大家に支払う場合 | 地代家賃 |
従業員から徴収する場合 | 受取家賃もしくは雑収入 |
共益費と管理費は家賃の一部として扱うため、非課税取引となります。また、従業員から徴収する際の税区分は非課税売上となります。
出典:国税庁『No.6225 地代、家賃や権利金、敷金など』『第13節 住宅の貸付け関係』
社宅規程で決めておきたい項目
借上社宅の運用において、共益費や管理費を巡るトラブルを未然に防ぐためには、あらかじめ社宅規程でルールを定めておくことが重要です。
特に重要となるのが、費用負担の範囲と精算ルールの策定です。共益費・管理費に関する会社と従業員の負担区分や、従業員に負担を求める場合の基準、日割り精算ルールなどを明文化しておくことで、運用時の判断がブレにくくなります。
社宅制度を公平かつ安定的に運用するためにも、費用負担の範囲やルールを明確化したうえで、運用実態に合う社宅規程を整備しておくことが重要です。
なお、社宅業務の課題や、効率化を実現するワークフローシステムについては、こちらの資料をご確認ください。
まとめ
この記事では、共益費と管理費について以下の内容を解説しました。
- 共益費と管理費とは
- 共益費と管理費の使用用途
- 共益費と管理費の相場
- 共益費と管理費が家賃に含まれる・含まれない場合の考え方
- 共益費と管理費に関する注意点
- 消費税の扱いについて
- 借上社宅における共益費と管理費の取り扱い
共益費と管理費は、名称こそ異なるものの、実務上はほぼ同じ意味で使われます。賃貸物件の共益費・管理費は、建物や設備の維持管理のための費用となり、明確な違い・用途が定められているわけではありません。
物件によって共益費・管理費の有無や金額が異なるため、契約時には家賃だけでなく毎月の支払い総額を確認することが大切です。
借上社宅の賃料について、従業員の負担額を設定する際は、毎月の賃料だけでなく、共益費・管理費の支払いも明確に定めておくことが重要です。
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