共益費と管理費に違いはある? 賃貸物件での用途や相場を解説
賃貸物件を契約する際、家賃とは別に“共益費”や“管理費”という費用の支払いが必要になるケースがあります。
共益費と管理費は、毎月の家賃とともに継続的に支払いが発生するため、借上社宅として契約する際に確認しておく費用項目の一つです。
社宅担当者のなかには「共益費と管理費は何が違うのか」「どのような用途で利用されるのか」と疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。
この記事では、賃貸物件の共益費と管理費の違いや用途、相場などについて解説します。
目次[非表示]
- 1.共益費と管理費の違い
- 2.共益費と管理費の使用用途
- 3.共益費と管理費の相場
- 4.共益費と管理費が家賃に含まれる・含まれない場合のメリット
- 4.1.家賃に含まれる場合
- 4.2.家賃に含まれない場合
- 5.まとめ
共益費と管理費の違い
賃貸物件における共益費と管理費には、地域的な商慣習や家主・管理会社により定義が異なる場合があるものの、同じ意味合いで使われることが一般的です。
共益費と管理費は、賃貸物件を快適かつ安全な生活環境に保つための維持管理にかかる費用を指します。賃貸物件では、共益費と管理費の取り扱いに2つのパターンがあります。
▼共益費と管理費の取り扱い
- 家賃と別に共益費・管理費が設定されている物件
- 共益費・管理費がなく、家賃のみ設定されている物件
共益費・管理費が設定されている賃貸物件では、毎月の家賃に加えて共益費または管理費を入居者が支払う義務が発生します。
一方、毎月の家賃のみが設定されている賃貸物件では、基本的に家賃のなかに共益費・管理費が組み込まれる仕組みとなっています。
なお、敷金・礼金の仕組みや社宅における負担区分については、こちらの記事で詳しく解説しています。併せてご覧ください。
共益費と管理費の使用用途
共益費や管理費は、基本的に同じ意味合いで使われていますが、管理費のほうが用途の範囲が広く捉えられることが一般的です。それぞれの用途は、以下のようになります。
▼共益費や管理費の用途
費用項目 |
用途 |
共益費 |
|
管理費 |
|
賃貸物件の共有部分には、エントランスや廊下、エレベーター、ゴミ置き場、郵便ポストなどの施設・設備が該当します。
また、専有部分とは入居者が住む部屋をはじめ、そのなかにある収納やキッチン、トイレ、お風呂などの設備のことです。
共益費は、主に物件の共用部分の維持管理にかかる費用を指すのに対して、管理費は共用部分のほか、専有部分の維持管理や管理人の人件費なども含まれます。
共益費と管理費の相場
共益費・管理費の金額は賃貸物件によって異なりますが、一般的に家賃の5〜10%が相場とされています。例えば、家賃80,000円の賃貸物件の場合、4,000〜8,000円の共益費・管理費が設定されることになります。
エレベーター・オートロック・防犯カメラなどの設備が充実している物件や新築の物件は、設備がよくなる分、共益費・管理費が高く設定されることが予想されます。
また、国税庁のホームページによると、共益費・管理費に消費税はかかりません。
▼共益費の消費税について
(2) 共益費……住宅を共同で利用する上で居住者が共通に使用すると認められる部分の費用を居住者に応分に負担させる性格のものについては、共益費、管理費等その名称にかかわらず非課税となります。
引用元:国税庁『集合住宅の家賃、共益費、管理料等の課税・非課税の判定』
詳しくは、国税庁が回答している『集合住宅の家賃、共益費、管理料等の課税・非課税の判定』をご確認ください。
出典:国税庁『集合住宅の家賃、共益費、管理料等の課税・非課税の判定』
共益費と管理費が家賃に含まれる・含まれない場合のメリット
共益費と管理費の金額や設定などは、家主・管理会社によって決められており、家賃に含まれる場合と含まれない場合があります。
社宅として借りる際、従業員または企業にどのようなメリットがあるのでしょうか。
家賃に含まれる場合
家賃に含まれる物件では、別で共益費・管理費を考える必要がないため、月々の費用を計算しやすい点がメリットです。
しかし、共益費・管理費が別の賃貸物件よりも家賃が高く設定されやすく、敷金・礼金の負担額が増える可能性があります。
家賃に含まれない場合
共益費と管理費が家賃に含まれない場合は、含まれる物件と比較して敷金・礼金などの初期費用が安く抑えられる可能性があります。
▼家賃が80,000円、共益費・管理費が8,000円の賃貸物件(敷金・礼金・仲介手数料は家賃1ヶ月分の発生とした場合)
項目 |
家賃に含まれる |
家賃に含まれない |
家賃 |
88,000円 |
88,000円 |
敷金 |
88,000円 |
80,000円 |
礼金 |
88,000円 |
80,000円 |
仲介手数料 (税込) |
96,800円 |
88,000円 |
合計 |
360,800円 |
336,000円 |
上記のように、家賃に含まれる場合は敷金・礼金にも共益費・管理費の費用が反映されます。また、仲介手数料には消費税が追加されるため、さらに費用の差が大きくなります。
総額で見ると、家賃80,000円で共益費・管理費が8,000円の物件は、24,800円もお得に入居できることが分かります。
ただし、実際の賃貸借契約上では、家賃に含まれる共益費・管理費の具体的な金額が明記されることはないため、家賃に含まれない場合と一概には比較しづらいという点で留意が必要です。
まとめ
この記事では、共益費と管理費について以下の内容を解説しました。
- 共益費と管理費の違い
- 共益費と管理費の使用用途
- 共益費と管理費の相場
- 家賃に含まれる・含まれない場合のメリット
賃貸物件の共益費・管理費は、建物や設備の維持管理のための費用となり、明確な違い・用途が定められているわけではありません。物件によって共益費・管理費の有無や金額が異なるため、契約時には家賃だけでなく毎月の支払い総額を確認することが大切です。
借上社宅の賃料について、従業員の負担額を設定する際は、毎月の賃料だけでなく、共益費・管理費の支払いも明確に定めておくことが重要です。
『リロケーション・ジャパン』の社宅管理サービスでは、借上社宅の物件探しや賃貸借契約、家賃の支払いなどの社宅管理業務をトータルサポートしています。
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