社宅の敷金・礼金は誰が負担する? 仕組みとよくある負担区分の問題

社宅の敷金・礼金は誰が負担する? 仕組みとよくある負担区分の問題

賃貸物件を借りる際は、初期費用として敷金・礼金が発生するケースがあります。社宅制度を導入する場合も、会社と従業員のどちらが敷金・礼金を負担するか明確に決めておく必要があります。

しかし、「一般的にどちらが敷金・礼金を負担するか知りたい」「ほかの費用についてもどちらが負担するか知りたい」と悩んでいる社宅管理担当者もいるのではないでしょうか。

この記事では、敷金・礼金の概要や社宅における負担区分、ほかの費用に関する負担区分について解説します。


目次[非表示]

  1. 1.敷金・礼金の費用と仕組み
    1. 1.1.敷金の費用と仕組み
    2. 1.2.礼金の費用と仕組み
  2. 2.社宅における敷金・礼金の負担区分
  3. 3.そのほかの費用で悩みやすい負担区分
    1. 3.1.更新料
    2. 3.2.仲介手数料
  4. 4.まとめ


敷金・礼金の費用と仕組み

敷金・礼金は、賃貸物件を借りる際に発生する初期費用の一つです。物件によって発生しないケースもありますが、初期費用として発生するケースが一般的です。

ここでは、それぞれの費用と仕組みを解説します。


敷金の費用と仕組み

敷金は、家賃滞納や退去時に原状回復費用が発生した際の担保として貸主に預ける費用です。貸主によって異なりますが、一般的に家賃の1~2ヶ月分程度の金額が設定されています。

退去時に借主の故意・過失により生じた破損や、家賃の滞納があった場合は、当初預けた敷金から必要な原状回復費用が差し引かれて、残りが返金される仕組みです。

敷金は長年、賃貸借契約における商慣習の一つとして設定されていましたが、2020年の民法改正によって明確に定義されました。


▼民法 第622条の2

第六百二十二条の二 賃貸人は、敷金(いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭をいう。以下この条において同じ。)を受け取っている場合において、次に掲げるときは、賃借人に対し、その受け取った敷金の額から賃貸借に基づいて生じた賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務の額を控除した残額を返還しなければならない。
一 賃貸借が終了し、かつ、賃貸物の返還を受けたとき。
二 賃借人が適法に賃借権を譲り渡したとき。
2 賃貸人は、賃借人が賃貸借に基づいて生じた金銭の給付を目的とする債務を履行しないときは、敷金をその債務の弁済に充てることができる。この場合において、賃借人は、賃貸人に対し、敷金をその債務の弁済に充てることを請求することができない。

引用:e-Gov法令検索『民法


地域によっては、賃貸借契約で敷金の中から一定額が返金されない“敷引き”と呼ばれる特約が、設定されているケースもあるため、事前の確認が必要です。

なお、原状回復費用の負担区分については、こちらで詳しく解説しています。併せてご覧ください。

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出典:e-Gov法令検索『民法


礼金の費用と仕組み

礼金は、入居時に貸主に対して謝礼として支払う費用です。貸主の意向によって変動しますが、敷金同様、一般的に家賃1~2ヶ月分程度の金額が設定されています。

礼金は貸主に対するお礼という意味合いで支払うため、退去時に返金されることはありません。法律で定められていませんが、長年の商習慣として現在でも根付いていると考えられます。



社宅における敷金・礼金の負担区分

社宅として利用する物件の場合、敷金・礼金は会社が負担することが一般的です。しかし、転勤のような異動を伴わない社宅では、従業員が負担するケースもあります。


▼敷金・礼金の負担区分


敷金
礼金
費用
家賃1~2ヶ月分程度
負担区分
一般的に会社が負担する
従業員が負担する場合は、会社が立て替えて支払う


会社が負担する敷金・礼金は、多くの場合、“敷金2ヶ月”“礼金1.5ヶ月”など上限が設けられています。上限超過時の取扱いは会社で異なりますが、超過を認めないケースと超過分を従業員負担とするケースがあります。

しかし、従業員負担が発生した場合でも、原則として社宅の契約者である会社側が立て替えて支払います。

公平性を保ちつつトラブルを回避するには、社宅にかかる各種費用の負担区分を、社宅規程で明確に定めることが望ましいです。



そのほかの費用で悩みやすい負担区分

社宅を導入・管理する際は、契約~解約の期間において、敷金・礼金以外にもさまざまな費用が発生します。

負担区分や条件を明確にしていない場合は、トラブル発生の原因となる可能性があるため注意が必要です。

ここでは、敷金・礼金以外に負担区分について悩みやすい費用を解説します。


更新料

更新料とは、賃貸物件の契約を更新する際に、家賃と別で貸主に支払う費用のことです。

更新料は会社負担としていることが多いですが、従業員都合で更新する場合は従業員負担となるケースもあります。会社負担が多い理由としては、社宅制度を導入する背景に、会社都合による転勤があることが挙げられます。

従業員負担とする場合でも、金額の上限や支払い方法を社宅規程で定めておくことで、トラブル回避につながります。

なお、社宅における更新料の負担区分や地域別の更新料は、こちらの記事で解説しています。併せてご覧ください。

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仲介手数料

仲介手数料とは、貸主との契約を仲介した不動産会社に支払われる費用のことです。仲介手数料は会社負担とするケースが多く、基本的には敷金・礼金と同じく契約時の初期費用として支払われます。

金額は、『宅地建物取引業法』第46条により、国土交通大臣の定めに従う必要があると記載されています。そして、国土交通大臣の定めでは、原則家賃1ヶ月分+消費税が上限です。


▼宅地建物取引業法 第46条

第四十六条 宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買、交換又は貸借の代理又は媒介に関して受けることのできる報酬の額は、国土交通大臣の定めるところによる。
2 宅地建物取引業者は、前項の額をこえて報酬を受けてはならない。
3 国土交通大臣は、第一項の報酬の額を定めたときは、これを告示しなければならない。
4 宅地建物取引業者は、その事務所ごとに、公衆の見やすい場所に、第一項の規定により国土交通大臣が定めた報酬の額を掲示しなければならない。

引用元:e-Gov法令検索『宅地建物取引業法


出典:e-Gov法令検索『宅地建物取引業法



まとめ

この記事では、社宅における敷金・礼金について以下の内容で解説しました。


  • 敷金・礼金の費用と仕組み
  • 社宅における敷金・礼金の負担区分
  • そのほかの費用で悩みやすい負担区分


社宅にかかる敷金・礼金は、一般的に会社が負担するケースが多いですが、転勤など会社都合の異動による転居がない勤務制度であれば従業員負担となるケースもあります。

負担区分によるトラブルを防ぐには、社宅規程で負担者と金額の上限を明確にすることが大切です。


また、こちらの記事では、借上社宅制度の導入にかかる費用の負担者をはじめ、主な初期費用の項目について解説しています。併せてご覧ください。

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