従業員の転勤に伴う雇用保険の手続きとは? 必要書類と方法を分かりやすく解説
従業員が転勤することになった際は、事業主による雇用保険の手続きが必要になります。なかでも社宅への転居を伴う場合には、転勤先での新居探しや引越しの手配などのさまざまな業務が発生します。雇用保険の手続きに漏れ・ミスがないように、定められた期日・方法で届出を行うことが重要です。
人事総務部門のご担当者さまは、スムーズに社宅への転居を進めるために、従業員が転勤する際の雇用保険の手続きについて改めて理解を深めたいとお考えの方もいるのではないでしょうか。
この記事では、転勤に伴う雇用保険の手続きについて、必要書類や手順を含めて解説します。
なお、転勤に伴う住民票の異動についてはこちらの記事で解説しています。
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転勤に伴う雇用保険の手続き
従業員が転勤することになった際は、事業主が転勤先となる事業所の所在地を管轄するハローワーク(公共職業安定所)に届出を行う必要があります。
▼雇用保険の届出に関する手続きの概要
項目 |
詳細 |
届出用紙 |
雇用保険被保険者転勤届(則様式第10号) |
提出期日 |
転勤した日の翌日から10日以内 |
提出先 |
転勤後の事業所の所在地を管轄するハローワーク |
添付書類 |
|
雇用保険被保険者転勤届(以下、転勤届)は、ハローワークのインターネットサービスから作成・印刷することが可能です。
届出を行ったあとは、『雇用保険被保険者転勤届受理通知書』が転勤前・転勤後の事業所と事業主に郵送されます。
出典:厚生労働省『手続き一覧表』『21701-21900 第11被保険者に関する諸届出』
雇用保険の届出は電子申請でも行える
雇用保険の届出は、転勤先となるハローワークの窓口に直接出向くほかに、インターネットの電子申請で行うことも可能です。電子申請を利用すると365日24時間で申請を行えるため、手続きがスムーズになります。
▼転勤届を電子申請する手順
- e-Gov電子申請を利用するためのアカウントを準備する
- e-Gov電子申請アプリケーションをダウンロードしてインストールする
- アプリケーション上から、転居届と『雇用保険CSV形式届書総括票(送信用)』の必要事項を入力して手続きをする
- 手続きの完了後、e-Gov電子申請システムにアクセスして交付書類の電子公文書を取得する
また、2020年4月からは一定の条件を満たす法人について、転勤届を含む一部手続きの電子申請が義務化されました。
▼電子申請義務化の対象となる法人
- 資本金・出資金の額などが1億円を超える法人
- 保険業法で規定された相互会社
- 投資信託および投資法人に関する法律で規定された投資法人
- 資産の流動化に関する法律で規定された特定目的会社
転勤届の申請には、事業主の電子署名が必要になります。社会保険労務士が手続きを代行する場合は、社会保険労務士の電子署名も必要です。
なお、電子申請の場合は原則として添付書類は不要ですが、ハローワーク側で届出内容を確認する必要がある場合には、後日に提出を求められる可能性があります。
出典:e-Gov電子申請『手続検索』『利用準備』/厚生労働省『電子申請義務化』
転勤届の提出が不要なケース
従業員が転勤することになった際に、事業主による転勤届の提出が不要なケースもあります。
▼転勤届の提出が不要なケース
- 転勤ではなく出張や駐在に該当する場合
- 雇用保険事業所としての非該当承認を受けている場合
転勤は、被保険者の勤務場所が同一の事業主における事業所間で変更されることを指します。単なる出張や駐在は転勤として扱われないため、転勤届の提出は必要ありません。
転勤と出張や駐在のどちらに該当するかは、「辞令が交付されているか」「指揮監督者が変更されるか」「給与の支給場所が変更されるか」などから総合的に判断されます。
また、雇用保険事業所としての非該当承認を受けている場合は、事業所間の異動とみなされないため、雇用保険の手続きは不要です。
まとめ
この記事では、従業員の転勤に伴う雇用保険の手続きについて以下の内容を解説しました。
- 転勤に伴う雇用保険の手続き
- 雇用保険の届出を電子申請で行う方法
- 転勤届の提出が不要なケース
従業員が転勤することになった際は、事業主が転勤先事業所を管轄するハローワークへ転勤届を提出する必要があります。また、一定の条件に該当する企業は、電子申請での届出が義務づけられています。
転勤に伴って社宅へ転居する場合には、新居探しや引越しの手配なども必要になるため、届出の期日を確認したうえで漏れ・遅延がないように手続きを進めることが重要です。
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