新卒の社宅はいつから契約する? 必要な準備や引越し時の注意点とは
新卒の従業員を対象にした社宅制度は、遠方出身者や初めて一人暮らしをする人がスムーズに新生活を始めるための支援となります。新たな環境で生活することへの不安の低減や職場への満足度向上などにつながることから、人材の定着化を図るためにも有効と考えられます。
人事総務部門のご担当者さまのなかには「新卒を対象とした社宅はいつから契約するとよいのか」「引越しの準備や初期費用の支払いはどちらが行うのか」などと気になる方もいるのではないでしょうか。
この記事では、新卒の従業員が入居する社宅の契約や事前の準備、引越しの際の注意点について解説します。
目次[非表示]
- 1.新卒向けの社宅を契約する時期
- 2.入居準備と初期費用の支払いはどちらが行う?
- 2.1.入居までの準備と手続き
- 2.2.初期費用の負担区分
- 3.新卒で社宅へ引越しする際の注意点
- 3.1.早めに引越しの予約をする
- 3.2.家賃の発生日を確認する
- 4.まとめ
新卒向けの社宅を契約する時期
余裕をもって社宅への入居を進めるには、1〜2ヶ月前から契約の準備を進めることが望ましいと考えられます。
企業が賃貸物件を借り上げて従業員に貸し出す際には、不動産仲介会社での物件探しや入居審査、オーナーまたは管理会社との賃貸借契約を行います。また、賃貸借契約後には引越し会社の手配や荷造りなどを行い、社宅への入居準備を進める期間も確保する必要があります。
新卒で入社する4月のタイミングで社宅への入居を済ませておくには、3月中旬ごろまでに引越し作業まで完了しておく必要があります。
▼4月に入居する場合の引越しスケジュールの目安
時期 |
スケジュール |
1月 |
社宅対象者の人数と必要な社宅の件数を把握する |
2月上旬 |
社宅代行会社や不動産仲介会社、引越し会社と相談のうえ、必要な数の賃貸物件の紹介依頼と引越し手配の事前相談を行う |
2月下旬 |
不動産仲介会社に依頼して社宅にする賃貸物件を選定したあと、申し込みと賃貸借契約の締結を行う |
3月上旬~中旬 |
社宅への引越しを行う |
それぞれの準備期間を踏まえると、社宅にする物件の賃貸借契約は2月下旬ごろまでに行うことが望ましいと考えられます。なお、特に繫忙期での引越しでは日程変更が生じる可能性があるため、余裕を持ち前もって引越しの計画を立てることが重要です。
入居準備と初期費用の支払いはどちらが行う?
新卒の従業員に社宅を貸し出す際には、手続きや初期費用の支払い区分について社宅規程にあらかじめ定めておき、周知する必要があります。
入居までの準備と手続き
社宅に入居するまでに発生する準備と手続きには、以下が挙げられます。
▼入居までの準備と手続き
- 社宅利用申請・誓約書の提出
- 不動産仲介会社の選定
- 対象物件の選定・申し込み
- 賃貸借契約の締結
- 引越し会社への見積もり依頼と選定
- 引越し日時の調整・決定
- 各種ライフラインの開通手続き など
借上社宅の場合、賃貸借契約は法人名義で行うことになります。新卒向けの社宅の場合、そのほかの準備・手続きは企業の社宅担当者が主導して行うことが一般的ですが、物件探しと選定については社宅規程範囲内の選定であれば従業員自身での対応を認めていることもあります。
なお、社宅への引越しが決まった際に従業員が行うことについては、こちらの記事で詳しく解説しています。従業員への情報共有としてご活用ください。
初期費用の負担区分
借上社宅に入居する際には、さまざまな初期費用がかかります。
初期費用の支払い区分は法律による定めはなく企業が任意で定められますが、従業員とのトラブルを防ぐために支払い区分を明確にしておく必要があります。
企業と従業員の一般的な負担区分は、以下のとおりです。
▼初期費用の負担区分
負担者 |
内容 |
企業負担 |
|
従業員負担 |
|
引越し会社に支払う運搬費用や引越し先までの交通費については、範囲・上限を決めて企業負担としていることが多いです。
なお、借上社宅の初期費用や引越し費用の負担区分については、こちらの記事をご確認ください。
また、新入社員の引越し費用負担などについては、こちらの記事をご確認ください。
※超過を認めていない規程もあります。
新卒で社宅へ引越しする際の注意点
新卒で入社する従業員が社宅へ引越しする際には、引越し会社の繁忙期や家賃発生のタイミングを確認しておく必要があります。
早めに引越しの予約をする
4月の入社が行われる前の2月中旬〜4月初旬は、学校の入学や転勤が行われるタイミングと重なることから、引越しの依頼が増加しやすい時期です。引越し会社の繁忙期では、予約が混み合いやすく希望する日時で引越しの予約が取れない可能性があります。
スムーズに引越しを進めるためには、転居先のエリアが決まった段階で、早めに引越し会社で引越し日時の予約を押さえておき、急な日程変更が発生する可能性をあらかじめ想定しておくことが重要です。引越しの予約については、詳細な住所が未定の場合でも市区町村までの住所が分かれば依頼できる引越し会社もあります。
なお、引越し難民にならないための対策や繁忙期の引越し料金については、こちらの記事をご確認ください。
家賃の発生日を確認する
社宅の物件探しや引越し準備を余裕をもって進めるために、1ヶ月以上前から賃貸借契約を締結する場合には、家賃の発生日を確認しておきましょう。
賃貸物件では、契約時に家賃の発生日が定められています。家賃の発生日に対して実際に入居する日が遅くなる場合でも、契約時に定めた日から家賃が発生することになります。
▼家賃発生日の例
社宅にする賃貸物件を2月中に契約して、実際の入居が3月中旬になる場合、2月の契約開始後から日割り家賃が発生する
賃貸物件の契約から入居までの期間が空くことによって家賃の発生日を遅らせたい場合には、契約前に不動産会社へ相談する必要があります。家賃の発生日を遅らせられる期間は、長くても1ヶ月程度とされていますが、繁忙期は特に交渉ができない場合も少なくありません。
まとめ
この記事では、新卒向けの社宅について以下の内容を解説しました。
- 新卒向けの社宅を契約する時期
- 入居準備と初期費用の支払い
- 新卒で社宅へ引越しする際の注意点
4月入社のタイミングで社宅に入居する場合には、1~2ヶ月前から賃貸物件を借りる準備を進めて、2月下旬ごろまでには契約を締結しておくことが望ましいといえます。
また、社宅への入居をスムーズに進めるには、手続きや初期費用の支払い区分を社宅規程に定めて従業員に周知しておくことが重要です。2月中旬から4月初旬は引越し会社が繁忙期となるため、早めに予約を取っておくことがポイントです。
ただし、入居の1ヶ月以上前から物件を契約する場合には、家賃の発生日を事前に確認しておきましょう。
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