従業員を引越し難民にしないための3つの対策
入社や転勤のタイミングで引越しをすることになった際、従業員が希望する日程で引越し会社の予約が取れないことがあります。
引越し会社の予約が取れずに引越しができない人を“引越し難民”といいます。従業員が引越し難民になると、入社や転勤のスケジュールが遅延して業務にも影響が及ぶ可能性があります。
人事総務部門のご担当者さまのなかには「引越し難民が発生しやすいのはいつか」「従業員を引越し難民にしないために何か対策はないのか」と気になる方もいるのではないでしょうか。
この記事では、引越し難民が発生する原因や企業ができる対策について解説します。
なお、社宅への引越しが決まったときにやることについては、こちらの記事で詳しく解説しています。併せてご覧ください。
目次[非表示]
- 1.引越し難民が発生しやすい時期
- 2.引越し難民になる3つの原因
- 2.1.引越し会社の予約が埋まっている
- 2.2.見積もりの金額が予算をオーバーしてしまう
- 2.3.物流の2024年問題による影響
- 3.従業員を引越し難民にしないための対策
- 3.1.①引越しの時期を調整する
- 3.2.②特定の引越し会社と法人契約をする
- 3.3.③アウトソーシングを活用する
- 4.まとめ
引越し難民が発生しやすい時期
引越し難民は、特に3~4月の新生活が始まる時期に発生しやすくなります。引越しの予約状況や予算の関係などのさまざまな理由で引越し会社に依頼ができないことが原因と考えられます。
3~4月は、学校への入学や入社・転勤などのタイミングが重なるため、引越しの依頼が増えます。異動の時期が重なると引越し会社が繁忙期となることから、予約が取れず結果として引越し難民の発生につながります。
引越し難民になる3つの原因
入社や転勤に伴う引越しをスムーズに進めるには、引越し難民になってしまう原因を知り、事前に対策を講じることが重要です。引越し難民になる原因には、主に以下が挙げられます。
引越し会社の予約が埋まっている
引越し業界では、3〜4月は多くの人が転勤や新しい生活を始めることから、引越し需要が急増します。特に急な転勤が決まった場合には事前に予約ができず、引越し難民になるリスクが高まります。
毎年多くの転勤が発生する企業のなかには、引越し会社と打ち合わせをして事前にトラックを確保していることもあります。ただし、引越し需要の状況は都度変わるため、必ず引越しができるというわけではありません。
見積もりの金額が予算をオーバーしてしまう
引越し会社の繁忙期は、引越し会社側でトラックの確保やスタッフの増員が必要になることから、引越し費用が増額することがあります。
また、引越し会社が1日に何か所も回って引越しを行うことが想定されるため、差配によって依頼の可否や金額などがその時々で変動します。
予算を設定している場合は、繁忙期に引越しを行うと費用が予算を超えることがあります。繁忙期以前から計画を立てて、事前に複数または一社の引越し会社から見積もりを取り、予算内に収めるための交渉を行うことが有効です。
ただし、引越しは当日の交通状況や天候、引越し依頼者の遅刻、荷物量の増減などの理由によって、事前に見積もりどおりの対応ができなくなる可能性もあります。余裕を持った予算設定や予算超過時の対応策を整備しておくことが望まれます。
引越し料金の値上げについてはこちらの記事で解説しています。
物流の2024年問題による影響
働き方改革によって起こるとされている2024年問題の影響によって、引越し会社が例年引き受けてきた依頼件数に対応できなくなることも原因の一つに挙げられます。
2024年問題とは、トラックドライバーへの時間外労働の上限規制が2024年4月1日から適用されることによって、物流業界に生じると懸念される諸問題のことです。
▼2024年問題による引越し会社への影響
- トラックドライバーの労働時間が減少することによる人手不足
- 1日に運搬できる荷物量の減少
- 引越し会社の売上・利益の減少
トラックドライバーの不足や輸送力の低下によって引越しの受付可能な総件数が減り、引越し難民が発生しやすくなると考えられます。また、引越し会社の売上・利益確保のために引越し費用の値上げが行われる可能性もあります。
出典:国土交通省『物流の「2024年問題」とは』『物流2024年問題について』/衆議院『いわゆる「引越し難民」の緩和のための政府の取り組みに関する質問主意書』
従業員を引越し難民にしないための対策
これらの問題に対処するためには、計画を立てる段階で柔軟性を持って早めの予約と予算の検討を行うとともに、物流の変化に対する認識を持つことが必要です。
①引越しの時期を調整する
引越し会社の予約がとれなくなる問題を防ぐには、繁忙期を避けて引越しのスケジュールを組む方法があります。
引越しの需要が増加しやすい2月中旬から4月初旬の時期をずらして早めに引越し会社への依頼を行うことで、希望日での調整がしやすくなると考えられます。
人事総務部門においては、配属場所の決定や転勤の辞令を行う時期を早めて、従業員が余裕をもって引越しの準備ができるようにすることも重要です。
②特定の引越し会社と法人契約をする
企業が特定の引越し会社と法人契約を交わして、繁忙期に行われる引越し案件の枠を調整してもらうように依頼する方法があります。
法人契約を交わすことで、繁忙期でも自社以外からの引越し依頼を調整したり、トラックやスタッフの準備をしたりして柔軟に対応してもらえる可能性があります。
なお、スムーズに引越し会社を選ぶには、引越し一括比較サービスを利用する方法もあります。引越し会社を比較検討しやすくなるほか、問い合わせ回数を抑えることが可能です。
ただし、入札形式による依頼が中心となり、引越し会社によって得意なエリアや配送距離、配車スケジュールが異なるため、繁忙期には料金の高騰を招いたり、条件に合致する引越し会社が見つからなかったりする場合もあります。
③アウトソーシングを活用する
転居先の物件探しから引越しの手配までをサポートしてくれるアウトソーシングを活用することも一つの方法です。
入社や転勤によって引越しが必要になった際、従業員による物件選びが難航してしまい、引越しの手配が遅れるケースも考えられます。物件探しからサポートしてくれるアウトソーシングを活用すると、従業員の労力を削減してスムーズに引越しの準備を進められます。
依頼できるサービスの内容・範囲は事業者によって異なりますが、不動産会社や引越し会社と連携して以下のようなサポートを受けられます。
▼主なサポートの内容
- 賃貸物件の紹介
- 条件に合った引越し会社の紹介
- 引越し会社への見積り依頼 など
アウトソーシングを活用する際は、自社の優先順位を明確にしたうえで条件に合った運用会社を選ぶことがポイントです。
▼自社に合った運用会社に依頼するポイント
- 2~3社で相見積もりを取る
- 引越し費用を安く抑える
- 異動日程を最優先に引越しを終える
- 引越し会社の銘柄で決める
- 従業員と担当者の業務を軽減した運用ができる
- その他の優先したいことに対応している
リロケーション・ジャパンの『リロネット』では、入社や転勤によって転居が必要になった従業員の物件探しから引越しまでをトータルサポートしております。
全国4,000店舗以上の優良不動産会社や40社以上の引越し会社と提携した業界最大のネットワークにより、従業員の物件探しと引越し会社の手配のお手伝いをいたします。
まとめ
この記事では、引越し難民への対策について以下の内容を解説しました。
- 引越し難民が発生しやすい時期
- 引越し難民になる3つの原因
- 従業員を引越し難民にしないための対策
引越し難民は、引越し会社の繁忙期や引越し料金の値上げ、トラックドライバーの不足と輸送力の低下などの原因によって発生することがあります。
従業員を引越し難民にしないためには、引越しの時期をずらして余裕を持ったスケジュールを確保したり、引越し会社との法人契約やアウトソーシングを活用したりすることがポイントです。
『リロケーション・ジャパン』では、社宅管理の運用代行に加えて、転勤者の物件探しや引越しをサポートする専用システム『リロネット』を提供しており、引越し難民への対策にご活用いただけます。
詳しくは、こちらの資料をご確認ください。