人事異動によるストレスにどう対応する? 人事総務部門が行う対策とは
人事異動は人材育成や組織の活性化につながる一方で、異動を予想していなかった従業員にとってはストレスの原因になるおそれがあります。
厚生労働省が発表した『令和4年「労働安全衛生調査(実態調査)の概要」』では、仕事に対する強い不安や悩み、ストレスの原因について、労働者全体の16.2%が“役割・地位の変化等(昇進・昇格、配置転換等)”によるものと回答しています。
人事総務部門のご担当者さまのなかには「どのような理由で人事異動のストレスが生じるのか」「ストレスを軽減するための対策はないか」と気になる方もいるのではないでしょうか。
この記事では、人事異動によって従業員がストレスを抱える理由や人事総務部門が取り組む対策について解説します。
出典:厚生労働省『令和4年「 労働安全衛生調査(実態調査)」の概要』
目次[非表示]
- 1.人事異動がストレスになる理由
- 2.人事異動による従業員のストレスを軽減する対策
- 2.1.①面談の機会を設ける
- 2.2.②専門家への相談窓口を設置する
- 2.3.③生活環境を整える支援を行う
- 3.まとめ
人事異動がストレスになる理由
人事異動によって生じる従業員のストレスは、環境の変化や将来への不安などが理由に挙げられます。
▼人事異動がストレスになる理由
- 新たな人間関係への不安
- 仕事内容や地位の変化に関する不安
- 転勤による住居の変化や家族・友人と離れることへの不安
- 今後のキャリア形成に対する不安 など
人事異動で配属先や担当業務が変わると、新たに知識を習得したり、上司・同僚と一から関係性を構築したりする必要があり、心身の負担を感じやすくなります。
また、人事異動に伴って転勤が必要になる場合には、住み慣れた土地から離れて暮らすことになるため、生活環境の変化によって不安や孤独感を覚える人もいると考えられます。
人事異動による従業員のストレスを軽減する対策
人事異動によるストレスが溜まると、仕事のモチベーションが低下したり、退職につながったりするおそれがあります。人事総務部門では、従業員のストレスを軽減するための対策を行うことが求められます。
①面談の機会を設ける
人事異動は、従業員のキャリアや生活環境などに影響するため、意思を確認しないまま辞令を出すとトラブルにつながる可能性があります。そのため、人事異動の前後で面談の機会を設けることが重要です。
内示を行う際は、面談で人事異動の目的や根拠、期待していることなどを従業員へ丁寧に伝える必要があります。人事異動に納得して前向きな気持ちになってもらうことで、ストレスの防止につながります。
また、異動後も定期的に面談を実施して、新たな配属先での業務内容や人間関係、生活習慣などに問題がないかを確認することが重要です。不安・悩みを相談できる機会を設けることで、ストレスを軽減するためのアドバイスやフォローを行えるようになります。
なお、人事異動の内示を行うタイミングについては、こちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。
②専門家への相談窓口を設置する
産業医や心理カウンセラーなどの専門家への相談窓口を設ける方法があります。
従業員のなかには、人事異動に不安や悩みがあっても会社の人に言い出せない、あるいは吐き出す場所がないと考える人もいます。専門家への相談窓口を用意することで、プライバシーが保たれた環境で安心して相談できる環境をつくれます。
人事異動を命じた従業員には、相談窓口の存在について伝えるとともに、ストレスを感じる場合に活用を促すことがポイントです。
なお、転勤による単身赴任で企業が気をつけることについては、こちらの記事で解説しています。
③生活環境を整える支援を行う
新生活に対する不安によるストレスを防ぐために、生活環境を整える支援を行うことも一つの方法です。
転勤を伴う人事異動の場合、仕事と人間関係の不安を抱えたなかで、物件探しや引越しの手続きなどを行うことは負担増になると考えられます。また、単身赴任する場合には、家族とのコミュニケーションが希薄になったり、生活費が二重で発生したりする不安もあります。
心理的・労力的・金銭的な負担を軽減するための支援を行うことで、新生活への不安を解消できる可能性が期待できます。
▼生活環境を整える支援の例
- 社宅を提供する
- 家賃補助を行う
- 家具・家電の購入費用を補助する、または貸し出す
- 帰省手当を支給する
- 引越し会社の手配や費用の補助を行う など
なお、単身赴任者に社宅を提供するポイントや帰省手当については、こちらの記事で解説しています。併せてご覧ください。
まとめ
この記事では、人事異動によるストレスについて以下の内容を解説しました。
- 人事異動がストレスになる理由
- 人事異動による従業員のストレスを軽減する対策
人事異動を行うと、仕事や人間関係、生活環境などさまざまな変化が生じることから、従業員がストレスを感じやすくなります。
従業員のストレスを減らして人事異動を前向きに受け止めてもらうには、面談を実施したり、専門家への相談窓口を設置したりして、不安・悩みを相談できる場をつくることが求められます。また、企業で生活環境を整えるサポートを行い、従業員が不要なストレスを抱えないよう事前に対策することも有効といえます。
なかでも転勤を伴う人事異動の場合には、物件探しの労力や家賃の負担を抑えられる社宅を提供することも一つの方法です。
『リロケーション・ジャパン』の社宅管理サービスでは、転勤者へ向けた社宅の運用をトータルサポートしています。賃貸物件の契約や引越しの手配、各種手続きに至るまで一括で代行しているため、従業員の負担を抑えつつスムーズな新生活を支援いたします。
詳しくは、こちらの資料をご確認ください。