転勤に伴う単身赴任で気をつけること。企業が行えるフォローとは
単身赴任とは、転勤の際に同居中の家族を現在の居住地に残したまま、単身で赴任先へと転居することです。
他部署への配置転換や昇進、人材育成などを理由に転勤の辞令を出す際、従業員のなかには単身赴任を選択する人がいます。しかし、家族と離れて赴任先に転居することは従業員にとって生活面や精神面での負担になることがあります。
人事総務部門のご担当者さまのなかには「従業員が単身赴任をする際に気をつけることはあるのか」「人事としてどのようなフォローを行えばよいのか」などと気になる方もいるのではないでしょうか。
この記事では、従業員が転勤で単身赴任をする際に気をつけることや、企業が行えるフォローについて解説します。
なお、人事異動の時期や内示のタイミングについてはこちらの記事で解説しています。併せてご覧ください。
目次[非表示]
- 1.従業員が転勤で単身赴任する際に気をつけること
- 1.1.従業員の家庭環境を考慮する必要がある
- 1.2.赴任先での生活の準備に時間・費用がかかる
- 1.3.食生活が偏りやすい
- 2.転勤で単身赴任する従業員に対して企業が行えるフォロー
- 2.1.帰省手当や単身赴任手当を支給する
- 2.2.社宅制度を導入する
- 2.3.引越し費用の一部を補助する
- 2.4.食事に関する福利厚生を提供する
- 3.まとめ
従業員が転勤で単身赴任する際に気をつけること
転勤によって単身赴任をする場合、生活環境の変更に伴い、さまざまな変化が起こります。従業員に過度な負担がかかる場合には退職につながるおそれもあるため、余裕をもって内示を行うとともに、事前に転勤の可否やタイミングについて相談・調整をしておくことが必要です。
従業員の家庭環境を考慮する必要がある
単身赴任をすることで従業員の家庭環境に問題が生じることがあります。
▼起こり得る問題
- 家族とのコミュニケーションが希薄になる
- 育児や介護について残された家族の負担が大きくなる など
家族とのコミュニケーションが希薄になり不安を感じたり、残された家族が行う育児や介護の負担が大きくなったりして生活に支障をきたすことがあります。
転勤の辞令を発令する際は、現在の生活状況に配慮したうえで、従業員に過度な負担がないように合理的かつ妥当性のある判断をすることが求められます。
赴任先での生活の準備に時間・費用がかかる
転勤に伴い単身赴任をすることになった際には、従業員が新生活を送るための準備が必要になります。
▼新生活の準備
- 住居探しと不動産会社との契約手続き
- 引越しの手配や荷造り
- 家具・家電の購入 など
従業員は業務の引き継ぎや関係者への挨拶を行いながら、赴任先での住居、引越し事業者を探す必要があるため、時間と労力がかかります。また、現在の住居と赴任先での生活費が二重で発生すると、金銭的な負担にもつながります。
そして、家族を残して単身赴任で転居する場合、現在の居住地から家具・家電を持ち込むことが難しいほか、単身赴任が終わると処分が必要です。新たに家具・家電を購入したり、処分したりするのに労力や費用がかかります。
従業員の労力と金銭的な負担を抑えつつスムーズに転勤を進めるには、住居探しや引越しなどの準備についてフォローを行うことが必要です。
なお、単身赴任に必要な家具・家電の費用については、こちらの記事で解説しています。
食生活が偏りやすい
単身赴任で家族から離れて一人で生活することにより、食生活が偏ってしまう従業員もいると考えられます。
外食で食事を済ませたり、弁当や惣菜を買ったりする食生活が多くなると、野菜の摂取や栄養価の高い食事をすることが難しくなり、体調にも影響します。
単身赴任をする従業員には、日々の食生活に関するサポートやアドバイスなどを行い、日ごろから健康管理を行う習慣を身につけてもらうことが必要です。
転勤で単身赴任する従業員に対して企業が行えるフォロー
転勤で単身赴任をする従業員に対しては、住居や引越しに関する費用面のほか、一人暮らしの生活面に関する不安を極力解消するために、できる限りのフォローを実施することが求められます。
帰省手当や単身赴任手当を支給する
単身赴任をする従業員の金銭的な負担を抑えるために、帰省手当や単身赴任手当を支給する方法があります。
帰省手当とは、単身赴任者が赴任先から自宅へ帰省する際の交通費を補助する手当です。帰省手当を支給して家庭へ配慮することで、単身赴任をしている従業員が家族の元に帰省しやすくなり、影響を減らすことにつながります。
▼帰省手当の主な支給方法
支給方法 |
概要 |
固定支給 |
規程の金額を支給して、その範囲内で回数に関係なく帰省ができる方法 |
回数支給 |
月または年間で帰省回数の上限を設定して、その回数分の交通費を
支給する方法
|
また、単身赴任手当とは、単身赴任をする従業員に毎月支給する手当です。赴任先で二重に発生する家賃や帰省による交通費を削減することなどを目的に支給します。
帰省手当と単身赴任手当はどちらも法律による導入の定めがない法定外福利厚生に該当するため、支給の有無や条件、金額などは企業側で自由に設定できます。
なお、帰省手当についてはこちらの記事で詳しく解説しています。
社宅制度を導入する
社宅制度とは、企業が所有する物件や借り上げた物件を従業員の住居として提供する法定外福利厚生の一種です。
単身赴任をする従業員に社宅を提供することで、転勤に伴う住居探しや賃貸物件の契約手続きが不要になり、従業員の労力を軽減できます。
また、家具・家電付きの社宅であれば、新たに購入したり、退去時に処分したりする必要がないため、引越しの際にかかる労力と費用の負担を抑えられます。社宅規程の範囲内で従業員自らが物件を選定できるようにすれば、赴任先の居住環境に対する不満・不安も抑制できます。
家具・家電付きの社宅については、こちらの記事をご確認ください。
引越し費用の一部を補助する
引越し費用の負担を減らすために、会社が一部を補助する方法もあります。
会社の辞令による転勤の場合、引越し費用については会社が全額または一部を負担することが一般的です。従業員が希望する追加のオプションやサポートサービスなどについては、従業員負担としている場合があります。
▼会社が負担する引越し費用の例
- 荷物の運搬費
- 引越し事業者の人件費
- トラックのチャーター費 など
上記のほかにも、現在の居住地から赴任先までの交通費についても会社が負担することがあります。従業員とのトラブルを防ぐために、どこまでの費用を会社負担とするか明確に決めて、規定に明記しておくことが必要です。
なお、転勤に伴う引越し費用の負担区分については、こちらの記事で解説しています。
食事に関する福利厚生を提供する
単身赴任をする従業員の健康管理をサポートするために、食事に関する福利厚生を提供することも一つの方法です。
▼食事に関する福利厚生の例
- 社員食堂を設置する
- 栄養バランスに配慮された弁当の宅配サービスを導入する
- 社宅で食事を提供する
- 食育や健康セミナーを実施する
- 専門家による健康相談を行える窓口やアプリケーションを導入する など
低価格かつ手軽に健康的な食事を摂れるサービスを導入したり、健康意識を向上させる取り組みを行ったりすることで、生活習慣病の対策にもつながります。
なお、社宅・寮における食事提供サービスについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
まとめ
この記事では、転勤に伴う単身赴任について以下の内容を解説しました。
- 従業員が転勤で単身赴任する際に気をつけること
- 転勤で単身赴任する従業員に対して企業が行えるフォロー
転勤で単身赴任を命じる際には、従業員の家庭環境への影響や赴任先での生活について配慮することが必要です。
従業員の事情を考慮したうえで転勤の相談・調整を行うとともに、赴任先への転居や帰省にかかる金銭的な負担を減らすための補助、生活面でのフォローを行うことが重要といえます。
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