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単身赴任手当とは。一般的な支給条件や費用の相場について

転勤によって単身赴任をする際には、引越しや物件の契約、家具・家電の調達などのさまざまな費用がかかります。また、家族と別居することで生活拠点が増えるため、従業員の経済的負担も増加します。

このような経済的な負担を考慮して、企業が従業員に対して単身赴任手当を支給することがあります。

人事総務部門のご担当者さまのなかには「単身赴任手当では具体的にどのような費用を補助するのか」「支給条件や費用はどのように設定すればよいのか」と気になる方もいるのではないでしょうか。

この記事では、単身赴任手当の概要をはじめ、一般的な支給条件や費用相場、支給する際の注意点について解説します。

なお、単身赴任の手続きについてはこちらの記事で解説しています。

  従業員の単身赴任が決定した際に必要なものと手続き 従業員に転勤の辞令を出したとき、辞令を受けた従業員が同居中の家族を現在の居住地に残して単身赴任となることがあります。このとき、単身赴任する従業員はこれまで生活で使用していたさまざまなものを現在の住居に残して引越しするため、新たに多くの物品を購入・準備する必要があります。また、転勤に伴って必要となる手続きも多岐にわたります。この記事では、単身赴任を行う従業員が用意する必要があるものや手続き、企業側で支援できる物事について解説します。 リロの社宅管理│業務削減効果90%以上のアウトソーシングサービス


目次[非表示]

  1. 1.単身赴任手当とは
  2. 2.単身赴任手当の一般的な支給条件
  3. 3.単身赴任手当の相場
  4. 4.単身赴任手当を支給する際の注意点
    1. 4.1.➀就業規則に明記する
    2. 4.2.②単身赴任手当は課税対象となる
  5. 5.まとめ


単身赴任手当とは

単身赴任手当とは、人事異動によって転勤の辞令を出した従業員が単身赴任をすることになった際に支給する手当です。

単身赴任をする際には、赴任先への引越しや物件の契約などに費用がかかるほか、現住居と赴任先で生活拠点が2つになるため、毎月の生活費も負担になります。

企業が支給する単身赴任手当には、単身赴任によって発生するさまざまな費用を補助して、従業員とその家族の経済的な負担を軽減する目的があります。


▼単身赴任手当の内容

手当の内容
概要
支給方法
単身赴任手当
赴任先での生活費を補助するための手当
定例払い
住宅手当(または単身寮・社宅)
赴任先での住居に関する手当・支援
定例払い
帰省手当
帰省にかかる交通費を補助するための手当
一時払い
転勤準備金(支度金)
引越しや物件の契約、家具・家電の購入などにかかる費用を補助するための手当
一時払い


単身赴任手当や住宅手当は、毎月の給与に上乗せして支給する定例払いとなります。帰省手当や転勤準備金は、必要なタイミングで一時的に支給する仕組みとなっています。

定例払いと一時払いの両方を採用している企業もあれば、どちらか一方のみを採用している企業もあります。一時払いを採用しない場合には、引越し費用を会社負担にしたり、家具・家電を会社が貸与したりして、何らかの制度で初期費用を抑えていることが一般的です。

なお、帰省手当についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

  単身赴任者の帰省手当とは? 主な条件や支給方法、課税の仕組みを解説 転勤に伴う単身赴任では、引越しや新生活の準備などに費用がかかることから、従業員の経済的な負担を減らす目的で会社が手当を支給することがあります。その一つに、単身赴任者が帰省する際にかかる費用を支給する“帰省手当”があります。この記事では、単身赴任者へ帰省手当を支給する際の一般的な条件や支給方法、課税の仕組みについて解説します。 リロの社宅管理│業務削減効果90%以上のアウトソーシングサービス



単身赴任手当の一般的な支給条件

単身赴任手当の支給条件は、企業が任意で定めることが可能です。国家公務員においては人事院によって単身赴任手当の規則『人事院規則九―八九』が定められており、企業でも同等の条件を設けている場合があります。


▼国家公務員における単身赴任手当の主な支給条件(第5条)

  1. やむを得ない事情により、同居していた配偶者と別居が必要になる
  2. 赴任前の住居から赴任先への勤務場所に通勤が困難と認められる
  3. 上記の1.2に該当する人のうち、単身での生活を常況とする職員
  4. 上記の1.2に該当する人のうち、満15歳に達する日以後の3月31日までの間にある子どもとの同居生活を常況とする職員 など


上記の1に挙げられる“やむを得ない事情”は、同規則の第2条で規定されています。


▼やむを得ない事情に該当するもの

  • 対象の職員が配偶者を介護している
  • 職員の配偶者が父母または同居の親族を介護している
  • 配偶者が引き続き就業する
  • 配偶者が持ち家を管理するために現住居に居住する など


また、上記の2に挙げられる“通勤が困難と認められる”基準については、同規則の第3条で規定されています。


▼通勤が困難と認められる基準

  • 通勤距離が60km以上となる
  • 通勤距離は60km未満であっても、通勤方法・通勤時間・交通機関の状況などから通勤が困難となる


出典:e-Gov法令検索『人事院規則九―八九(単身赴任手当)



単身赴任手当の相場

厚生労働省がまとめた『令和2年 就労条件総合調査の概況』によると、単身赴任手当の平均支給額は以下のようになっています。


▼単身赴任手当の平均支給額

企業規模
平均支給額
30~99人
4万9,600円
100~299人
4万6,100円
300~999人
4万7,700円
1,000人以上
4万7,600円

厚生労働省『令和2年 就労条件総合調査の概況』を基に作成


また、国家公務員の場合には、月額3万円を基本として単身赴任先と配偶者が住む住居との距離によって金額が加算される仕組みとなっています。


▼国家公務員における単身赴任手当の加算額

距離
加算額
100km以上300km未満
8,000円
300km以上500km未満
1万6,000円
500km以上700km未満
2万4,000円
700km以上900km未満
3万2,000円
900km以上1100km未満
4万円
1100km以上1300km未満
4万6,000円
1300km以上1500km未満
5万2,000円
1500km以上2000km未満
5万8,000円
2000km以上2500km未満
6万4,000円
2500km以上
7万円

e-Gov法令検索『人事院規則九―八九(単身赴任手当)第四条』を基に作成


例えば、配偶者の住居から赴任先の住居までの距離が400kmとなる場合の支給額は、[3万円+1万6,000円=4万6,000円]となります。


出典:厚生労働省『令和2年 就労条件総合調査の概況』/e-Gov法令検索『人事院規則九―八九(単身赴任手当)



単身赴任手当を支給する際の注意点

単身赴任手当を支給する際は、従業員と認識の違いによるトラブルが生じないように支給条件や仕組みについて共有しておくことが重要です。


➀就業規則に明記する

単身赴任手当を支給する際には、就業規則に明記しておく必要があります。


▼就業規則に明記する項目

  • 支給条件
  • 支給額と算定方法
  • 支給方法(定例払い・一時払い) など


就業規則に単身赴任手当の支給条件や支給額などを定める際は、従業員間で不公平感が生まれないように、客観的に見て適正かつ公平な規定にすることが重要です。


②単身赴任手当は課税対象となる

単身赴任手当は、定例払い・一時払いのいずれであっても給与として所得税の課税対象となります。税金や社会保険料の負担増加を防ぐには、ほかの方法で単身赴任手者へのサポートを行うことも一つの方法です。

なかでも生活費の大部分を占める住居費を抑える福利厚生として、“社宅制度”があります。企業が所有または借り上げた物件を社宅として貸与するメリットには、以下が挙げられます。


▼単身赴任者に社宅を貸与するメリット

  • 従業員自身で物件探しや契約手続きを行う必要がない
  • 赴任先での住居費を抑えられる
  • 所得税が給与として課税されない) など


そのほか、単身赴任者へのフォローはこちらの記事で解説しています。

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※従業員から一ヶ月当たり一定額の使用料を徴収している場合


出典:国税庁『単身赴任手当等』『No.2597 使用人に社宅や寮などを貸したとき



まとめ

この記事では、単身赴任手当について以下の内容を解説しました。


  • 単身赴任手当の概要
  • 一般的な支給条件
  • 単身赴任手当の相場
  • 単身赴任手当を支給する際の注意点


単身赴任手当には、生活費を補助する目的で給与に上乗せして支給する手当のほか、住宅手当や帰省手当、転勤準備金などさまざまな種類があります。

支給条件や金額などは企業によって異なるため、国家公務員の規則を参考にしつつ、自社の事情を踏まえて公平な制度を運用することが重要です。また、住居に関するサポートには、手当の現金支給だけでなく社宅を提供する方法もあります。

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