【社宅制度】社宅の種類や寮との違いを解説

【社宅制度】社宅の種類や寮との違いを解説

社宅制度は、従業員の家賃負担の軽減や企業の節税対策ができる福利厚生として注目を集めています。そのため、社宅制度を導入している企業や利用している従業員も少なくありません。

しかし、社宅制度の導入を検討しながら、「どういった種類があるか詳しく知らない」「寮との違いは何だろう」と疑問を持つ担当者の方もいるのではないでしょうか。

この記事では、社宅の種類と特徴をはじめ、寮・宿舎・給与住宅との違いについて解説します。


目次[非表示]

  1. 1.社宅の種類と特徴
    1. 1.1.借上社宅
    2. 1.2.社有社宅
  2. 2.社宅と寮・宿舎・給与住宅の違い
    1. 2.1.社宅
    2. 2.2.
    3. 2.3.宿舎
    4. 2.4.給与住宅
  3. 3.まとめ


社宅の種類と特徴

社宅は、不動産会社や個人家主から賃貸物件を借りて従業員へ貸し出す“借上社宅”と、企業が保有する建物を従業員へ貸し出す“社有社宅”の2つに分けられます。


借上社宅

借上社宅は、企業が不動産会社や個人などの貸し主から賃貸物件を借りて従業員に貸し出す住居のことです。

従業員は賃料の一部(社宅使用料)を負担するだけで物件を借りることができるため、賃料を抑えることができるほか、賃貸借契約の手続きが必要ありません。

また、企業側は、自社が負担する賃料分の所得税が減るため、節税につながるというメリットがあります。そのほか、福利厚生の一環として求人の際にアピールできる、社有社宅に比べて管理負担が少ない、給与としての支給額を抑えられるなども企業側のメリットです。

借上社宅には、戸別借上社宅・集合借上社宅・一棟借上社宅の3種類があります。それぞれの特徴は以下のとおりです。


▼借上社宅の種類と特徴​​​​​​​

種類
特徴
具体例
戸別借上社宅
住宅1戸単位で賃貸借契約を締結する
Aマンションの105号室を借りる
集合借上社宅
同じ棟の住宅内において、複数の賃貸借契約を締結する
Aマンションの4階部分8戸をまとめて借りる
一棟借上社宅
同じ棟の住宅内において、すべての賃貸借契約を締結する
Aマンションの全居室(1~4階計32戸)をまとめて借りる


借上社宅の詳細はこちらの記事で詳しく解説しています。ぜひご覧ください。

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社有社宅

社有社宅は、企業が所有・管理する物件を従業員に貸し出す住居のことです。自社所有のため、固定資産税を納める必要があり、維持費・修繕費なども自社で支払います。

社有社宅は、借上社宅と異なり、企業が個人や不動産会社などに支払う賃料が発生しません。また、退職によって従業員が急に社宅を出ていくことになった際も、違約金が発生しません。

さらに、企業が家主になるため、敷金礼金の管理を柔軟に行うことが可能です。しかし、社宅の管理業務は煩雑で手間がかかるため、外部へ委託するといった対応が必要となる場合もあります。

社有社宅の詳細はこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご覧ください。

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社宅と寮・宿舎・給与住宅の違い

社宅・・宿舎などは、社宅を指す際に同じような意味で使われる用語です。しかし、定義や実態は企業ごとに定めている社宅規定により異なります。


社宅

社宅は、最も汎用的に利用されている用語です。

借上社宅にも社有社宅にも使われていますが、一般的には世帯向けを指す傾向があり、公営企業では公務員住宅といった別の用語が使用される場合もあります。

一般的に社宅は世帯向けで使われるため、マンションやアパートが提供されるケースがほとんどです。

キッチンやトイレなどの共有スペースがないためプライベートを守ることができます。

マンション1棟を借りている場合もあるため、従業員同士のコミュニケーションを活性化できるといったメリットもあります。


寮は、古くから使われている用語です。条件によっては寄宿舎に該当する場合もあります。

主に食堂や水回りなどを共同利用します。現在では、借上・社有を問わず、共同施設がない場合でも独身寮や単身赴任寮を指します。

一般的に社宅は世帯向け、寮は単身者向けと分類されていますが、社宅と寮には法律上で明確な違いはありません。

“入社から〇年目までの単身者限定”といった制限を設ける企業もあるため、ライフスタイルの変化で退寮する方もみられます。

水回りや食堂を共同利用するため、プライベートの時間が取りにくいといったデメリットもありますが、従業員同士がコミュニケーションを図りやすいことがメリットです。


宿舎

宿舎は、寝泊まりする住居を指す用語です。

民間企業ではあまり使用されませんが、一定要件を満たす場合に該当する事業附属寄宿舎や合宿・研修など、比較的短期間の入居を想定する場合に使用されます。

また、公営企業では派生した官舎や公舎(公務員住宅)という用語を使用する場合もあります。


給与住宅

給与住宅は、総務省統計局で定義された用語です。

企業や官公庁が従業員や職員を対象に居住させている住宅を指すため、一般的な社宅制度で使用されるケースは多くありません。

ほかの用語では、入居者が賃料の一部を負担する場合を指しますが、給与住宅は総務省統計局の統計における便宜上、企業が賃料の全額を負担する場合も含んでいます。

総務省統計局で定められている給与住宅の定義は、以下のとおりです。


勤務先の会社・官公庁・団体などの所有又は管理する住宅に,職務の都合上又は給与の一部として居住している場合
※ 家賃の支払の有無を問わず,また,勤務先の会社又は雇主が借りている一般の住宅に住んでいる場合も含みます。

引用元:総務省統計局『住宅・居住地に関する用語


出典:総務省統計局『住宅・居住地に関する用語



まとめ

この記事では、社宅について以下の内容を解説しました。


  • 社宅の種類と特徴
  • 社宅と寮・宿舎・給与住宅の違い


社宅には“借上社宅”と“社有社宅”の2種類があり、企業が不動産会社や個人などの貸し主から賃貸物件を借りているか、自社で保有しているかという違いがあります。

それぞれに異なるメリットとデメリットがあるため、違いを把握しておくことが重要です。

社宅制度は従業員から人気のある福利厚生ではあるものの、煩雑な管理業務によってリソースが圧迫されることもあります。

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