
社宅とは? 種類や契約などの基本情報について解説
社宅は少子高齢化が進む日本において、求人募集の際に福利厚生の充実度をアピールできます。また、競合他社との差別化を図り、優秀な人材を確保する目的でも取り入れられています。
社宅制度を導入しようと検討している企業の担当者のなかには、社宅の種類や管理業務内容について詳しく知らないという方もいるのではないでしょうか。
この記事では、社宅の種類や原状回復負担、規程のつくり方など、社宅に関する基本的な情報をまとめて紹介します。
「社宅に関する理解を深めたい」「社宅の基本的な情報から学びたい」と考えている担当者の方は、ぜひ最後までご覧ください。
目次[非表示]
- 1.社宅とは
- 2.社宅を構成する要素
- 3.社宅の種類
- 4.社宅の規程・使用誓約書
- 5.社宅の契約手続き(法人契約)
- 6.社宅の原状回復
- 7.社宅の防犯・防災・プライバシー対策
- 8.社宅業務の管理委託
- 9.まとめ
社宅とは
社宅とは、企業が従業員のために用意した住宅全般のことです。福利厚生の一つとして数えられます。
一般的には、企業が従業員に住居を貸与し、賃料またはそれに相当する費用の全部、または一部を徴収(従業員が社宅使用料を負担)する制度を指します。
なお、従業員の経済的負担や転勤などによる事務負荷を軽減する、転居理由が会社都合か自己都合かで負担する費用を区分するなど、企業ごとに異なる社宅制度が定められています。
社宅制度を導入するメリットは以下のとおりです。
▼企業側のメリット
- ブランドイメージの向上
- 従業員満足度の向上
- 新卒だけでなく、地方人材や外国籍人材などの多岐にわたる採用戦略に活用
- 社会保険料の節減によるコスト削減
▼従業員側のメリット
- 個人で賃貸借契約を結ぶよりも安い賃料(社宅使用料の負担)で住宅に住める
- 家を探す・契約・家賃支払いなどの手間が不要
社宅を構成する要素
社宅が注目されるようになった背景には、人口減少、人材の流動化、高付加価値労働といった、社会環境の変化が影響していると考えられます。
労働人口の減少に伴い、企業には、従業員に対して経済的支援を行い、人材の囲い込みや採用力を強化することが求められます。求人募集時にアピールできる福利厚生の一つとして、社宅制度が導入されています。
なお、社宅の管理業務においては、アウトソーシングの需要が高まっています。
社宅管理業務は、不動産業界のシステム化遅れの影響を受けているため、効率化が困難な労働集約型の業務となっています。
また、専門的な知識が求められる間接業務であるにもかかわらず、社宅業務担当者のキャリア形成につながりにくい点もあるため、外部に管理業務を委託する企業が増えています。
社宅の種類
社宅は、主に“借上社宅”と“社有社宅”の2つに分けられます。
借上社宅は企業が不動産会社や個人などから借りた賃貸物件、社有社宅は企業が所有・管理している物件を従業員に貸し出す制度です。
社宅と似た用語に“寮”と“宿舎”がありますが、それぞれに明確な違いはなく、一般的に定義は企業ごとに定めています。寮は独身寮や単身寮を指す場合が多く、宿舎は比較的短期間の入居を想定している場合に利用されることが多いとされています。
社宅の種類と、寮・宿舎との違いは以下の記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。
社宅の規程・使用誓約書
従業員とのトラブルを未然に防ぎ安心して暮らしてもらうために、社宅を管理する際は“社宅規程”と“社宅使用誓約書”を作成する必要があります。
社宅規程は、従業員とのトラブル防止や手続きをスムーズに行うための重要な取決めであり、社宅制度の導入目的に沿った円滑な運用を実現するためにも欠かせません。
社宅使用誓約書には、従業員に遵守してほしい事項を盛り込みます。一般的には、社宅規程に従い利用する旨や、社宅を損傷した場合の対応について記載します。
社宅使用誓約書に盛り込む内容は以下の記事で詳しく解説しています。興味がある方は併せてご覧ください。
社宅の契約手続き(法人契約)
賃貸物件の法人契約には、連帯保証人が必要になるケースがあります。
連帯保証人の必要性については、会社の設立年数・資本金の規模・安定性が判断基準となります。
また、社宅に入居する従業員が短期解約して違約金が発生するケースがあるため、社宅規程に違約金の設定に関する定めを明文化しておくことも大切です。
なお、法人契約している社宅を“個人契約”に切り替えることも可能です。その場合は、貸主と企業が法人契約を解消して、従業員が個人で再契約または新規契約を結ぶ必要があります。
法人契約で借りている社宅を“個人契約”に切り替える名義変更については、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひご一読ください。
社宅の原状回復
社宅の原状回復費用は、故意・過失・不注意などで傷や汚れが生じた場合、企業ではなく従業員が負担するのが一般的です。
しかし、経年劣化による常識の範囲内の傷や汚れに関しては、原状回復費用の負担が発生しないケースが多いと考えられます。
原状回復費用の負担割合でトラブルが発生しないようにするため、社宅規程に企業が負担する項目や割合を、事前に明文化しておくことが重要です。
社宅の原状回復費用の負担割合やトラブルを防止する方法は、以下の記事で詳しく解説していますので、合わせてご覧ください。
社宅の防犯・防災・プライバシー対策
従業員が安心して暮らせる社宅を用意するためには、防犯・防災・プライバシーについても留意して、対策を講じておく必要があります。
社宅には、築年数が古かったり、ほかの従業員が近所に住んでいなかったりすることもあるため、防犯面に不安が残るケースがあります。社宅において備えておきたい主な防犯設備例は以下のとおりです。
▼社宅の防犯対策例
- 監視カメラ
- ピッキングされにくい鍵
- オートロック
- モニター付きインターホン
また、社宅で万が一の災害が発生した場合に備えて、緊急避難場所や危険箇所を全員が把握していると安心感があります。社宅の主な防災対策例には以下のものが挙げられます。
▼社宅の防災対策例
- 非常用防災バッグの配布
- ハザードマップの確認
- 緊急避難場所の周知
- 家具の転落防止措置
なお、社宅で従業員が安心して生活できるためには、プライバシー対策も重要です。社宅規程にプライバシーに関するルールを明文化するのも、対策の一つです。
企業が講じる社宅の防災対策については、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ、ご覧ください。
社宅業務の管理委託
社宅管理は、契約条件審査・入居申込対応・契約書作成・使用料計算など、労力がかかる業務が多いため、近年では管理を委託する企業が増えています。
社宅管理を委託することで管理業務の負担軽減につながり、担当者はコア業務に集中できるようになります。
また、契約に関するリスクヘッジや、希望に沿った物件の選定、有事対応なども行ってくれるため、社宅に暮らす従業員の満足度を向上させる効果も期待できます。
社宅の管理を委託するメリットと注意点は、こちらで詳しく解説しています。
まとめ
この記事では、社宅について、以下の項目を解説しました。
- 社宅の基本概要
- 社宅の種類
- 規程・誓約書
- 契約手続き(法人契約)
- 原状回復
- 防犯・防災・プライバシー対策
- 社宅業務の管理委託
企業側・従業員側のどちらにもメリットがある社宅は、種類や規程、業務の委託などに対する理解度を深めて管理することが大切です。
福利厚生の一環として魅力的な社宅にするためにも、従業員が暮らしやすくトラブルが発生しにくい社宅にする必要があります。
社宅の管理・運営には多くのリソースと専門的な知見を要するため、管理業務の委託・リプレイスを視野に入れて検討してみてはいかがでしょうか。
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