社宅にする賃貸物件の選び方。5つのチェックポイントとは
入社や転勤などによって借上社宅への入居手続きが必要になった際、社宅担当者または従業員が社宅規程に沿った賃貸物件を選定して賃貸借契約を結ぶことになります。
賃貸物件を選定する際は、社宅の入居条件を満たせるかどうかを確認するとともに、住み始めてからの生活や通勤のしやすさなども考慮することが重要です。
人事総務部門のご担当者さまのなかには、「社宅にする賃貸物件を選ぶ際に何をチェックしておくとよいか」「失敗しないために気をつけておくことはあるか」などと気になる方もいるのではないでしょうか。
この記事では、社宅の賃貸物件を選ぶ際のチェックポイントと、失敗しないための選び方のコツについて解説します。
なお、借上社宅の賃貸借契約に関する手続きについてはこちらの記事で解説しています。
目次[非表示]
- 1.社宅の賃貸物件を選ぶ際のチェックポイント
- 1.1.①生活しやすい間取り
- 1.2.②設備の充実性と使い勝手
- 1.3.③通勤や買い物のしやすさ
- 1.4.④近隣の騒音やプライバシー
- 1.5.⑤水害の被害状況
- 2.社宅の物件選びに失敗しないためのコツ
- 2.1.優先順位を決める
- 2.2.内見を実施して細かな情報を確認する
- 3.まとめ
社宅の賃貸物件を選ぶ際のチェックポイント
社宅担当者が賃貸物件を選ぶ際は、社宅規程で定めた入居条件に加えて、従業員の要望も踏まえて比較検討する必要があります。
従業員自身に選定してもらう場合には、物件のチェックポイントを周知・共有して契約前に内見するなど、住み始めてから失敗や後悔がないようにすることが重要です。
①生活しやすい間取り
社宅に入居する人数やライフスタイルなどを踏まえて、生活しやすい間取りかどうかを確認します。同じ立地条件の場合、部屋数が増えるほど家賃が高くなりやすいため、社宅規程で定めた家賃の上限を超えないようにする必要があります。
▼単身者向けと世帯向けの社宅の一般的な間取り
対象 |
間取り |
単身者向け |
1R~1LDK |
世帯向け |
2DK~3LDK |
また、従業員の暮らし方・働き方に合わせて生活しやすい間取りを選ぶことも重要です。
▼チェックポイント
- テレワークをする場合、生活空間の切り分けができるか
- 畳とフローリングのどちらが過ごしやすいか
- 1Rの場合、キッチンのにおいが気にならないか
- バス・トイレ別もしくはユニットバスのどちらが使いやすいか など
なお、社宅の平均的な間取りや条件については、こちらの記事で解説しています。併せてご確認ください。
②設備の充実性と使い勝手
部屋の内部に備わった住宅設備は、生活のなかで日常的に使用することになるため、使い勝手のよさを考慮する必要があります。
また、共用部の設備は、防犯性や生活の利便性を確保するために検討しておきたいポイントといえます。
▼チェックポイント
設備 |
内容 |
住宅設備 |
|
共用部の設備 |
|
③通勤や買い物のしやすさ
社宅にする賃貸物件を選ぶ際は、通勤や買い物のしやすさを考慮する必要があります。
会社の最寄り駅まで一本でアクセスできたり、帰宅ルート上で買い物ができたりすると利便性が高まります。また、物件周辺の道路に危険な場所はないか、急な坂道がないかなど、舗装や交通状況も併せて確認しておきます。
▼チェックポイント
- 物件から最寄り駅まで徒歩で通えるか
- 会社の最寄り駅となる路線に乗り入れているか(乗り換えが少ないか)
- 会社までの通勤時間を許容できるか
- 出勤・退勤時刻に電車があるか
- 物件の近くや帰宅ルート上に、スーパー・薬局・コンビニなどの買い物施設があるか
- 物件から徒歩または自転車での移動圏内に病院や銀行があるか など
④近隣の騒音やプライバシー
賃貸物件の周辺環境や階数などを踏まえて、近隣の騒音、プライバシーが気にならないかどうかを確認します。
騒音やプライバシーの問題は、物件資料だけでは判断が難しく、住み始めてから気がつくケースも少なくありません。生活のストレスや近隣住民とのトラブルに発展するリスクもあるため、できる限り現地で確認しておくほうがよいと考えられます。
▼チェックポイント
- 幹線道路や高速道路が近くにあり、交通騒音が気にならないか
- 物件周りの道路に人どおり多く、視線が気にならないか
- 窓の向かいにある建物からの視線が気にならないか
- 周辺に騒音やにおいを発する施設がないか など
賃貸物件でよくあるトラブルについては、こちらの記事で解説しています。
⑤水害の被害状況
安心して暮らせる賃貸物件を選定するには、物件があるエリアにおいて水害の被害状況を確認しておくことも重要です。
日本では、地震による津波や土砂災害などによって住宅への深刻な浸水被害が見られています。
社宅にする物件を選ぶ際は、近くに河川や海、急傾斜地がないかを確認するとともに、ハザードマップで警戒が必要な区域を確認しておく必要があります。また、従業員自身で物件を探してもらう場合は、ハザードマップの確認方法を共有して調べておくように伝えることがポイントです。
▼ハザードマップで確認できる区域の例
区域 |
概要 |
土砂災害警戒区域 |
急傾斜地の崩壊が発生した場合に、住民の生命または身体に危害が生じるおそれがあると認められる区域 |
造成宅地防災区域 |
宅地造成に伴う災害で危害が生じるおそれが大きい区域 |
津波災害警戒区域 |
津波浸水想定を踏まえて、警戒避難体制を特に整備すべきとされる区域 |
なお、宅地建物取引業法では、賃貸借契約を含む不動産の取引時に水害ハザードマップにおける対象物件の所在地を事前に説明することが義務づけられています。賃貸借契約を締結する際は、重要事項説明書と併せて確認しておくと安心です。
出典:国土交通省『不動産取引時において、水害ハザードマップにおける対象物件の所在地の説明を義務化~宅地建物取引業法施行規則の一部を改正する命令の公布等について~』
社宅の物件選びに失敗しないためのコツ
社宅の物件選びに失敗しないためには、事前準備が欠かせません。社宅規程に沿った住みやすい物件を選ぶコツは、以下のとおりです。
優先順位を決める
社宅の入居条件に合う賃貸物件を選定するには、従業員がどのような要素を重視するのか優先順位を決めておきます。
駅までのアクセスや住宅設備、周辺環境など、すべての項目で納得のいく賃貸物件を入居条件の範囲内で見つけることは難しいと考えられます。
利便性の高さや快適性は家賃にも影響するほか、従業員によって求める条件は異なるため、特に重視したい要素から順に物件を絞っていくことがコツです。社宅担当者が物件選定を行う場合は、従業員の要望と優先順位をヒアリングしたうえで、できる限り条件に合う物件を選ぶことが望まれます。しかし、あくまで福利厚生制度の一つであることを念頭に置き、公平性に考慮して判断することが重要です。
ただし、条件のよい物件は人気があり、ほかにも探している人がいれば先に契約されてしまう可能性もあるため、ときには妥協が必要となるケースもあります。
なお、賃貸物件における家賃の決まり方については、こちらの記事で解説しています。併せてご確認ください。
内見を実施して細かな情報を確認する
社宅の賃貸借契約を締結する前には、内見を実施して細かな情報を確認しておくことが重要です。
物件資料や写真だけでは、部屋の内部、周辺環境などの細かな情報を確認することはできません。内見を実施することによって、住み始めてから新たな問題が発覚するトラブルを防げます。
▼内見で確認しておく項目例
- コンセントの数・位置
- 日当たり
- 設備の劣化や不具合の状況
- 共用部の清掃状況
- 排水溝のにおい など
転勤に伴う引越しで現地での内見を実施できない場合には、オンライン内見を活用することも一つの方法です。
オンライン内見については、こちらの記事をご確認ください。
まとめ
この記事では、社宅にする賃貸物件の選び方について以下の内容を解説しました。
- 社宅の賃貸物件を選ぶ際のチェックポイント
- 社宅の物件選びに失敗しないためのコツ
従業員が快適に暮らせる社宅を選ぶには、入居条件だけでなく生活や通勤のしやすさ、防犯面、安全面などを考慮する必要があります。
ただし、すべての条件で納得のいく賃貸物件を探すことは難しいため、従業員の要望を踏まえて優先順位を決めること、内見を実施して現地で詳細な情報を確認することが重要です。
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