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社宅と社員寮の違いとは? 自社に合った社宅制度の選び方

※2024年6月3日更新

社宅制度は、企業が所有または借り上げた物件を一般よりも安い賃貸料を社宅使用料として徴収して、従業員へ提供する福利厚生の一種です。毎月の生活費を抑えられることから従業員に喜ばれやすく、満足度の向上や採用時のアピールにもつながると期待できます。

社宅制度で貸し出す物件の種別には“社宅”と“社員寮”があり、それぞれ主な対象者やメリット・デメリットが異なります。

人事総務部門のご担当者さまのなかには「社宅と社員寮は何が違うのか」「自社に合った社宅制度はどちらか」と気になる方もいるのではないでしょうか。

この記事では、社宅と社員寮の違いやそれぞれのメリット・デメリット、自社に合った社宅制度の選び方について解説します。


目次[非表示]

  1. 1.社宅と社員寮の違いとは
    1. 1.1.社宅の特徴
    2. 1.2.社員寮の特徴
  2. 2.社宅のメリット
    1. 2.1.プライバシーが保たれやすい
    2. 2.2.賃貸物件に通常よりも安く住める
    3. 2.3.社宅規程の範囲内で従業員が物件を選べる
  3. 3.社宅のデメリット
    1. 3.1.家具・家電を従業員が用意する必要がある
    2. 3.2.賃貸物件の契約管理が煩雑になりやすい
  4. 4.社員寮のメリット
    1. 4.1.入居者同士の交流が生まれやすい
    2. 4.2.家具・家電が備わっている
    3. 4.3.健康管理がしやすい
    4. 4.4.通勤時間が短くなる
  5. 5.社員寮のデメリット
    1. 5.1.建物や設備の維持管理が必要になる
    2. 5.2.プライベートが守られにくい
  6. 6.自社に合った社宅制度の選び方
    1. 6.1.社宅が向いている企業
    2. 6.2.社員寮が向いている企業
  7. 7.まとめ


社宅と社員寮の違いとは

社宅と社員寮の扱いは会社によって異なりますが、入居の対象者や共有スペースの有無などで区別されていることが一般的です。ただし、明確に違いが定義されているわけではありません。


▼社宅・社員寮の一般的な区別

種別

主な入居対象者

共用スペース

主な貸与方法

社宅

世帯主(従業員とその家族)・単身者

なし

  • 戸別借上社宅
  • 集合借上社宅
  • 一棟借上社宅
  • 社有社宅

社員寮

単身者

あり

  • 一棟借上社宅
  • 社有社宅


社宅の特徴

社宅は、大きく分けて“社有社宅”と“借上社宅”に分類されます。社有社宅は、会社が所有する物件を従業員に貸し出す制度です。

一方の借上社宅は、市場にある賃貸物件を会社が借り上げて従業員に貸し出す制度です。借り上げる戸数によって戸別社宅・集合借上社宅・一棟借上社宅に分けられますが、間取りや設備については賃貸物件と同様となります。

また、最近では、単に“社宅”という単語を使用した場合に、借上社宅を指す社宅担当者様も多くなりました。

以降、本記事では、社宅のうち借上社宅についての特徴をご紹介します。


社員寮の特徴

社員寮は、主に単身者向けの住居を指しており、共同生活を送るための間取り・設備を備えた物件となっていることが特徴です。なかには男性専用・女性専用などの対象者を限定している寮もあります。


▼共同生活のための設備例

  • 食堂や洗濯室、遊技場などの共用スペースが設けられている
  • ワンルームでお風呂やトイレが共用になっている など


社宅と同様に社有社宅もしくは借上社宅の形式で貸与されますが、社宅と区別する場合には一室でなく一棟単位での貸与を指すことがあります。

なお、社宅の種類についてはこちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。

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社宅のメリット

一室単位で従業員へ貸し出す借上社宅では、プライバシーを守りやすいほか、現代の生活スタイルやニーズに合った住居を提供できるメリットがあります。


プライバシーが保たれやすい

一室単位で借り上げる社宅では、生活に必要な設備・スペースをほかの入居者と共有する必要がないため、プライバシーを確保しやすくなります。

また、職場の関係者と同じ建物内で暮らす社員寮と異なり、休みの日に顔を合わせる機会がなくなります。仕事とプライベートで気持ちの切り替えがしやすくなることは、従業員にとってメリットといえます。


賃貸物件に通常よりも安く住める

借上社宅では、社宅の家賃は企業が一部を負担するため、周辺エリアにある同じ規模の物件を個人で借りるよりも住居費用の負担を抑えることが可能です。

企業によっては賃貸借契約の際に発生する敷金・礼金や仲介手数料などの初期費用を負担することもあります。


社宅規程の範囲内で従業員が物件を選べる

従業員が社宅規程の範囲内で自由に物件を選べることもメリットの一つです。

社員寮の場合では、一棟単位で物件を貸し出すケースが多いことから、従業員が住みたいエリアや物件の間取りなどを選べないことが一般的です。

一室単位の借上社宅であれば、社宅規程範囲内でなるべく従業員のニーズに合った物件を選べるため、自由度が高く満足度の向上につながると考えられます。

なお、従業員が自由に物件を選べる借上社宅の制度については、こちらの記事で詳しく解説しています。

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社宅のデメリット

社宅には、社員寮と比較して次のようなデメリットもあります。


家具・家電を従業員が用意する必要がある

借上社宅の形式で社宅を貸与する場合には、生活に必要な家具・家電を従業員自身で用意してもらう必要があります。

入社・転勤に伴う転居で社宅を利用する際には、従業員の費用負担を抑えるための手当を支給したり、企業が購入またはレンタルした家具・家電を貸し出したりするサポートも検討することが必要です。

なお、単身赴任に必要な家具・家電についてはこちらの記事をご確認ください。

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賃貸物件の契約管理が煩雑になりやすい

一室ごとに賃貸物件を借り上げて貸与する場合には、契約内容が社宅ごとに異なることから、人事総務担当者による契約管理が煩雑化します。

家賃だけでなく、更新料・敷金・礼金・特約事項などのさまざまな項目において物件ごとに管理する必要があります。また、ペットの可否やゴミ出しのルールなども異なるため、社宅を利用する従業員間で不公平が生じることも考えられます。

借上社宅を一室単位で運用する場合には、契約内容の管理や物件の選定条件、物件ごとの入居ルールなどを明確に定めておくことが必要です。

なお、社宅の入居条件を設計するポイントはこちらの記事をご確認ください。

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社員寮のメリット

一棟単位で運用することが多い社員寮や社有社宅には、入居者同士の交流が生まれて、生活環境の整備や健康管理がしやすくなるなどのメリットがあります。


入居者同士の交流が生まれやすい

社員寮では、同じ建物内に職場の従業員が暮らすことから、入居者同士の交流が生まれやすくなります。

共用スペースを設けて入居者同士が顔を合わせる機会を増やすと、部署や役職などが異なる従業員とのコミュニケーションがとれるため、良好な人間関係の構築につながります。


家具・家電が備わっている

企業が所有している社員寮には、生活に必要な家具・家電をあらかじめ備えつけることが可能です。一棟単位で物件を借り上げる場合でも、企業が家具・家電を一括で購入またはレンタルしやすいことから資産管理がしやすくなります。

従業員自身で家具・家電を購入する必要がなくなると、入居までの期間が短い場合でもスムーズに生活環境を整えられます。


健康管理がしやすい

一棟単位で運用する社員寮では、企業独自のサービスを入居者全体に提供できるため、従業員の健康管理がしやすくなるメリットがあります。


▼社員寮で提供されるサービス例

  • 食堂や食事提供サービスを導入して栄養に配慮した食生活をサポートする
  • トレーニングジムを設置して気軽に運動しやすい環境をつくる
  • 健康測定機器を設置して従業員による体調管理やセルフケアを促す など


通勤時間が短くなる

社員寮は基本的に職場に近いエリアに導入するため、従業員の通勤時間を短縮することが可能です。

特に勤務時間が不規則な業務や夜勤がある業務では、公共交通機関の時間を気にせずに済むほか、プライベートの時間を確保しやすくなります。



社員寮のデメリット

社員寮では、建物・設備の維持管理にかかる負担やプライベートの面でデメリットを感じることがあります。


建物や設備の維持管理が必要になる

企業が所有する社員寮は、自社で建物・設備の維持管理を行う必要があり、運用コストの負担が発生します。

また、建築してから期間が経過すると建物・設備の老朽化が進み、安全性への懸念や住みにくさなどを理由に「社員寮に住みたくない」と思う従業員もいます。

社員寮の資産価値を維持するには、建物・設備について定期的なメンテナンスや修繕を行うとともに、リフォーム・リノベーションによって住居の快適性、利便性を高めることも一つの方法です。

社宅のリフォーム・リノベーションについてはこちらの記事をご確認ください。

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プライベートが守られにくい

社員寮では職場の従業員が同じ建物で暮らし、リビング・浴室・トイレなどが共用の場合もあるため、従業員のプライベートが守られにくくなります。

仕事とプライベートをしっかり切り分けたい従業員にとっては、ストレスに感じやすいほか、入居者同士でトラブルが発生すると職場での人間関係にも影響を及ぼす可能性があります。

従業員のプライバシーを守り、誰でも住みやすい環境を整備するには、入居中のマナーや関係者以外の立ち入りなどについて社宅規程で定めておくことが重要です。



自社に合った社宅制度の選び方


上記のメリット・デメリットを踏まえつつ、従業員のニーズや事業拠点などに合わせて自社に合った社宅制度を選ぶことが必要です。


社宅が向いている企業

社宅が向いている企業には、以下が挙げられます。


▼社宅が向いている企業

  • 世帯を持っている従業員が多い
  • 事業拠点が多い
  • 転勤が多い
  • 企業イメージを向上したい など


従業員の家族構成に応じて社宅を提供したい場合や、事業拠点が広く一棟単位での借り上げが難しい場合には、一棟単位で柔軟に物件を選べる社宅が適しています。

また、従業員のニーズに合わせて一定の条件内で物件を選べる社宅は、従業員や求職者からも魅力的に映ると考えられます。転勤が多い企業や幅広いエリアで人材採用を行いたい企業にも有効といえます。

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社員寮が向いている企業

社員寮が向いている企業には、以下が挙げられます。


▼社員寮が向いている企業

  • 単身世帯の従業員が多い
  • 地方の人材採用を推進したい
  • 従業員の健康管理を促進したい
  • 山間部や工場地帯など住宅数が少ない地域に拠点がある など


従業員に単身世帯が多い場合や、地方からの人材採用を積極的に行いたい場合には、一棟単位で単身者向けの住居を確保する社員寮が適しています。

職場の関係者が同じ建物に入居して、生活環境の整備や健康管理のサポートを行えるため、地方出身者も安心して入社しやすいと考えられます。

また、賃貸物件の流通が少ない地域に事業拠点がある場合には、社有の社員寮を用意することが有効です。



まとめ


この記事では、社宅と社員寮について以下の内容を解説しました。


  • 社宅と社員寮の違い
  • 社宅のメリット・デメリット
  • 社員寮のメリット・デメリット
  • 自社に合った社宅制度の選び方


社宅と社員寮には明確な区別はありませんが、入居者の対象や共有スペースの有無などで区別されていることが一般的です。

一室単位で住居を貸し出すケースが多い社宅と、一棟単位で運用する社員寮では、それぞれメリット・デメリットが異なります。利用する従業員のニーズや事業拠点の範囲、転勤の頻度などを踏まえて社宅制度を選ぶことがポイントです。

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