
社宅代行サービスの特徴。BPOサービスとの違いや利用の流れとは
社宅の運用には、賃貸借契約や入居・退去管理、家賃の徴収などさまざまな業務が発生します。「社宅の数が多く対応が追いつかない」「社宅担当者の業務負担が増えている」などの課題を抱えているケースも少なくありません。
このような場合には、社宅代行サービスを活用することも一つの方法です。社宅代行サービスは、社宅管理に関するさまざまな業務を委託できるため、社宅担当者の業務負担を削減できるメリットがあります。
また、快適で安心して暮らしやすい社宅環境を整えるためのきめ細かなフォローも可能となり、入居している従業員の満足度の向上につながることも期待できます。
社宅代行サービスを検討している人事・総務部門の方のなかには、「一般的なBPOサービスと何が違うのだろう」「どのような流れで利用するのだろう」と情報収集を行っている方もいるのではないでしょうか。
この記事では、社宅代行サービスの特徴やBPOサービスとの違い、社宅代行サービスが求められる理由、利用の流れについて解説します。
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社宅代行サービスの特徴
社宅代行サービスとは、社宅の運用に必要な業務を外部に委託できるサービスです。委託できる社宅代行サービスの内容(社宅代行事業者)によって異なりますが、借上社宅と社有社宅では以下のような業務を代行してもらえます。
▼委託できる業務範囲
社宅の種類 |
借上社宅 |
社有社宅 |
委託できる業務 |
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また、社宅代行サービスには主に2つの委託方式があります。
①転貸方式
転貸方式は、社宅代行事業者が一括で借り上げている賃貸物件を企業に貸し出す方式です。企業が社宅代行事業者と包括転貸借契約を交わすことで、社宅管理に関する業務をフルアウトソーシングできます。
物件の賃貸借契約は、企業ではなく社宅代行事業者が交わすため、契約当事者(借主)しか対応できない業務でも委託できることが特徴です。社宅代行事業者によっては、敷金の立替や原状回復精算の定額化などのオプションサービスを展開しているところもあります。
②代行方式
代行方式は、企業が所有または借り上げている物件の管理を社宅代行事業者が代わりに行う方式です。
賃貸借契約書上の名義は企業のままで、契約や更新、解約などの業務を社宅代行事業者に委託して代わりに行ってもらえることが特徴です。代行方式では、一部の社宅業務のみを委託できるサービスもあるため、予算やニーズに合わせて活用できます。
そして、こちらの記事では、社宅管理における代行方式と転貸方式の特徴・違いについて解説しています。併せてご覧ください。
一般的なBPOサービスとの違い
企業の業務を委託するサービスに、“BPO(Business Process Outsourcing:ビジネス・プロセス・アウトソーシング)サービス”があります。
BPOサービスとは、総務・経理・人事など幅広い業務に対応しているサービスの総称です。社宅代行サービスは、社宅管理に関わる業務に特化したBPOサービスの一種にあたります。
一般的なBPOサービスでは、自社業務のうち、ノンコア業務をプロセスごと委託できます。バックオフィス業務を委託できるだけでなく、業務フローの見直しや業務改善などを行い、業務効率化、組織力強化を図ることも可能です。
一方、社宅代行サービスは、社宅管理業務に特化したBPOサービスです。社宅代行事業者のなかには、社宅代行サービスを本業としている事業者のほか、不動産開発・売買・賃貸業などを本業としており、社宅代行事業を兼業としている事業者もあります。
社宅代行サービスが求められる理由
社宅代行サービスが企業に求められる理由には、社内における人手不足への対応やリスクの回避が挙げられます。
人手不足への対応
社宅代行サービスが求められる理由の一つは、社内の人手不足です。
社宅管理を自社で行う場合、物件探しや引越し手配、賃貸借契約を含む社内外の入居・退去の手続きなどのさまざまな業務が発生します。
しかし、少子高齢化によって労働力人口が減少している今、人手不足で社宅担当者に十分なリソース(経営資源)を充てられないという企業も少なくありません。
限られた担当者で業務に対応するとなると、コア業務に配分できるリソースが圧迫されたり、業務負担が増加したりといった問題につながる可能性があります。
社宅代行サービスを活用して社宅管理業務を委託することで、コア業務にリソースを充てられるようになり、社宅担当者の負担を軽減できます。
出典:総務省『令和3年版 情報通信白書』
リスクの回避
社宅管理におけるさまざまなリスクを回避するためにも、社宅代行サービスが求められています。
自社で社宅管理を行う場合には、以下のようなリスクがあります。
▼自社で社宅管理を行うリスク
- 不動産会社やオーナーの破たんなどによる訴訟トラブル
- 敷金の未回収や退去時の原状回復費用をめぐるトラブル
- 法改正対応による業務負荷増大や未対応によるトラブル
社宅代行サービスを活用すれば、代行事業者が不動産会社やオーナーとの賃貸借契約を交わすため、これらのリスクを回避・削減できます。
特に法改正への対応は業務負荷が増加しやすいため、サービス導入後もきちんと法改正に対応した運用の見直しを行っているか、過去の実績などを参考に確認することが重要です。
社宅代行サービスのメリットや注意点は、こちらの記事で解説しています。
また、社宅管理業務の課題と業務改善のコツについて、こちらから無料で資料をダウンロードいただけます。
社宅代行サービスを利用する流れ
社宅代行サービスを利用する一般的な流れは、以下のとおりです。
▼利用の流れ
- 導入目的を明確にする
- 委託する業務を洗い出す
- 社宅代行サービスを選定する
- 社宅代行サービス事業者に問い合わせる
- 複数の事業者と比較検討する
社宅代行サービスを利用する際は、目的を明確にする必要があります。例えば、業務負担や人件費の削減、管理品質の向上、法令遵守(インボイス制度・マイナンバーなど)、法改正対応、属人化の解消などが挙げられます。
目的を明確にしたあとは、現状の社宅管理の課題を踏まえて、委託する業務の範囲や予算を決めておくことも重要です。
また、社宅代行サービスを選定する際は、以下の項目を確認して自社に合った事業者を選定する必要があります。
▼社宅代行サービスを選定する際の確認項目
- 委託方式(転貸・代行)
- 委託できる業務内容
- 実績の豊富さ
- 管理戸数
- 導入時のサポート
なお、社宅代行サービスを導入する際の詳しい流れは、こちらをご確認ください。
まとめ
この記事では、社宅代行サービスについて以下の内容を解説しました。
- 社宅代行サービスの特徴
- BPOサービスとの違い
- 社宅代行サービスが求められる理由
- 社宅代行サービスを利用する流れ
社宅代行サービスを利用することで、借上社宅や社有社宅に管理に関わるさまざまな業務を一括または一部委託できるようになります。
委託方式には転貸方式と代行方式の2つがあり、それぞれ運用体制や委託できる業務範囲が異なるため、委託する目的・業務範囲を洗い出しておくことが重要です。
『リロケーション・ジャパン』では、借上社宅の転貸方式によるフルアウトソーシングのほか、代行方式による業務代行、社有社宅の運営管理などを行っています。
「人手不足で社宅管理の業務負担が大きくなっている」「トラブル対応をはじめとするリスクを回避したい」という方は、ぜひお気軽にご相談ください。