
社宅制度の管理業務やアウトソーシングについて詳しく解説
従業員の経済的負担の軽減やコスト削減が狙えることから、福利厚生の一環として社宅制度を導入する企業もあります。さまざまな魅力がある社宅制度ですが、注意しなければならないのが社宅管理業務です。
社宅管理業務は、契約や更新だけではなく、起こり得るさまざまな有事に対応する必要があるため、企業内のリソースですべてを遂行するのは困難です。
しかし、社宅管理業務にはアウトソーシングするという選択肢があり、これによって担当者の負担を軽減できるとして注目されています。「社宅管理業務の内容やアウトソーシングについて学びたい」と考える担当者の方もいるのではないでしょうか。
この記事では、社宅管理業務やアウトソーシングの需要について紹介します。社宅制度の導入を検討している担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
目次[非表示]
- 1.社宅管理業務の概要
- 2.社宅規程に記載する項目
- 2.1.①入居資格
- 2.2.②賃貸料相当額と家賃
- 2.3.③費用負担区分
- 3.アウトソーシングサービスの活用
- 4.まとめ
社宅管理業務の概要
借上社宅の場合、契約や更新、入居中の有事対応など、社宅管理業務の内訳はさまざまです。
社宅制度を導入する際は、入居希望者の物件探しから始まり、最終的には入居者が退去するまでのすべてを自社で管理する必要があります。
また、社宅管理業務は専門知識が必要な場合があり、自社ですべての業務を行う場合、リソース確保や管理コストの負担が大きくなる可能性があります。
さらに、社宅管理業務は人手と時間が必要であるため、管理業務に追われ、コア業務に支障をきたすケースも少なくありません。
▼主な社宅管理業務
- 物件探し・引越し手配
- 契約条件審査
- 入退去申請承認
- 入居者の問い合わせ対応
- 家主・管理会社対応
- 更新スケジュール管理
- 原状回復見積り確認・査定交渉
- 支払調書作成(マイナンバー含む)
- 取引先(貸主・仲介会社など)が適格事業者であるかの確認(インボイス制度) など
社宅管理業務の詳細については、以下の記事で詳しく解説しています。こちらも併せてご覧ください。
社宅規程に記載する項目
社宅管理業務のなかでも、社宅規程に記載する項目を決定する業務は重要なプロセスです。
①入居資格
社宅制度を導入する際は、従業員間の不公平感を招かないように入居資格を明確に示すことが重要です。
たとえば、一部の従業員だけが優遇され、条件のよい社宅を利用しているとなれば、平等とはいえません。従業員の不満につながる可能性があります。
社宅規程に記載する入居資格の例は次のとおりです。
▼入居資格の例
- 転居を伴う転勤
- 勤務先の近辺に自家を持たない
- 独身に限る など
②賃貸料相当額と家賃
賃貸料相当額は、入居者から徴収する家賃に影響します。従業員から物件の賃貸料相当額の50%以上にあたる家賃を徴収している場合は、賃貸料相当額と家賃の差額が給与として課税されません。
ここでいう賃貸料相当額とは、以下(1)から(3)の合計額から導き出せます。
(1)(その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×0.2% (2)12円×(その建物の総床面積(㎡)/3.3㎡) (3)(その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×0.22% |
出典:国税庁『No.2597 使用人に社宅や寮などを貸したとき』を基に作成
③費用負担区分
社宅制度を導入する際は、費用負担区分を明確に決めておくことが重要です。
たとえば、光熱費や駐車場代などの家賃以外にかかる費用は、会社が負担するのか、または入居者が負担するのかを決めておきます。
すべてが会社負担では、会社コストの大幅な増加や福利厚生制度として公平性を欠くおそれもあります。そのため、一定の基準を設けることが大切です。
また、定めた基準を超えた場合や、入居者による損害があった場合などは、追加で徴収するケースを想定しておくのもよいと考えられます。
社宅における光熱費の負担区分については、こちらの記事で解説しています。併せてご一読ください。
アウトソーシングサービスの活用
社宅管理業務は煩雑になりやすく、担当者の大きな負担となることがあります。
担当者の負担を軽減する方法の一つに、社宅管理業務を代行するアウトソーシングサービスの利用が挙げられます。
社宅管理業務は、不動産業界のシステム化遅れの影響を受けて、効率化が非常に困難な労働集約型業務です。しかし、社宅管理業務をアウトソーシングすることにより、担当者は自社のコア業務に専念しやすくなり、本来持っているリソースを最大限生かせるようになります。
また、アウトソーシングは、契約時の確認ミスや、担当者の退職による引継ぎ不足などのリスク軽減にも有用です。
▼アウトソーシングできる主な業務内容
- 物件探し(社宅規程に沿った物件の選定や物件申し込みなど)
- 契約業務(入居手続きや退去手続きなど)
- 更新業務(更新スケジュールの管理や更新時の家主・管理会社の審査など)
- 解約業務(鍵の返却や原状回復の見積交渉など)
- 支払業務(家賃の立替払いや税務署に提出する支払調書の作成など)
なお、「すでにアウトソーシングを導入しているけれど、思うように効果が出ていない」という場合は、社宅管理代行会社の切り替え(リプレイス)を検討するのも一つの方法です。
社宅管理代行会社をリプレイするメリットと注意点は以下の記事で詳しく解説しています。併せてご覧ください。
まとめ
この記事では、社宅管理業務について、以下の項目を解説しました。
- 社宅管理業務の概要
- 社宅規程に記載する項目
- アウトソーシングサービスの活用/アウトソーシングの重要性
社宅制度を導入して管理業務を自社で行う場合、業務が煩雑になり、担当者の負担を増やしてしまうことがあります。
また、社宅規程を作成する際は、トラブルや税金関係についても把握したうえで、入念に検討することが重要です。
なお、煩雑化しやすい社宅管理業務にかかる担当者の負担を減らして、コア業務に専念しやすくするには、アウトソーシングサービスを活用するのも手段の一つです。
『リロケーション・ジャパン』の社宅管理サービスは、社宅管理業務の一切を代行するため、包括転貸借契約書を締結するだけで業務をフルアウトソーシングすることが可能です。
また、転貸方式の採用により、契約書類管理や支払調書作成などの残存業務を解消します。
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社宅を構成する要件や社宅制度の成り立ちについては、こちらで詳しく解説しています。ぜひご一読ください。