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法人のための賃貸契約ガイド。法人契約を締結する流れや社宅提供時の注意点を解説

※2025年10月23日更新

社宅の運用では、法人契約で賃貸物件を借り上げて従業員に貸与する方法があります。従業員が入社・転勤するタイミングで社宅を提供するには、契約手続きをスムーズに進められるように準備しておく必要があります。

人事総務部門のご担当者さまのなかには「賃貸物件の法人契約はどのような流れで締結するのか」「社宅を提供する際に気をつけておくことはあるか」など気になる方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この記事では、賃貸物件の法人契約を締結する流れ、メリット・デメリット、物件タイプごとの特徴、さらに従業員に社宅を提供する際の注意点について解説します。

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目次[非表示]

  1. 1.賃貸物件の法人契約とは
    1. 1.1.法人契約と個人契約の違い
    2. 1.2.法人契約が利用されるケース
  2. 2.賃貸物件の法人契約を締結する流れ
    1. 2.1.➀入居申し込み
    2. 2.2.②入居審査
    3. 2.3.③賃貸借契約の締結
    4. 2.4.④入居審査時のポイントや注意点
      1. 2.4.1.審査に必要な書類
      2. 2.4.2.審査日数の目安
      3. 2.4.3.審査に落ちるケース
  3. 3.法人契約のメリット・デメリット
    1. 3.1.メリット
    2. 3.2.デメリット
  4. 4.法人契約の例・物件タイプ
    1. 4.1.マンションでの法人契約
    2. 4.2.UR賃貸の法人契約
    3. 4.3.社宅としての利用
  5. 5.賃貸物件を法人契約して社宅を提供する際の注意点
    1. 5.1.費用の負担区分を明確にする
      1. 5.1.1.家賃の支払い方法
    2. 5.2.契約形態を確認する
      1. 5.2.1.保証会社の利用有無
      2. 5.2.2.オーナー側の注意点
    3. 5.3.解約予告期間を確認する
      1. 5.3.1.退去費用の負担
  6. 6.まとめ

賃貸物件の法人契約とは

法人契約とは、会社を借主として賃貸物件を契約する方式のことを意味します。従業員が住む物件であっても、契約上は会社が主体となる点が特徴です。法人契約を結ぶことで、企業は従業員に住居を提供できるほか、経費処理や人事異動への対応がスムーズになるメリットがあります。

従業員人数が多く、異動が頻繁に発生する企業の場合、法人契約が選ばれる傾向があります。例えば全国展開しているメーカーや金融機関では、従業員の異動に合わせて社宅を手配する必要があるため、法人契約を結んでおくことでスムーズに住居を提供できます。また、福利厚生の一環として社宅制度を導入し、従業員に対する生活支援を行う企業も少なくありません。

さらに法人契約は、家賃を経費処理できる点でも活用されます。法人税法上、業務遂行のために必要と認められる経費は損金算入が可能であり、社宅も条件を満たせば経費計上できます。ただし、役員社宅の場合は算定方法が異なるため、税務上の扱いには注意が必要です。

出典:国税庁『法人税の基本的な仕組み』『No.5261 交際費等と福利厚生費との区分』『No.2600 役員に社宅などを貸したとき』

法人契約と個人契約の違い

法人契約と個人契約の違いは「契約主体」と「責任の所在」にあります。

個人契約の場合、契約主体は従業員本人であり、家賃の支払い義務や解約手続きはすべて個人が負担します。一方、法人契約では会社が借主となるため、賃貸借契約書の署名や家賃の支払いも会社が行い、そのうえで従業員が一定額を負担するケースが一般的です。

契約

借主

詳細

個人契約

従業員本人

契約違反や家賃滞納が発生した場合は本人が責任を負う

法人契約

会社

会社が契約違反や未払いに責任を持ち、従業員はあくまで入居者という立場

この違いは不動産オーナーや管理会社にとっても重要です。法人契約の方が安定した家賃収入を期待できる一方で、契約条件が複雑になったり、退去時の原状回復費用をめぐって交渉が必要になることがあります。

法人契約が利用されるケース

法人契約が利用される具体的なケースは以下のとおりです。

  • 転勤や出向に伴い、短期間での入退去が多い企業
  • 福利厚生として社宅制度を設けている企業
  • 全国に拠点を持ち、従業員の異動が多く発生する企業
  • 役員や管理職に対して高水準の住宅を提供する場合

このように法人契約は、従業員の生活支援と企業の人事戦略を結びつける仕組みであり、社宅制度の運用に不可欠といえるでしょう。

賃貸物件の法人契約を締結する流れ

賃貸物件を借りる際は、貸主・借主で賃貸借契約を締結します。会社の名義で法人契約を交わす場合には、必要書類や入居審査の基準などが個人契約と異なります。

法人契約を結ぶ際には、個人契約と同様に「入居申し込み → 審査 → 契約 → 入居」という流れを踏みます。ここでは一般的な流れを解説します。

➀入居申し込み

社宅として借りたい賃貸物件が決まったら、入居申し込みを行います。

▼入居申し込みの手順

  1. 物件の管理会社や不動産仲介会社に連絡して入居申し込みの意思を伝える
  2. 指定の入居申込書に必要事項を記入する
  3. ほかの必要書類を準備して入居申込書と一緒に1の担当者に提出する

入居申込書には借主となる企業の情報を記入しますが、実際に入居する従業員の身分証明書が求められる場合があります。また、必要書類は物件によって異なるため、管理会社または不動産仲介会社の指示に従います。

▼必要書類の例

  • 会社登記簿謄本(履歴事項全部証明書)
  • 会社概要・会社案内
  • 決算報告書
  • 代表者の身分証明書・経歴書
  • 入居者の本人確認書類の写し
  • 入居者の社員証の写し
  • 連帯保証人の本人確認書類 など

なお、入居申し込みを行う前の準備については、こちらの記事で詳しく解説しています。併せてご確認ください。

②入居審査

入居申し込みを行ったあと、貸主または管理会社による入居審査が行われます。入居審査に関する具体的な項目・基準は公表されませんが、法人契約の場合は主に企業の経営状況や社会的な信用度などがチェックされます。

▼法人契約の入居審査でチェックされやすい項目

  • 設立年数
  • 資本金
  • 売上高
  • 従業員数 など

設立して間もない会社や事業内容が不明瞭な会社、債務超過している会社などは、入居審査に通らないことがあります。また、貸主が家賃保証会社の利用を求めている場合には、保証機関による審査も同時に行われます。

法人契約の入居審査についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

③賃貸借契約の締結

入居審査に通過したら、貸主との間で賃貸借契約を締結します。契約書については、不動産仲介会社や貸主から委託を受けた管理会社に郵送で送付することが一般的です。

▼賃貸借契約の手順

  1. 契約書の内容を確認する
  2. 契約内容に問題がなければ初期費用を指定の口座に入金する
  3. 重要事項説明(※)を受ける
  4. 契約書に署名・捺印を行い指定の住所に郵送する

契約書には、貸主・借主の基本情報や契約内容に関する情報が記載されています。署名・捺印を行う前に「申し込み時の内容と相違がないか」「借主に不利な特約事項はないか」などを確認しておくことが重要です。

※宅地建物取引業法第35条に基づいて、宅地建物取引士が契約に関する重要事項の読み上げと書面の交付を行うこと。

なお、賃貸借契約書で気をつけるポイントはこちらの記事をご確認ください。

出典:e-Gov法令検索『宅地建物取引業法』

④入居審査時のポイントや注意点

法人契約における審査のポイントは、「法人の信用力」と「従業員の入居適正」の2つです。大企業であれば信用力が高くスムーズに進むケースが多い一方、設立して間もない会社や中小企業では、保証会社の利用を条件にされる場合があります。

また、従業員の入居態度や利用マナーについても重視されるため、社内規程として「社宅利用規則」を設ける企業も少なくありません。

審査に必要な書類

審査時には法人契約特有の書類が必要になります。

▼書類の例

  • 登記事項証明書
  • 印鑑証明書
  • 会社概要資料(パンフレット、Webサイト写しなど)
  • 決算書(直近1~2期分を求められることもある)
  • 社宅利用規定や入居予定従業員の情報

個人契約よりも審査準備に時間を要する点は大きな特徴です。

審査日数の目安

法人契約の審査は、一般的に3~7日程度を要します。

ただし、提出書類が多く確認に時間がかかる場合や、保証会社の審査を併用する場合は2週間前後かかるケースもあります。転勤や急な人事異動に伴う入居の場合はスケジュール管理が重要です。

審査に落ちるケース

法人契約の審査に落ちる主な要因は以下のとおりです。

  • 会社の設立年数が短く、信用力が低い
  • 直近の決算で赤字が続いている
  • 家賃と比較して従業員の給与水準が低い
  • 反社会的勢力との関与が疑われる
  • 過去の契約で家賃滞納やトラブルがあった

こうしたケースを避けるため、事前に信用力を証明できる資料を準備しておくことが推奨されます。

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法人契約のメリット・デメリット

法人契約は、多くのメリットがある一方で、注意すべきデメリットも存在します。

メリット

法人契約の大きなメリットは、社宅制度を活用できる点です。

従業員に住居を提供することで福利厚生が充実し、従業員の満足度や定着率向上につながります。さらに、法人契約による家賃支払いは会社の経費処理が可能であり、税務上も一定のメリットがあります。

また、転勤や出向時に会社が主体となって契約するため、従業員の負担が減り、人事異動の柔軟性が高まります。特に大企業では、この仕組みが人材配置のスムーズな運用に直結します。

デメリット

一方で、法人契約にはデメリットも存在します。代表的なのは、審査が厳しくなるケースです。

個人契約では収入証明を基準に審査されるのに対し、法人契約では会社の財務状況や信用力が問われるため、中小企業や新設企業は審査に通りにくいことがあります。

また、不動産オーナーによっては「法人契約は解約や原状回復の交渉が煩雑」と嫌がられるケースもあり、希望する物件が限られる場合もあります。さらに、解約条件や退去費用の柔軟性が低い点もデメリットの一つです。

法人契約の例・物件タイプ

法人契約は多様な物件で利用できますが、物件の種類によって契約条件や利用メリットが異なります。

マンションでの法人契約

一般的なのが、民間のマンションを法人契約で借り上げるケースです。オフィス街や交通の便が良い地域に多く、単身赴任者や若手社員によく利用されます。

マンションはセキュリティや設備が整っているため、安心して従業員に提供できる一方、人気物件では競争が激しく審査も厳しくなる傾向があります。

UR賃貸の法人契約

UR都市機構が提供するUR賃貸住宅は、法人契約にも対応しています。

UR物件は敷金以外の初期費用が不要で更新料もかからないため、長期的に社宅として利用しやすいのが特徴です。また、法人契約枠を活用することで、大規模な異動や複数人分の住宅確保にも柔軟に対応できます。

社宅としての利用

法人契約は、そのまま社宅制度として活用できる点が大きな特徴です。企業を契約の主体とすることで、従業員は住宅探しや契約手続きの負担から解放され、安心して新しい勤務地で生活を始められます。

特に転勤が多い業種では、法人契約を軸に社宅制度を整えることで、スムーズな人材配置が可能になります。

なお、家具・家電付きの物件であれば、よりスムーズに新しい環境での生活をスタートできます。詳細はこちらの資料をご覧ください。

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賃貸物件を法人契約して社宅を提供する際の注意点

法人契約した借上社宅を提供する際は、家賃・初期費用や契約期間、解約などに関するトラブルが発生しないように対策することが必要です。

費用の負担区分を明確にする

賃貸物件の契約時や入居中に発生する費用は、企業と従業員のどちらが負担するか明確に定めて、明記しておきます。

▼賃貸物件の契約・入居にかかる主な費用

発生するタイミング
費用項目
契約時
  • 敷金、保証金、礼金
  • 仲介手数料
  • 前払い家賃
  • 前払い管理費・共益費
  • 火災保険料
  • 家賃保証会社の保証料 などの初期費用
入居中
  • 家賃
  • 管理費、共益費
  • 更新料、更新事務手数料
  • 光熱費 など
解約時
  • 鍵交換費用
  • 原状回復費用 など

家賃については従業員から一定割合以上を社宅使用料として徴収することになるため、金額や負担割合について事前に取り決めておく必要があります。

会社が全額負担する場合もあれば、家賃の一部を従業員に負担させる場合もあります。ここであいまいさが残ると、税務上の「現物給与」扱いになり、課税リスクが発生します。

出典:国税庁『No.2597 使用人に社宅や寮などを貸したとき』

家賃の支払い方法

一般的には会社がオーナーに直接家賃を支払い、従業員負担分を給与から控除する方法が用いられます。これにより、支払い漏れや二重請求を防ぎ、会計処理も簡略化できます。

初期費用の一般的な負担区分や家賃(社宅使用料)の決め方については、こちらの記事で解説しています。

契約形態を確認する

物件の入居申し込みや契約の締結を行う際には、契約形態を確認しておきます。賃貸借契約には、従来の普通借家契約と定期借家契約があります。

▼契約形態の種類


普通借家契約
定期借家契約
契約期間
定めなし
定めあり
更新の有無
自動更新となる
原則更新なし(※)

定期借家契約の場合、期間が満了すると契約が終了となり更新ができないため、社宅を明け渡してもらう必要があります。従業員とトラブルにならないように、事前に定期借家契約の物件か否かの確認を行い、契約書の内容も併せて確認しておく必要があります。

※貸主・借主の双方が合意すれば再契約によって継続入居することも可能。

定期借家契約の注意点は、こちらの記事で解説しています。

出典:国土交通省『定期借家制度をご存じですか・・・?』

保証会社の利用有無

法人契約であっても保証会社の利用を求められる場合があります。特に中小企業や設立間もない法人は、信用力が十分でないと判断されることがあり、その場合は保証料が追加で発生します。

オーナー側の注意点

法人契約を嫌がるオーナーも存在します。理由としては「解約や原状回復費用の交渉が複雑になる」「入居者が頻繁に変わる」などが挙げられます。そのため、法人契約可能な物件を探す段階で、不動産会社に条件を明確に伝えることが重要です。

解約予告期間を確認する

賃貸借契約では、解約する際に借主が退去の意思を申し出る“解約予告期間”が定められています。借主都合による解約については、一般的に解約日の1~3ヶ月前までとされています。

解約予告期間を過ぎてから退去の連絡をすると、日数を過ぎた分の日割り家賃を請求されたり、タイミングによっては更新料の支払いが求められたりすることがあります。

退職や引越しなどで社宅を退去する際は、定められた解約予告期間内に管理会社へ連絡する必要があるため、従業員に前もって伝えておくことが必要です。

退去費用の負担

退去時の原状回復費用についても、法人契約は厳格に扱われる傾向があります。特にオーナーは法人に対して高額な修繕費を請求することもあり、事前に「負担範囲」「敷金精算方法」を契約書に明記することが不可欠です。

賃貸物件の解約予告期間については、こちらの記事で詳しく解説しています。

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まとめ

この記事では、賃貸物件の法人契約について以下の内容を解説しました。

  • 賃貸物件の法人契約の概要
  • 賃貸物件の法人契約を締結する流れ
  • 法人契約のメリット・デメリット
  • 賃貸物件を法人契約して社宅を提供する際の注意点

賃貸物件を法人契約で借りる場合は、入居申し込みに必要な書類や入居審査の基準などが個人契約とは異なります。契約締結までの流れを踏まえて準備をしておくと、管理会社や不動産仲介会社とのやり取りがスムーズになります。

また、法人名義で契約した賃貸物件を従業員へ貸すにあたり、事前の取決めがされていないと契約・入居中・解約に際し、従業員とのトラブルになる場合があります。費用負担区分や契約形態・解約予告期間などのルールを事前に取決めしておくことや、企業・従業員がいつでも確認できる状態にしておくことが必要です。

『リロケーション・ジャパン』では、転貸方式による借上社宅のフルアウトソーシングを行っております。物件探しから賃貸借契約の手続き、解約まで幅広い業務に対応しており、社宅管理の工数削減に貢献します。

詳しくは、こちらをご確認ください。

監修:リロケーション・ジャパン嘉藤 健次
監修:リロケーション・ジャパン嘉藤 健次
不動産業界で14年、仲介・管理・仕入れ業務に従事。 その後、社宅代行業界で12年にわたり法人営業・マーケティングを経験。 宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士等の資格を有し、25年にわたる不動産・法人向け業務の経験とマーケティングで培った分析力を生かし、企業・従業員双方の視点から社宅規程・社宅制度を解説。

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