
賃貸物件の解約予告期間が過ぎたらどうなる? 解約時に気をつけるポイント
※2026年1月21日更新
賃貸物件を解約する際は、事前に退去の意思を通知する“解約予告期間”が定められています。
社宅として賃貸物件を借り上げている会社では、従業員の転勤や退職によって急に退去が決まることもあるため、解約予告期間を過ぎてトラブルにつながるケースも考えられます。
人事・総務部門では、解約に関するトラブルを防ぐために、賃貸物件の解約予告期間と、期間を過ぎた場合にどうなるのかについて把握しておくことが重要です。
この記事では、賃貸物件の一般的な解約予告期間をはじめ、期間が過ぎた場合の対応や解約時に気をつけるポイントについて解説します。
なお、社宅に関する基本的な情報は下記の記事で解説しています。併せてご覧ください。
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目次[非表示]
解約予告期間とは
解約予告期間とは、賃貸物件を解約する際に、退去予定日の一定期間前までに、貸主へ解約の意思を通知しなければならないと契約で定められている期間を指します。「いつ引っ越すか」を決めるだけでなく、「いつまでに解約を申し入れる必要があるか」が重要なポイントとなります。
解約予告期間が設けられている理由は、貸主・借主の双方が円滑に次の準備を進めるためです。
貸主側は、次の入居者募集や原状回復工事の手配を行う必要があります。一方、借主側も、引っ越し準備や新居の契約手続きなどに一定の期間を要します。解約予告期間は、こうした双方のスケジュール調整を前提とした仕組みといえます。
法人契約における解約予告の流れ
前提として法人契約の場合、解約する際は、“入居者(従業員)⇒ 企業 ⇒ 家主”という流れで進みます。
▼解約連絡の流れと期限の違い
区分 | 主体 | 内容 | 期限の考え方 |
A | 入居者 ⇒ 企業 | 退去の申し出(社内申請) | 社内規程で定められた期限 |
B | 企業 ⇒ 家主 | 解約通知(契約上の手続き) | 賃貸借契約で定められた解約予告期間 |
従業員から企業へ退去の申し出が行われ、その後、企業から家主(または管理会社)へ正式な解約通知が行われます。このうち、入居者から企業への申し出(A)は企業側の社内規程で定められており、企業から家主への解約通知(B)とは必ずしも同じ期限とは限りません。
たとえ社内規程上は1ヶ月前の申請で足りる場合であっても、家主との契約で定められた解約予告期間が1ヶ月前でなければ、その契約上の取り決めが優先されます。
つまり、社内手続きの期間と、外部の家主に対する解約予告期間は一致しなくても問題はなく、家主との契約内容は企業内の事情に左右されず有効であるという点に注意が必要です。
解約通知日・退去日との違い
解約予告期間を理解するうえで混同しやすいのが、「解約通知日(解約申入日)」と「退去日(明渡日)」の違いです。
▼用語の違い
用語 | 意味 |
解約通知日(解約申入日) | 借主が、賃貸借契約を解約する意思を正式に貸主へ伝えた日 |
退去日(明渡日) | 実際に部屋を空け、鍵を返却する日 |
解約予告期間 | 解約通知日から退去日までに必要とされる期間 |
例えば、契約書に「解約予告期間は2ヶ月」と定められている場合、退去日の2ヶ月前までに、契約で定められた方法で解約通知を行わなければなりません。
この期限を過ぎると、退去後も賃料が発生する可能性があるため、社宅管理においては特に注意が必要です。
賃貸物件の一般的な解約予告期間
賃貸物件の解約予告期間は、借主都合(入居者から企業)と貸主都合(企業から家主)の場合で異なります。それぞれの一般的な解約予告期間は、以下のとおりです。
▼解約予告期間の目安
解約理由 | 期間 |
借主都合 | 解約日の1~3ヶ月前まで |
貸主都合 | 解約日の6ヶ月前~ |
テナントや貸オフィスについては、解約予告期間が3~6ヶ月前までと居住用の賃貸物件よりも長めに設定されていることが一般的です。
賃貸物件の解約予告期間は、法律および契約内容に基づいて定められています。
『民法』第617条では、賃貸借契約に契約期間の定めがない場合においては、借主・貸主は3ヶ月前までの申し入れで解約できると定められています。
▼民法 第617条
第六百十七条 当事者が賃貸借の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合においては、次の各号に掲げる賃貸借は、解約の申入れの日からそれぞれ当該各号に定める期間を経過することによって終了する。
一 土地の賃貸借 一年
二 建物の賃貸借 三箇月
三 動産及び貸席の賃貸借 一日
引用元:e-Gov法令検索『民法』
また、賃貸借契約の期間が定められている場合でも、期間内に解約できる旨の条項が設けられていれば、同じく3ヶ月前での申し入れによって解約することが可能です。
ただし、貸主都合によって簡単に解約できるとなると、借主にとって不利益が大きくなるため、借主を保護するためのルールが『借地借家法』によって定められています。
同法第27条では、貸主からの解約の申し入れは6ヶ月前までに行うことが定められています。さらに同法第28条では、貸主による解約の申し入れは、正当な事由がなければできないと規定されています。
▼借地借家法 第27条
第二十七条 建物の賃貸人が賃貸借の解約の申入れをした場合においては、建物の賃貸借は、解約の申入れの日から六月を経過することによって終了する。
引用元:e-Gov法令検索『借地借家法』
▼借地借家法 第28条
第二十八条 建物の賃貸人による第二十六条第一項の通知又は建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。
引用元:e-Gov法令検索『借地借家法』
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解約予告期間の計算方法
解約予告期間を計算する際に重要なのは、「解約通知がいつ貸主(または管理会社)に到達したか」です。解約予告期間は、通知を送った日ではなく、相手が受領した日を基準に数えられます。
そのため、解約予告期間の計算は、「退去日から逆算し、通知が到達していなければならない期限を確認する」という考え方になります。
例えば、解約予告期間が2ヶ月で、退去日を3月31日とする場合、1月31日までに解約通知が管理会社や家主へ到達している必要があります。
▼退去日から逆算する考え方
手順 | 日程 |
1.退去日を決める | 5月31日 |
2.契約上の解約予告期間を確認 | 1ヶ月 |
3.退去日から逆算する | 4月30日 |
4.この日までに解約通知が到達 | 管理会社・家主が受領 |
多くの賃貸借契約では、解約予告期間の起算日を「管理会社が解約通知を受領した日」や「書面が到達した日」と定めています。そのため、通知方法によっては、想定よりも解約日が後ろ倒しになる可能性があります。
また、解約の連絡方法が契約書で指定されているケースもあります。書面提出、専用フォーム、管理会社指定の方法など、契約で定められた方式に従わなければ、正式な解約通知として認められない場合があります。
特に注意したいのが、通知方法による受領日の扱いです。メールの場合は到達確認が曖昧になりやすく、書面の場合は郵送日ではなく到達日が基準となるのが一般的です。管理会社から通知方法が指定されている場合は、必ずその方法に従う必要があります。
解約予告期間が過ぎたらどうなる?
社宅として借り上げた賃貸物件の解約申し入れを行う際、賃貸借契約の解約予告期間が過ぎた場合は、違約金として過ぎた分の日割り家賃を請求されるケースがあります。
また、解約予告期間を過ぎており、なおかつ解約の申し入れをしたタイミングが賃貸借契約更新時期と重なる場合には、更新料の支払いを求められる可能性もあります。
賃貸借契約の内容によって対応が異なるため、事前に解約予告期間を過ぎた場合の家賃の支払いや、違約金の有無などを確認しておくことが重要です。
賃貸物件の解約時に気をつけるポイント
社宅として借り上げている賃貸物件を解約する際には、解約予告期間のほかにも気をつけるポイントがあります。
①途中解約には違約金が発生するケースがある
賃貸借契約書において、契約期間内での途中解約に違約金が発生する旨が記載されている場合には、違約金の支払いが必要になります。
賃貸借契約では、約1~2年の契約期間が定められていることが一般的です。契約期間内での途中解約や入居後の短期解約に対しては、違約金が設定されていることがあるため注意が必要です。
事前に賃貸借契約書と重要事項説明書を確認して、違約金が発生するかどうかを調べておくことが重要です。
社宅の場合は、違約金を会社が負担するのか、従業員に請求するのかを、社内規程とあわせて整理しておくことが重要です。
なお、こちらの記事では、短期解約による違約金の基本情報や物件の注意点、社宅規程を定める際の注意点について解説しています。併せてご覧ください。
②原状回復の範囲を確認しておく
退去の際に実施する原状回復工事に関して、どの範囲まで借主の費用負担になるのか、賃貸借契約の内容を確認しておくことが必要です。
賃貸物件を解約して退去する際、借主には原状回復義務があります。原状回復義務とは、入居時に生じた損傷を修繕する義務のことです。
この原状回復にかかる修繕費用の負担区分は、国土交通省住宅局の『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン』に示されています。
▼原状回復にかかる修繕費用の負担
区分 | 内容 |
借主負担 | 借主の故意・過失、契約違反行為や善管注意義務違反などによって生じた傷・汚れ |
貸主負担 | 通常の使用や経年劣化による傷・汚れ |
退去時に物件の損傷がある場合、通常の使用や経年劣化によってできたものかどうかが争点となり、費用負担についてトラブルにつながるケースがあります。
こうしたトラブルを防ぐためには、賃貸借契約の原状回復範囲を確認して、入居前の損耗箇所・程度をチェックリストや図面に記録しておくことがポイントです。
社宅運用では、原状回復費の立替や精算フローを決めておくと、業務がスムーズになります。
原状回復の基礎知識については、こちらから資料をダウンロードしていただけます。社宅管理にぜひご活用ください。
出典:国土交通省住宅局『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン』
③電気・水道・ガスの停止連絡をする
賃貸物件の解約時には、電気・水道・ガスの停止連絡を忘れずに行うことが重要です。電気・水道・ガスの停止手続きは、退去する1ヶ月〜2週間前までに行うことが一般的とされています。
いずれも電話連絡やインターネットで停止の申し込みができますが、ガスについては現地での立会いが必要なケースもあるため事前に確認しておく必要があります。
インターネット回線や駐車場、宅配ボックスなど、付随する契約の解約漏れにも注意が必要です。
社宅での解約予告のフロー
社宅における解約手続きでは、社内フローと解約予告期間の管理を切り分けて考えることが重要です。
転勤や退職に伴い、急な退去が発生するケースは少なくありません。しかし、適切な手続きを踏まなければトラブルに発展する可能性があります。借上社宅の解約通知は従業員ではなく会社が行う必要があり、従業員が会社へ退去希望を申し出たのみでは契約解除は成立しません。必ず会社から管理会社や貸主へ正式な通知を行うことが求められます。
一般的な社内フローは以下のとおりです。
- 従業員が人事・総務部門へ退去申請を行う
- 人事・総務が家主・管理会社へ解約通知書を送付する
- 退去立会いの日程調整や原状回復費用の精算、鍵の返却などの手続きを進める
トラブルになりやすいのは、社内申請の遅れや、解約通知先の誤り、退去日だけが先に決まってしまうケースです。
社内手続きの期限と、契約上定められた解約予告期間は必ずしも一致しないため、解約予告期間を起点に、余裕をもった社内運用を行うことが求められます。
まとめ
この記事では、賃貸物件の解約予告期間について以下の内容を解説しました。
- 解約予告期間とは
- 一般的な解約予告期間
- 解約予告期間の計算方法
- 解約予告期間を過ぎた場合の対応
- 解約時に気をつけるポイント
- 社宅での解約予告のフロー
賃貸物件には解約予告期間が定められており、借主都合による解約の場合には、一般的に解約日の1~3ヶ月前までとされています。
借上社宅の解約申し入れを行う際、解約予告期間を過ぎた場合には、違約金を請求される可能性があるため注意が必要です。
社宅管理担当者は、予告期間、通知方法、社内フローをセットで整備し、規程に明記しておくことが重要です。
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