シェアハウスは社宅に利用できる? 知っておきたいメリット・デメリット
シェアハウスとは、入居者がそれぞれの個室を持ち、キッチンやリビングなどの施設・設備を共有しながら暮らす賃貸物件のことです。最近では、ジムや大浴場、食堂などの高付加価値な設備を導入しているシェアハウスも見られています。
社員寮や借上社宅の導入を検討している企業では、「シェアハウスを社宅として利用できるのだろうか」「企業や従業員にどのようなメリットがあるのだろうか」と気になっている方もいるのではないでしょうか。
この記事では、シェアハウスの現状をはじめ、社宅としての利用可否やメリット・デメリットについて解説します。
目次[非表示]
- 1.シェアハウスの現状
- 2.シェアハウスは社宅に利用できるのか
- 3.シェアハウスを社宅に利用するメリット・デメリット
- 3.1.メリット
- 3.1.1.①コストを抑えられる
- 3.1.2.②短期間で借り上げできる
- 3.1.3.③入居者同士の交流を深められる
- 3.2.デメリット
- 3.2.1.①入居者同士でのトラブルが発生する可能性がある
- 3.2.2.②契約期間の更新ができない場合がある
- 4.社宅管理の負担を軽減するには代行サービスの活用が有効
- 5.まとめ
シェアハウスの現状
国土交通省が公表している『シェアハウス ガイドブック』によると、シェアハウスの入居者は、20〜30歳未満の社会人・学生が半数以上を占めており、男性よりも女性の割合が多いと報告されています。
▼シェアハウスの入居者
画像引用元:国土交通省『シェアハウス ガイドブック』
立地に関しては、関東エリアの割合が多く、東京都が6割強を占めています。
また、一般向けのシェアハウスとして流通している賃貸物件には、以下のような設備が揃っています。
▼シェアハウスの主な専有部分・共用部分の設備
画像引用元:国土交通省『シェアハウス ガイドブック』
近年では、特定のコンセプトを持ったシェアハウスや、コミュニティの場として活用されているケースも見られます。
出典:国土交通省『1-2.シェアハウスの運営事業者に対する運営実態等調査』『シェアハウス ガイドブック』
シェアハウスは社宅に利用できるのか
シェアハウスを借上社宅にするケースは非常に少なく、基本的には利用されません。
社員寮であれば、主に一棟を借り上げる、あるいは複数居室を部分的に借り上げて従業員に貸し出す方法で利用することが可能です。ただし、利用できるのは企業向けの寮や社宅として募集されているシェアハウス型の物件が中心であり、一般的なシェアハウスには法人契約を対象としていない物件も存在するため、注意が必要です。
そのほか、複数名を同一物件へ入居させる場合などには、ルームシェア型の物件が社宅として稀に利用されることがあります。
シェアハウスを社宅に利用するメリット・デメリット
シェアハウスを社員寮などの社宅として利用することで、コストやコミュニケーション力の向上などの面でメリットが期待できます。ただし、入居者同士のトラブルや建物・契約の管理について気をつけたいデメリットもあるため、注意が必要です。
メリット
社宅にシェアハウスを利用するメリットには、以下の3つが挙げられます。
- コストを抑えられる
- 短期間で借り上げできる
- 入居者同士の交流を深められる
①コストを抑えられる
シェアハウスの場合、一般の賃貸マンション・アパートを借り上げるよりも、コストを抑えられるメリットがあります。
▼初期コストの違い
種別 |
一般の賃貸物件 |
シェアハウス |
費用 |
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|
一般の賃貸物件を借りる際、敷金・礼金や仲介手数料、保証会社利用料、火災保険料などが発生します。一方シェアハウスでは、初回の契約料と初月の賃料のみで契約できることが一般的となっているため、初期コストを抑えられます。ただし、企業向けの寮や社宅として募集されているシェアハウス型物件の場合は、一般の賃貸物件と同様の条件であることも多いため、事前に契約条件を確認することが重要です。
家具・家電付きの物件やレンタルサービスを利用すれば、従業員の経済的な負担を減らせることもメリットです。
ただし、企業向けの寮や社宅として募集されているシェアハウス型物件の場合は、一般の賃貸物件と同様の条件であることも多いため、事前に契約条件を確認することが重要です。
②短期間で借り上げできる
シェアハウスのなかには、1年間や1ヶ月程度などの短期間で借り上げできる物件もあります。
賃貸物件の場合、1~2年の契約期間が定められていることが一般的です。契約期間中に早期解約する場合には、違約金が発生するケースがあります。
一方、シェアハウスは1ヶ月単位で契約できる物件もあるため、従業員研修や転勤などで一時的に住居が必要になる場合にも役立ちます。
③入居者同士の交流を深められる
入居者同士の交流を深められることも、シェアハウスを社宅として利用するメリットの一つです。
シェアハウスでは、キッチンやリビングなどを共有して生活を送るため、自然と入居者同士が顔を合わせる機会が増えます。入居者同士の交流が深まることで、コミュニケーション能力や社会性が培われて、広い価値観を持った人材へと成長することが期待できます。
また、社外の人も入居しているシェアハウスの場合、業界・業種の異なる人との交流を通じて、新たな考えや知識を得られることもあります。
デメリット
シェアハウスを社宅として利用するには、以下のようなデメリットもあります。
- トラブルが発生する可能性がある
- 長期契約ができない場合がある
①入居者同士でのトラブルが発生する可能性がある
シェアハウスは、複数の入居者で生活の一部を共有する性質上、さまざまなトラブルが発生する可能性があります。
国土交通省が実施した『シェアハウスの運営事業者に対する運営実態等調査』によると、約8割が「入居者間のトラブルがある」と回答していることが分かっています。
入居者同士で起こりやすいトラブルとしては、ゴミ出しや騒音、共有部分への私物の放置などが挙げられます。トラブルに関しては、入居者の責任で対処する旨を入居誓約書に記載することも大切です。
また、従業員が快適に暮らせる住環境を維持するためにも、社宅利用に関するルールをまとめた社宅規程を定めておくことが重要です。社宅規程に定める内容には、以下が挙げられます。
▼社宅規程に定めておく内容
- 清掃・ゴミ出しに関するルール
- 騒音・喫煙に関するルール
- 共有スペースでの私物の取り扱い
- 施設や設備の利用時間・利用方法
- 来客の訪問、宿泊のルール など
出典:国土交通省『1-2.シェアハウスの運営事業者に対する運営実態等調査』
②契約期間の更新ができない場合がある
シェアハウスは賃貸の契約期間の更新ができない場合があるため、当初予定していた契約期間よりも長期間入居したい場合にデメリットとなることがございます。
シェアハウスの契約形態は、定期建物賃貸借契約(定期借家契約)が主流です。定期建物賃貸借契約とは、あらかじめ定めた契約期間の満了時に更新できず、賃貸借契約を終了する契約のことです。
契約期間は、6ヶ月以上1年未満、1年以上1年半未満に設定されることが多くなっています。新入社員や転勤者への社宅など、入居期間の定めがない場合にシェアハウスを利用する際には注意が必要です。
なお、定期借家契約についてはこちらの記事で解説しています。併せてご確認ください。
出典:国土交通省『1-2.シェアハウスの運営事業者に対する運営実態等調査』『定期建物賃貸借』
社宅管理の負担を軽減するには代行サービスの活用が有効
シェアハウスを社員寮などの社宅として借り上げるた際は、寮や社有社宅向けの社宅管理代行サービスを活用することも可能です。
シェアハウスを社宅にする場合、物件数・部屋数が多くなるほど契約管理業務が煩雑化しやすくなります。また、入退去のサポートや入居者間で発生したトラブルの対応も必要です。
代行サービスを活用すれば、社宅管理に関わる業務を一括委託できるため、社宅担当者の負担軽減や契約管理業務のミスを防止できます。さらに、物件の設備管理や入居者へのきめ細かなサポートができるため、従業員の満足度向上にもつながります。
社宅管理代行サービスの詳しいメリットについては、こちらの記事で解説しています。併せてご確認ください。
まとめ
この記事では、社宅のシェアハウス利用について以下の内容を解説しました。
- シェアハウスの現状
- 社宅としての利用可否
- 社宅として利用するメリット・デメリット
- 社宅管理に有効な代行サービス
シェアハウスを社員寮などの社宅にするケースは少ないですが、利用すること自体は可能です。一般の賃貸物件を借り上げる場合と比べて初期コストを抑えられるほか、短期契約ができる、入居者同士の交流を深められるなどのメリットがあります。
研修・転勤などで一時的に住居を用意したり、共同生活を通じて従業員の関係構築や成長を図ったりする場合などに有効といえます。また、社宅管理業務の負担を軽減して運用するには、社宅管理代行サービスを活用することも可能です。
『リロケーション・ジャパン』の社宅管理サービスでは、転貸方式によるフルアウトソーシングに対応しており、契約から物件の管理まで、社宅管理におけるあらゆる業務を代行いたします。
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